エクスペリメントのレビュー・感想・評価
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ごった煮ですか
ヒトがもつ攻撃性と、世界平和をテーマにした作品だったと思う。
ただ元がスタンフォード監獄実験なわけで、
あれって「人間は与えられた役割に染まる」って言いたい研究じゃないのかなと。
テーマと素材のミスマッチみたいなのが最後まで埋められなくって残念な出来だった。
冒頭の断片的な暴力(?)シーンや、主人公が反戦集会に行く序盤。
実験が始まり、ヒトの本性というかエグみを見せつけられる中盤。
そんで終盤は…なんか急にまとめました、みたいな印象。
とにかくバラバラで、最終的に何が言いたかったのか分かりにくい。
たぶん中盤のエンタメ性を盛り上げるために施した演出がくどくって
そこの印象に引っ張られちゃってるんだと思う。んで、結果バラバラ。
キリストと重ねてしまう主人公のビジュアルとか、
「屈辱を受け入れなきゃ平和になれない」とか
ある種のメッセージを期待して見てたら、最後の馬乗りパンチっていうね。
爽快感はあるけど、それじゃぶち壊しじゃないか、と。
けっきょく設定は心理実験のはずなのに研究者の目的が見えないというか
暴力が発生しても止めなかったのに、なんであそこは止めたんだ?とか
被験者サイドにサクラがいないのはむしろおかしくねぇ?とか。
設定にも詰めの甘さを感じてしまった。
まぁ、人に勧めることはないかな。
糖尿病もこわい
『es』を観たときとは違って、なぜだかアメリカらしさという視点でいろいろ考えさせられた。主人公のトラヴィス(ブロディ)は最初に平和デモに参加して、一人の女性ベイ(マギー・グレイス)と出会い、意気投合。彼らの会話にこそこの映画の真意が隠されていたのではないか?逆に、彼らの言葉によってちょっとだけ見方が変わってしまったかもしれない。
実際に行われた実験を題材にしているだけあって、権力を握ってしまった人間は人格に関係なくその役割を全うしようとする心理学。集団行動という点ではちょっと物足りないものの、二人のオスカー俳優の対立は見ごたえ十分。残念なのは、その心理学実験によって現在・過去問わずに風刺できるようなものになってないこと。人間の本質を見せられるだけで終わってしまったような・・・それでも、糖尿病のフライングマンことベンジー(イーサン・コーン)がインシュリンを欲しがってるときに、最終的に看守側のバリス(ウィテカー)がベッドのわきにそっと注射セットを置くところに人間味が感じられた。
なんとなくハリウッド産刑務所映画をそのまま踏襲しているような雰囲気はつまらないぞ。
「es」を見ていたので、だいたいの話は分かっていた。分かっていたけ...
「es」を見ていたので、だいたいの話は分かっていた。分かっていたけど、見てみたい。グロいのも分かっているけど、見てみたい。
そんな感覚で見に行った。
人間は特別な役割を与えると、その環境に合わせて人格に関係なく変わっていくという実験を映像化したもの。
日にちが経つにつれて、囚人・看守の役割がはっきりして、暴力や虐待などが行われてくる。
そういうきっかけがあったら豹変してしまうという本能を持ち合わせているのが人間なんだ、と思うと怖くなる。これはどんなに善人でもどんなに平和主義でも・・・。
多分生涯表面化することはないかもしれない。でも、看守役のようなきっかけがあると、底に眠っていたうごめくものが動き出す。そんな気がした。インプットされていて、押されることのないボタンを押すととんでもないことが起きるような・・・。
決して他人事ではない。
物足りなさを感じる
心理実験。
人間の心理の深さとかを知りたいのならこの映画では物足りないように感じる。
しかし、これが実際にあった心理実験だということで、愚かな実験をしたということを伝えたいものとして観ることが一番いいような気がした。
このスタンフォード監獄実験について調べた
普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられるとその役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験らしい。1971年の実験
確かにこの実験を行ったことでわかったこともあるのかもしれない。しかし、この実験を受けなくても人間の心理は日常から出てきてるものがたくさんあるじゃないか。
結局言えることは、人間の心理はもろい。
そしてやはり人間は思っている以上に悪く、思っている以上に良いものだと。
原作より入り込みやすい
原作であるドイツ映画の「es」を既に見ていましたが、リメイクされたということで鑑賞。
「es」もそうでしたが、今作も内容がエグイこと極まりませんね。囚人への暴力が禁止されている中、看守が取る罰則の内容が酷いです。
「es」の方は実験中に研究者側から被験者へインタビューが行われるなど、被験者の変貌を監視者(研究者)目線でグロテスクに映し出していました。
今作では、監視者は一切ストーリーに干渉しません。その代わり、フォレスト・ウィテカーとエイドリアン・ブロディの演技によって、被験者の狂気が表現されています。
「es」しかり本作しかり、非常に面白いのですが、他人に勧めにくい映画ですね。。。
人間って怖いな
