近距離恋愛 : 映画評論・批評
2008年7月8日更新
2008年7月12日よりみゆき座ほかにてロードショー
パトリック・デンプシーだから許せる焦れったい恋
週末を必ず一緒に過ごす10年来の女友達への気持ちが、友情のはずがない。それに気付いた矢先に、彼女の花嫁付添人をつとめる羽目になった男を待ち受けるのは、ロマコメの王道の悪戦苦闘。鈍感すぎる男と女が繰り広げる恋はかなり焦れったいが、それが許せるのもパトリック・デンプシーだからこそ。かなりイケてるはずのニューヨークの優男が、自分とは対照的な婚約者から彼女を奪還しようとするものの、そのたびにすべてにおいて恋敵の実力を見せつけられて愕然とする姿が、なんともキュートなんである。親友コンビの恋をすれ違わせる出来事はツッコミどころがいっぱいだが、それも見方を変えれば恋愛成就のための反面教師。
しかも、くだんの婚約者も、いかついルックスとは裏腹に、実は女の夢が凝縮された王子様ぶりでうっとりさせる存在。嫁ぎ先のスコットランドの美しい風景とあいまって、観ているだけでも女心がテンションUPするのは間違いなし! ただ、大人の女なら、この親友コンビの紆余曲折にときめきながらも、冷静な視線を注がずにいられないのも事実。そう、セックス抜きで築いてきた関係は、男と女になった途端にこれまでどおりにはいかなくなるってね。
(杉谷伸子)