「映像もストーリーも非常に美しい! 落下する者を優しく鼓舞する大人の為の童話。」落下の王国 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
映像もストーリーも非常に美しい! 落下する者を優しく鼓舞する大人の為の童話。
撮影中の事故により下半身不随になったスタントマンが、木から落ちて腕を骨折した少女に出会い、ある目的のため彼女に自分が創作した物語を語り始める…というファンタジー&ヒューマン・ドラマ。
提供者に『セブン』『ファイト・クラブ』のデヴィッド・フィンチャーがクレジットされている。
あまり有名な映画ではないと思うのだが、何となく鑑賞してみて驚いた。
映像もストーリーも素晴らしいクオリティの傑作じゃないですか!
舞台は昔々のロサンゼルス。おそらく1900〜1920年の間くらい。
その病院での出来事は主人公である少女アレクサンドリアに着目して描かれる。
このアレクサンドリアがとにかくキュート❤️
これまでの映画史上一番可愛い子役といっても過言ではないくらい愛らしい。
小動物のようにちょこまかと病院内を駆け回り、可愛らしいイタズラをする様が凄くリアルで活きいきと描かれている。
見た目もプニプニしていて可愛らしい。前歯がないところとかも良い味出してます!
映画の序盤、アレクサンドリアがスタントマンのロイと仲良くなり、ロイに6人の山賊が主人公の叙事詩を聞かせてもらうようになる。
ロイの童話が始まると映画自体もそのお話の世界に飛び、6人の英雄譚が始まる。
病院での出来事と山賊たちのファンタジーが交互に描かれていくところがこの映画の面白さである。
ファンタジーの世界は、ロイが即興で作り上げていく物語が元になっているので、展開や筋書きはでたらめ。
アレクサンドリアが途中で口を挟むと、物語もその通りに変化していく。
この構造が面白いし、この映画独特のエッセンスとなっている。
このファンタジー世界の映像がとにかく凄い!
一見CGで撮影しているのかと思うほど、現実離れした映像が続くが、これは本当に世界中をロケして回ったのだそう。
ウソだと思うような景色の数々に心が奪われる。
一番びっくりしたのは象に乗って孤島を脱出するシーン!
これはCGだろ〜、と思っていたのですが、メイキングを見るとマジで象を泳がしている!
そこまでやるか!と思ったのだが、確かにあの迫力は実際に撮影したからこそだろう。
日本人デザイナーの石岡瑛子さんが担当した衣装も鮮やかで映画の世界観にマッチしており素晴らしかった。
可愛らしい少女とスタントマンとの心温まる交流が描かれていくのだが、映画も後半になると雰囲気がグッと重くなる。
自殺願望のあるロイが感情を爆発させてからの展開には胸が苦しくなる…
下半身マヒになった上、彼女を寝取られたら死にたくなるのもわかるよな〜…
重く苦しい展開が続いたからこそ、クライマックスでの展開には感動させられる。
自殺する為に始めた物語が、自分の心を癒すものに変わっていくという展開に、物語を作る人間の矜恃を感じた。
終盤で6人の英雄が死んでいく場面はちょっと鈍重さを感じたし、看護師のシスター・エヴリンの描きかたがちょっと中途半端だったかな、とか思ったが気になったのはそのくらい。
だんだんロイとアレクサンドリアが仲良くなっていく様子を見るだけで涙が流れた…
そしてロイがギリギリのところで立ち直った姿をみて、また涙😢
本当に良い映画を観させていただきました。
オープニングの映像もめちゃくちゃカッコ良かったし、スマートなエンディングも最高!
物語への愛が詰まった素敵な映画です!
とにかくオススメです!
自腹とは太っ腹!
石岡さんとシン監督は相性がいいみたいですね。
ちらっと見ただけでも、衣装はステキでした〜。
石岡さんの回顧展はこちらで開催中です。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/eiko-ishioka/
ぷにゃぷにゃさん、コメントありがとうございます😊
石岡瑛子さんの特集が放送されていたんですねー!初耳です〜
本作の衣装は本当に華やかで、映画の面白さを何倍にも引き上げていたと思います!
ちなみにこの映画、スポンサーが見つからずターセム・シン監督が自腹で作ったらしいです😵
監督の覚悟が決まっているからこそ、凄いパワーを持った映画になってるんだ!と感心しました!
BS日テレで「ぶらぶら美術博物館」という美術展を紹介する番組があるんですが、昨日、石岡瑛子さんの回顧展を取り上げてたんです。
そこで、この映画も登場してました。
最近、深夜にテレビ放送していたので、録画してあります!
楽しみに見たいと思います!