あの黒人の看守は囚人を支配することが快感になっとる。一般人でも支配する立場になるとあんなに豹変するのか。結局、何の実験がしたかったんだろ。捕まったのに律儀にお金は払うけんな、よくわからん。エイドリアン・プロディもすごかったけど、フォレスト・ウィテカーの狂った感じはよかった。プロディは本当の髪ぽかったけど、ウィテカーの髪はヅラみたいやった。ウィテカーは後半、マジで気持ち悪かったな。
人間って怖や怖や…
ドイツの傑作サスペンス「es」のハリウッドリメイク。
オリジナルはもう何年も前に見、その衝撃の内容と共に印象に残った。
なので、なんでまたハリウッドリメイク?といつもながら思ったが、そこはさすがハリウッド、ただでは転ばない。
エイドリアン・ブロディとフォレスト・ウィテカーが、オスカー俳優の名に恥じぬ迫真の演技を見せてくれる。
特にフォレスト・ウィテカー演じる最初は平和主義だった男が他を支配する事に興奮を覚え本性を露わにしていく様はリアルで恐ろしく、妙な説得感を残す。(うすらぼんやり自身がオスカーを受賞した「ラストキング・オブ・スコットランド」のアミン大統領役を思い出した)
リメイクなので新味は無いが、支配する者、される者、調和を望む者、反逆する者、限定された空間における人間の感情と行動、深層心理についてやはり考えさせられた。
なかなか
〔es(エス)〕は、観てません。
こんな事が実際あったのかと思うと怖いです。理性を保つ人も中にはいると思いますが、人間ってやはり環境によって洗脳されちゃうんだね。
フォレスト・ウィティカーの役は普段真面目に優しくしてる人が、看守役になって心の中に潜む何でも支配出来る興奮・・・凄く伝わってきましたo(><)o。酒飲むとこんな感じで変貌する人いますよね。
エイドリアン・ブロディと フォレスト・ウィティカーの演技力でこの作品は良く出来たせいか 入り込めちゃいました。
『バーレスク』でバーテンダー役やってたカム・ジカンデイ やっぱり格好いいな♪
「es」には到底及ばない
「es」は看守側の権威をまとった人間が豹変していく心理描写や集団心理の怖さ、囚人側の連帯感などが克明に感じることができ、「ゾクッ」とする感覚がありましたが、今作はそれがなかったです。
また、オリジナルにあった実験の主宰者側からの視点は無しで、ほぼ全て被験者側からのみの映像で期待はずれでした。
ずばり
『インシテミル』のほうが構成、緊迫感、展開、オチ前、すべてに上です。
エイドリアンブロディ、フォレストウィテーカーとてもいいですが、藤原竜也くん始め届かない演技力を補ってあまりある現場の緊張感、「次何やらされるんやろ」と演じているのか強いられているのか虚実皮膜の中での緊迫感、ひしひし伝わってきます。
比べてみていただければ一目瞭然、この映画が悪いのではなく『インシテミル』がすごすぎたということでしょう
洗脳実験という現実
エクスペリメント見てきました。良い映画だった。僕もこういう映画を作っていくのだろうと思うが、結局B層まで伝わらなければ意味が無いんじゃないか?映画のレビューを方々見ても皆この映画の意図を掌握していない。これだけの完成度なのに、サイコスリラーの類として観賞されるのは余りにも空しい。
※エクスペリメントは現実に行われた洗脳実験の映画。人は生得的に洗脳から逃れる事が出来ないということと、それが現実に身近で行われているという警告。 ※B層という表現は嫌いだが、ここでは敢えて使用しています。B層という言葉を知らない人はググってねという事。
『es[エス]』より良いよ。
以下twitter(@skydog_gang)への投稿に加筆――
アメリカ映画流の分り易さが有効に機能し、同じ題材の独映画『es[エス]』よりも各人物の造形がくっきりとした。
元々「社会派の人間劇っぽく見せかけた下世話な話」なのでキャラクターの極端化は良い改変。また、人種の振り分けもうまい。
ただ、人間の暴力性や悪意の根源を探る事はせず、それに流される人々の描写にひたすら終始したのは掘り下げ不足。
それではただの悪趣味な映画になっちゃうよ。
いやな気分になること間違いなし
以前に同じく有名な “スタンフォード大学監獄実験”を題材にしたドイツ映画『es[エス]』が面白かったので、ちょっと期待して観ました。
普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明しようとした実験。
14日間の予定が6日間で禁止されました。
以降は危険な実験として禁止されてます。
日当1000ドル×14日間=約116万円
確かに魅力的。
とにかく気分が悪くなること受け合い。
人間って怖いなと。
倫理観の欠如どころの話ではなく。
ささいなことから、暴力は禁止されているので、秩序を保つために、屈辱を与えるという非人道的な発想がうまれるのです。
看守に酔うもの、囚人として卑屈になるもの。
その役割に洗脳されていく様は恐怖でした。
アタシ的には『es』の方が怖かったのですが、同じくes観てるおともらちには想像通り気分が悪くなったので、映画として成功してるって以外と高評価でした。
残酷なシーンがだめな方はお気をつけ下さい。
人間の怖さを知りたい方はぜひ。
何かしら感じるところはあるので観て損はないです。
esも観ると良いかもです。
そうそう、最初のキリンの争うシーンを観れたのはアタシ的にツボでした。
実験結果に思わず平和へボケした日本の将来が心配となりました。
まず、本作を理解する上で、本作の大元の心理学教授フィリップ・ジンバルド博士がどんな実験をやったのかについて触れましょう。
