劇場公開日 2009年2月21日

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「何と、重い…。」7つの贈り物 mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5何と、重い…。

2009年1月24日

泣ける

悲しい

難しい

「幸せのちから」の監督・主演コンビが再びタッグを組んだ感動衝撃作。軽い言葉で『感動』などと口に出来ない、非常に重い映画でした。

 上映時間2時間3分。その大半の時間、この映画は、スクリーンに映し出されるストーリーが一体何を語っているのか?どういうシチュエーションの下に進行しているのか?観ていてまったくわかりません。伏線となりそうな材料は少しずつ出てくるのですが、その出し方も非常に断片的で、結末を推察するまでには至りません。『何?コレは一体どういうコト??だから何なの?どうなるのさ??』そんな悶々とした思いをず~っと抱えていますので、非常に重苦しく、下手をすると“不快”と思いかねない時間が経過していきます。そして最後の最後に明らかにされる結末。これがまた非常に驚くべき内容で、それまでの“不可解な重苦しさ”とは異なる“真正面から投げつけられた感動的な重さ”に、思わず言葉を失ってしまいました。しかし観終わった後、吾輩の心の中には、猛烈な疑問が湧き上がってきました。『ベンが行なったことは、素晴らしい。しかし正しいことなのだろうか??』と。この文章を打ち込んでいる今も、この答えは出せていません。恐らく、そんな答えなど無いのです。しかし、この映画は観た人全てに、ラストで強烈なインパクトを与え、そしてそれぞれの胸に、“感動”と“素朴な疑問”を生み出してくれます。人が生きていく上で、犯してしまう過ち。それに対する“贖罪”を、人生を懸けて行なうことが、果たして人には出来るのだろうか…?薄っぺらな感動作ではなく、非常に重いテーマを投げかける“問題作”だと言えると思います。

 この映画のウィル・スミスは、ヒーローではありません。銃をブッ放したり、地球を異星人から救ったりしません。ごく普通の1人の人間です。「幸せのちから」で、そんなウィルの魅力をひきだしたガブリエレ・ムッチーノ監督が、本作でも再び“とてつもなく地味なウィル・スミス”を、非常に魅力的に撮り上げています。こういう”心に響く映画”を撮らせたら天下一品ですね、この監督さん。素晴らしい!この先きっとハリウッドを背負って立つ、名監督になっていくと思います。

 ほとんど予備知識もなく、何もわからないままに観てしまいましたので、吾輩の中でも観終わって、まだ整理がついていません。そういう意味からも、是非もう一度観てみたいです。恐らくまた今とは異なった感想を持つと思いますので。

mori2