のんちゃんのり弁のレビュー・感想・評価
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う~ん、評価がつけがたい作品です。
この作品は、ヨコハマ映画祭で観ました。 期待度ゼロだったのですが、思いのほか楽しめました。 小西真奈美がもう31歳かぁ。 もう少し、生活に疲れた感じがあると良かったのですが、 こにたんが可愛すぎて、作品も所々ふわふわしています。 可もなく、不可もなくといった、あまり深みのない作品かもしれません。
ママのお弁当だから。
いかにも昼ドラ?系のほのぼのドラマかと思いきや、
意外にも世知辛いドラマとなっているのに驚いた。
設定そのものはありきたりだが、
若い主人公の考えの甘さ、開き直りの早さ、図太さ。
あ~甘いわ、それじゃあ。と思わせるリアルの連発と
強い女にだらしない男。っていう定番の組み合わせ。
自立、自立、とエラそうにいきがっても、
世の中そうは甘くないことを突きつけてくれる作品だ。
こういう甘ったれ夫婦って多いんじゃないかな…。
夢を語る夫に憧れ、私が支えてあげるの♪なんて
結婚するも、蓋を開ければ仕事はしない、稼がない、
とんだナマケモノ、ろくでなしに為り下がる亭主。
可愛い子供も生まれたのに、これじゃあ困るわ!と
即離婚。ところが妻にだって何のアテもない。
とりあえず実家になだれ込み、親の世話になるも、
親とて大変な生活なワケで、さて自立をしなければ…
って、遅い!気づくの遅すぎ。(爆)
生活の基盤が整わないのに、早まりすぎでしょうが。
まぁドラマなんで…^^;仕方ない。
で、ご自慢のお弁当でいっちょ店を開くか!なんて
夢を掲げるも、まずはお勉強!というので弟子入り。
小料理屋の主人・戸谷(岸部一徳)の正しい伝授の元、
めきめきと腕をあげる主人公だったが…。
女がひとりで生きていくのは(多分)並大抵な事でなく、
ましてや子供を抱えていればなおさら。
それでもそういう道を選ぶのなら、やはりこのくらいの
苦労は当たり前なのかもしれない。
だけど思うのは、いちばん考えなければいけないのは
本当は、のんちゃんの気持ち。なんだよな。
のんちゃんのり弁の、のんちゃんとはひとり娘の名前。
彼女にとっては、お父さんもお母さんも大切な両親で、
それが離婚し、メチャクチャになっていくのが辛いのだ。
厳しい現実と自身の夢。
結局のところ、この夫婦は二人して同じことをしている。
自身の甘さや弱さを互いになすりつけては正当化する。
それに比べ、お父さんに逢えず、お母さんが忙しくても、
何も言わず我慢している子供がいかにオトナかが分かる。
子供ってエライな。
このドラマを観て、自分自身も反省することしきりなのだ。
大甘な人生を歩んできた人間にも再生の道はある!!
そんな、人生再出発・大教訓物語。という感じである。
(今やお弁当は298円の世界。厳しい現状はまだまだ続く)
おいしそうなお弁当
小西真奈美さんの今までイメージを一新するかのような元気な演技にパワーをもらえる作品。 明るく、元気一杯、前向きな主人公が下町の暖かい人々に助けられながら、夢を実現していく、心温まる映画です。 今リアルな問題として取り上げられている 就職難で失業者があふれ、手に職が無いまま結婚し、事情があり離婚して就職先探しに悪戦苦闘している女性が多い 現代にはあまりに現実味があるテーマ。実はとてもシビアな問題ではあるので、労働し、自立する者にとっての 激励が込められた作品なのかもしれません。 主人公の小巻は、31歳にも関わらず、何故にこんなに世間を見る目が甘いのか?と思うところもあり、 さらに離婚もしていないのに、健夫と甘い関係になったりと共感できないところもありましたが、 逆にその部分がリアルでよかったです。好きなことを仕事に出来る人はほとんどいませんが 彼女のように意思が強い生き方が出来れば、ある意味楽しい人生が歩めるかもしれませんね。 小料理屋の主人である岸部一徳さん、小巻の母親役の倍賞美津子さんも存在感がありました。 さらにのんちゃんがとてもキュートで愛らしかったです。 のり弁を始め、様々な料理が出てくるのですが、全ておいしそうなので、空腹で映画鑑賞はおススメできません。
さばの味噌煮がたべたくなる