フィリップ博士は環境犯罪学の専門家で、「割れ窓理論」の検証のために、本作で描かれたような心理実験を行ったのです。
この理論は、「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」という環境と犯罪の因果関係にアプローチしたものなのです。治安が悪化するまでには、微細な地域の景観や風紀の乱れを放置しておくと、住民のモラルが低下して、やがて凶悪犯罪を引き起こす引き金となるという考え方で、これを全面的に取り入れて、犯罪の発生件数を激減されたのが、ニューヨーク市のジュリアーニ元市長でした。
フィリップ博士は本作の実験に先立つ1969年にも人が匿名状態にある時の行動特性を実験しています。実験結果は、「人は匿名性が保証されている・責任が分散されているといった状態におかれると、自己規制意識が低下し、『没個性化』が生じる。その結果、情緒的・衝動的・非合理的行動が現われ、また周囲の人の行動に感染しやすくなる。」というものでした。本作にも繋がる下地はこのようにして何年も前から地道に研究が続けられてきたのです。それは奇をてらったものでなく、世界各地の犯罪予防に成果を生んだ地域美化の取り組みに、心理学的な根拠を与える成果を生んでいたのです。
とうことで、本作の元になった心理実験は1971年8月14日から1971年8月20日まで、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で、フィリップ博士の管理の下で実際に行われた実験です。
刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明しようとした実験が行われた。模型の刑務所(実験監獄)はスタンフォード大学地下実験室を改造したもので、実験期間は2週間の予定でした。
新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた被験者21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明されました。
実験での囚人役の服装や待遇等は、現在ほとんどの国の本物の刑務所では見受けられず、実際の囚人待遇より非人道的であり、囚人待遇の再現性は必ずしも高くはなかったようです。
映画作品では、かなりのところで、実際の実験模様の再現をしていました。何しろプリズンブレイクの製作総指揮と脚本を書いたポール・シェアリングが監督しているため、普通の人が次第に囚人役と看守役にのめり込んでいく様は、凄くリアルです。そして、実験の主宰者の期待通りに狭い空間で常に一緒にいるもの同志が、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまう有様が克明に描かれていきました。
当初は、ルール通りに役割を演じないと、2週間で一人14000$の大金が貰えなくなるむという報酬が参加者の行動を縛っていたのです。けれども次第に看守役は誰かに指示されるわけでもなく、自ら囚人役に罰則を与え始め、囚人役はそれに反抗し始めます。
それに反発した看守役側は次第に罰をエスカレートし、囚人役のリーダーを連行して便器に顔を押しつける拷問かせら、やがては公然とした暴力まで行使。死者まで出てしまうところまでいってしまいます。実際の実験では、死者こそ出ませんでしたが、囚人役の暴動が起こる寸前までいったようです。
本作で見所は、人間の変化する凄さ。特に看守役のリーダーとなるバリスは、実験前は善良な普通の市民だったのが、実験が始まると当時に、厳罰主義の看守に豹変し、顔つきまで変わってしまいます。この狂気は、どこかプリズンブレイクのセカンドシーズンに繋がるものを感じました。そして実験が突然中止されると、バリスはまた元の善良な市民の顔に戻っているではありませんか。日本人がはまりやすい『空気の支配』の怖さを感じさせる演技だったと思います。フォレスト・ウィテカーの絶妙な心理描写はさすが、アカデミー俳優の貫禄でしょう。
さて、もうひとりの主役であるトラヴィスも実に皮肉な役回りです。反戦集会に参加するほど、彼は人間の理性を信じ、あらゆる戦争という暴力的手段に反対していたのです。 そんな彼の信念は、彼女とインド旅行に行くための旅費稼ぎのために参加した、この心理実験で大きく変わることになったのでした。
実験のルールは、トラヴィスと同じ非暴力の徹底でした。しかし、繰り返される看守役の非人道的な対応に激高したトラヴィスは、自らすすんで囚人役グループをまとめ上げて、暴動を起こし、暴力で怒りを収めようとします。
実験が終わったときの帰路で、参加者の一人が「結局われわれは、サルを越えていなかった。」と自嘲する言葉に、トラヴィスも愕然とします。
結局トラヴィスの非武装理論は、頭の中での産物にしか過ぎませんでした。これは単に映画のなかのフィションと考えずに、日本の置かれた現状に対する警告と考えた方がいいのかも知れません。看守役側の非道な仕打ちに耐える演技を披露したエイドリアン・ブロディの役者根性も讃えたいと思います。
映画マニアの間でしばしば語りぐさとなっていたドイツ映画『es』とは、こんなえぐい内容だったのかと改めて思い知らされました。プリズンブレイクのファンだったひとや、群集心理に関心のある方は、必見でしょう。
映画的にも、なかなか楽しませてくれました。
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