「応援団と凛々しい女」フレフレ少女 Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
応援団と凛々しい女
dTVで閲覧させていただいた。とても弱い応援団に入部している5人に、大先輩5人が合宿の大特訓をして、その厳しさにいがみ合いながらも、強い応援団に成長していく。リーダーは紅一点の9年前の新垣結衣。全然関係ないが私と誕生日が一緒だ。大先輩達にもそれぞれの人生の辛い状況があった。「ウオーターボーイズ」とか、「スウィングガールズ」とか、「シコ踏んじゃった」みたいな青春コメディーはとても良いジャンルだ。それらの映画にさらに応援団だからか、硬派的な作品である。一生懸命なところは泣けて来るのだ。この映画も片思いの人に片思いする人がいるという多重構成の片思いになっていたりする。青春の枠組み以内の淡いラブストーリーもあるのだ。新垣は、あの名作、ポッキーのCMを終えた頃だったようだ。まずこの時期に彼女は輝いていたのはわかるような気がする。砂山を登る途中で大先輩達が応援団を見せるシーンは泣ける。急に笑えるツボのシーンがあるのだが、それは秘密。秘密にすると私自身が忘れてしまうだろうが。新垣は、ポッキーにしても、この映画にしても、最近のヒットテレビドラマは全く観ていないが、どれもこれも身体的パフォーマンスにも魅せてきた女優人生だったかも知れない。というか、そういうのばかり私が観ているだけなのか。作品内容が硬派だ。高校生やるじゃないか。舞台は栃木県なのだ。どうもネタバレ型のコメントばかりする私なので申し訳がない。しかしそれからも泣けて笑えている。観ながら同時に観るスタイルなのでこうなる。というか、このスタイルでないとこうは書けないのだ。根性と熱意と誠実は、反対していた人をも味方にする。だんだん応援が様になっていく過程も見事だ。だけど、私なんかできない事だけど、随分下の後輩にも関与してくれる大先輩も実際にも多くの高校にいるわけで、そういう人達も凄いなと思った。クライマックスの応援のシーンの映像は美しい色と構図だ。応援団は暑い真夏でも黒い制服に身をつつみながら激しく動き、大きな旗をずっと持っている人がいたりする、理窟に合わないような存在なのだが、その気合と根性という古くさい、現在は批判もされてしまいそうなところが、なぜか心に響いたりする。主人公の女性の応援団長は祈りだけではなく、言葉と力で伝えて欲しいと叫ぶ。確かに祈っているだけに加えて汗をかきながらの叫びとパフォーマンスが加わるのが応援である。これは祈りだけでもという気持ちもあるかも知れないが、表現して初めて分かってもらえると言うのは確かに現社会には有る。いがみ合っていた人達も最後に分かり合うし、悪者のいないドラマだった。「我々がここまでやって来られたのは好敵手に恵まれたからである」。ラストシーンも良いのだった。ただ、製作のテレビ朝日も松竹も最近は硬派を忘れてしまっていないか。