「なりきった玉木宏の役者魂に拍手!」MW ムウ カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)
なりきった玉木宏の役者魂に拍手!
手塚治虫作品の中でもかなり特殊な部類に入る作品。
だから、当然原作どおりには出来ないと思っていたが、
原作の雰囲気を十分掴んでいたと思う。
それに貢献したのは玉木宏の役作りだ。完璧なまでに
引き締まった身体を作り上げ、凄みを醸し出していた。
ボクサーのような凄まじい減量で
良い人というイメージを完全に払拭し、
主人公、結城美智雄という悪の権化になりきるのに成功した。
ストーリーも巧み。
冒頭から身代金強奪のトリックで魅せてくれます。
幾重もの策を張り巡らし、その上更にもうひと押しして、
ジュラルミンのアタッシュケースを強奪しちゃうところは
感心どころか、感動ものでした。
そして今の風潮をあざ笑うかのように、お金さえ奪えば
事件の関心は薄れ、脅迫されていた人の事など忘れちゃうのを利用して
本当の目的を遂げる、あの非道さはゾクッときます。
それと、話が単調にならないように新聞記者の話も巧みに織り交ぜ、
事件の核心に迫っていきます。
山田孝之、石橋凌といった役者さんたちも
玉木宏の全力投球にかなり煽られてはいたものの
彼だけが浮いてしまわないだけの力量で
しっかりと受け止めていたと思います。
リアリティを求めると、もう少し何とかしてください
というシーンは各所に見受けられましたが、
だとしても、スケール感の有る素晴らしい作品だと思います。
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