「ジェインがいなかったら赤毛のアンもブリジット・ジョーンズもいなかった!」ジェイン・オースティン 秘められた恋 めぐ吉さんの映画レビュー(感想・評価)
ジェインがいなかったら赤毛のアンもブリジット・ジョーンズもいなかった!
原題のとおり、自由で闊達な“普通の女の子”だったジェインが、
“小説家ジェイン・オースティン”になるまでのお話です。
それにしてもびっくりするのは、この当時のイギリス、
中でも富裕階級がいかにイヤなヤツばかりだったかということ。
ジェームズ・マカヴォイ演じる青年は弁護士を目指しているのですが、
当時の弁護士とは、「金持ちの財産を貧乏人から守ること」が務めである、と。
そして、貧乏な牧師の娘であるジェインと、
裕福な(でもサイアクに嫌なヤツな)叔父を頼って弟妹を養っている
貧乏学生の恋も、“お金”とゆう現実の壁にぶちあたってしまいます。
さらにこの時代のイギリスの女性たちがどれだけ不自由だったことか・・・
彼の金持ちのクソ野郎な叔父は、ジェインを招いた食事会で
「女にウィットはいらない」と言い切り、
一本気なジェインは「そんなことはない!」と真っ向から
(正しいんだからきっと理解してもらえると確信して)
議論をふっかけてしまいます。
こうゆう、傍から見ると「あー、言わなきゃいいのに…」な経験、
ワタシにも山ほどありますし、
たぶん、ちょっと口のたつ女子なら嫌と言うほど経験済みでしょう。
同席している公爵夫人のような“賢い”女性は、
思っていても口には出さず、涼しい顔をしているとゆうのに、、、
でも、ジェインがこんな「オヤジ社会 vs. おんなのこ」とゆう
後の少女文学→L文学まんまみたいな闘いをはからずもしかけてしまい、
傍から見ればバカな選択をしてまで小説家の道を選んでくれたからこそ、
当時の英国女子はもちろん後世の女子たちまで、
ジェンダーロールにとらわれず、はねっ返りでいられる自由を得られたのですね。
そう、ジェインがいなかったら、赤毛のアンも、キャンディ・キャンディも、ブリジット・ジョーンズもいなかった!!!
ラストの、ちょっと寂しげな年老いたジェインの顔に、
心から感謝したくなりました。