「クラゲでノーベル賞はとれても、アカデミー賞はとれない。」7つの贈り物 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
クラゲでノーベル賞はとれても、アカデミー賞はとれない。
あらすじを知ろうとすると結末が読めてしまう。「結末を口外しないでください」などと言われても、触れずにいると何も書けない。そんな映画。事前情報を何も仕入れず観るべし。
【ネタバレ注意】
ところが、あらすじを知らないと、冒頭からの展開がさっぱりわからない。ヒントは「神は7日で世界を作り、俺は7秒で人生を壊した」という前置き、「これから自殺する」というウィルの台詞、交通事故のフラッシュバック等々。さらに、国税局の徴収係として行動するウィルの回想シーンに、大企業ぽい会社でのプレゼンと奥さんとの幸せそうな一コマが挿入される。これだけだと勘の鋭い人なら想像できるのに、反対材料として精肉業者のコールセンターに電話して盲目のベジタリアン、エズラ(ウディ・ハレルソン)に罵倒を浴びせるという難解さ。
そして、リストにある名前エミリー・ポーサ(ロザリオ・ドーソン)を訪ね、老健施設経営者など訪ねまわるのだが、その行動には常に未納の税金という言葉が付きまとう。とにかく、主人公が何をしようとしているのか捉えどころのないので、前半はかなり退屈。ある意味、昨年公開された邦画『アフタースクール』のようだった。
さすがにエミリーが重度の心臓病であり、移植のためのドナー待ちだとわかった辺りで何をしようとしているのか気づきました。恋人のDVによって困ってるスペイン人女性にはウィル自身の家をプレゼントしちゃったりするので、他の人には何をプレゼントするのかな~?といった興味しかなくなってくる・・・これ以上価値のあるモノはないだろうに・・・
心臓と家。もしかするとハイデルベルグ印刷機を直したのもプレゼント?寝たきりのおばあちゃんをお風呂に入れるよう指示したのもプレゼント?などと考えたものだから、その点では驚愕の結末。贖罪もここまでくれば本物だ・・・といった感じです。だけど、あまりにもビックリしたものだから“7つの贈り物”が正確にわからない(汗)
1.エミリーに心臓
2.スペイン女性に家
3.児童相談所ホリーに肝臓
4.弟に肺
5.ホッケーチームの監督に腎臓
6.エズラに目
7.おばあちゃんに風呂?
ウィル・スミスの演技も、特にロザリオ・ドーソンが胸の傷を隠そうとする恥じらいなど、他の俳優の演技も素晴らしいものでした。そしてクラゲといったアイテムや、名前の秘密などもミスリーディングさせる巧い設定。友人であるダン(バリー・ペッパー)の役も観客を困惑させるための絶妙な人物だった。
しかし、どうなんでしょう。交通事故で7人も死なせてしまったことで、遺族に対する償いよりも全くの他人の生命を救う贖罪を生きがいとするなんて・・・宗教的には人間愛を称えられる善行なのでしょうが、無宗教の人間には納得できないかもしれません。
【2009年2月映画館にて】