とにかくお腹がすく映画。 観終わったた連れと定食屋に駆け込んで、さばの味噌煮をほおばりました。 舞台が下町、お弁当の話→人情モノ と思われそうですが、それだけではない、30女の遅すぎる挫折、諦念、それでもポジティブに生きる決断。大げさに言えばそんなことが描かれていますが、妙にあっけらかんとした主人公のおかげで、暗くならずにすんでいます。 そこがいいところ。 わたしはクスッと笑うたちですが、周りは爆笑してました。
監督の冷酷な目線が人の優しさや温もりを表出
東京の下町を舞台にしているだけに、この作品を紋切り型に表現すれば「下町人情物語」なのだろう。しかし、見終わったあと感じたのは、あまり下町人情などなく、むしろ人が人に対する厳しさや冷たさがこの作品の根底に流れていたことの驚きだった。それは、緒方監督の人間に対する目線の厳しさがあったからだと思う。 監督の目線の厳しさは、まず下町そのものの描き方からも感じられた。下町人情を売りにする冷たいおかみがいる飲み屋や多くの店が閉めなければならない、下町の現状を監督はしっかりと映し出す。だから、そんな背景の下町にやってきた30代子持ちバツイチ女性の苦労は、当然のように観客も受け入れられた。 その主人公への監督の目線も非常に手厳しい。この作品、主人公に向かってたびたび「責任」と言う言葉が投げかけられる。しかし、別れた亭主もそうなのだが、主人公は「責任」の意味を理解できていない。物語の前半、その理解できていない主人公の態度の歯がゆさが描かれたことで、後半、弁当屋を開業しようとする主人公の心の動きが、見ている側にもとてもリアルに感じられたのが、この作品の大きな魅力となった。 この作品の大きなテーマとは、本当の人への優しさとは何か、ということだと思う。お金などの物を与えたり、べったりとくっついてねこなで声で話しかけることではなく、優しくしなければならない相手に冷たく接することが、本当の優しさであり、人の温もりであることを、この作品では主人公の悩みや苦しみの中から教えてくれる。だから、ラストに弁当屋がはじまる日に、主人公が涙が止まらなくなるくらい号泣するシーンに、見ている側も泣きたくなるくらいの感動をおぼえるのは、本当の人の優しさや温もりに触れた主人公の感激が理解できるからなのである。 しかし、この作品のもうひとつのテーマである「責任」に関しては、監督は最後まで解答を主人公にも観客にも提供はしていない。そんな終わり方をしているためか、見終わったあとには自分の「責任」を考える余白を、監督から与えられたような気がした。この作品は、大事なものをもう一度見つめなおしてくれる、いい意味で道徳的な秀作ではないかと思う。
おかずが見えない
自ブログより抜粋で。 -- お話はといいますと、下町人情ドラマとして期待通りの王道で、脇を固める芸達者な役者さんたちの適材適所な好演もあって、安心して観ていられる。 料理モノの側面もあるけれど、序盤こそ、のり弁のレシピが解説されはするが、そっち方面には深追いしてない。基本的には下町の人情喜劇を愉しむ映画でしょう。 ただ演出的には平凡な印象で、良く言えば地に足の着いたブレのないまっすぐな演出だが、飛び抜けて感情が揺さぶられるようなこともなかったのが少々もの足りない。 わかりやすい伏線から最後はそう来るだろうと予想のついていた、いよいよお弁当屋さん開業という初日のお弁当作りで、小巻の見せたある感情も、いまひとつ説得力に欠いた。 こちらが好意的にいろいろ想像すれば、彼女の心境を推し量れなくもないんだけど、流れ的に唐突な印象がぬぐえなかったの。 思い立ったら誰も止められない、猪突猛進な小巻の奮闘ぶりは、はたから見てるぶんには女性の自立物語として気持ちいいもんではあるけれど、巻き込まれた周りはたいへん。 幸い周りの大人たちは、小巻に厳しいことを言いながらも、結局は彼女を理解し、力になってくれる。 しかし、そんな大人な対応を期待できようはずがない犠牲者もいる。最愛の娘、のんちゃんだ。 おそらく小巻は、そんなのんちゃんを憂い、あるいは、のんちゃんを通して、自分のわがままは周りの犠牲の上に成り立っていることに思い至ったのだろう。 そんな風に想像はできるけれど、実際どうなんだろう。 ここにまできて観る側に疑念が残るようじゃ、感傷的な見せ場も演出家の狙いほどには入り込めないよ。
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