劇場公開日 2009年7月4日

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「むう・・・(怒りのうめめき)」MW ムウ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

むう・・・(怒りのうめめき)

2020年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

寝られる

マイナス評価はつけられないのか。炎上ボタンはないのか。

”手塚先生 生誕80周年”を冠して、この作り?
何を考えているんじゃ。恥を知れっ!

手塚先生作品のどこに入れ込んで、この作品を映画化したのか?
 ただ話題性だけ?「映画化不可能と言われた漫画を映画化しました」って。
 愛がない。リスペクトする気がない。ただ、自分達が撮りたいものをとっただけ。

原作と映画は別物っていう意見は確かにある。うまく翻案している作品も知っている。だったら『オールユーニ―ドイズキル』のようにちゃんと別題つけて”改作”していること示せばいい(映画の原題は別題をつけているが、日本配給会社が原作の題をつけて配給)。そのうえで、より昇華させたものとして表現しなければ創る意味がない。その位の心意気で臨んでほしかった。

漫画の『MW』は単なる復讐劇じゃない。殺戮の為の殺戮を繰り返す結城と、それを止めなければと思いつつ翻弄される賀来、そんな賀来を疎ましく思いながらも別れられない結城。理屈ではない関係。そんな共依存関係を赤裸々に描きだしたから”禁断”なんだと思っていた。見たくはない、でも確実にある真実。神に仕える者の”実は”等の隠されていたものを次々に現す。そして、いつの間にか、読んでいる私達に、善と悪の対峙を迫るけれど、簡単に割り切れるものではない。そんな漫画。BL・MWや他にもえぐい描写があったけど、それだけじゃない。神経ガスなんてサリンが出る前からささやかれていて(実際にモデルになった事件もあり)、それが”禁断”では無かったはずだ。原作公開当時でも。

そんな『MW』を映画化するなら、結城と賀来の関係を描かないと意味がない。同性愛が描かれていないからっていうんじゃない。相手を切り離したいんだけど、求めてしまう、そこが描き切れていない。
 冒険アクション・犯人探しサスペンスなんていらない。二人の関係を描くのには。
 そもそも、予告やポスターで、破壊か祈りかってニ元対決みたいになっている点で、手塚先生ワールドを理解していない!って、気がつかなきゃいけなかった(私バカ)。手塚先生の物語はそんな単純な話ではない。原子・陽子という究極のミクロの世界に、宇宙というマクロを見る人。この漫画『MW』でも、光の中にどす黒い欲望を、闇の中に愛を入れ込み、それらの切っても切り離せない苦しさをとくと見せてくれる、そんな作品だと思う。それをわかり易く、煽り易く、対決もののように宣伝したこと自体、手塚先生作品を理解していない。(ましてや、映画では対決なんてしていない)
 また、一貫した手塚作品の流れを考えるのならやはりMWを中心とした社会派ドラマ。あんなに誘拐に時間艶してもねぇ。あの辺りはサクッとな。トムクルーズ氏映画の、この映像これしか使わないの?的な演出見習ってほしい。タイまで行ったからその部分を切れなかったんだと思うけど。

それでも、1000歩譲って、同名異作とみれば、ラストはそれなりに面白いんだけど、なんであんな音楽つけるかな。せっかくの余韻が、ただのクライムアクションになっちゃったよ。山田氏頑張ったのに。あの時点なら「切ない…」って余韻に浸れたのに。
 玉木氏は途中までは力不足かなと思ったけど、「おもちゃをなくしてしまった」っていう辺りの間は良かったなあ(手塚先生作品の結城とは違う人物だけど)。

カメラワークもへた。綺麗な映像があるんだけど、ぶれるは、そう動かすか、とじっくりと見せてもらえない。手塚先生のコマ展開で勉強しなさいって感じ。

設定も、タイのロケは見応えあったけど、島や基地とかその他もろもろ、同好会作成かと思ってしまった。

何度も繰り返すけど、”手塚先生生誕80周年記念”をうたってなければ、★2つくらいは差し上げる。けれど、手塚先生を冠していながら、愚弄するために作ったの?と言いたい出来なので、マイナス評価をつけたい。

せめて、原作をリスペクトする姿勢を示してほしかった。

とみいじょん