劇場公開日 2008年8月23日

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「戦争映画じゃない。青春ドラマだ」ラストゲーム 最後の早慶戦 月子さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争映画じゃない。青春ドラマだ

2008年9月3日

泣ける

悲しい

知的

第二次世界大戦中の東京。
早稲田と慶応の誇りであった大学野球、
「早慶戦」が、学生たちの徴兵によって中断をやむなくされた。

戦争という、狂気じみた時代の波に翻弄されながらも、
必死で早慶戦を復活させた大人たちと、
もうすぐ散る命の意味を、これまで生きてきた意味を
「野球」に賭した青年たちの物語。

とても重要だと思うのが、
この映画は「戦争映画」ではなく、「戦争時代を生きた人間たちのドラマ」
として作られたということではないでしょうか。
ヒューマニズムあふれる作品をたくさん作ってきた神山監督らしい、
台詞の数々が胸に響きます。

最近、はすに構えたりフザケただけの印象しか残らない
映画ばかりだったけれど、たまには、こういうふうに、
歴史的事実に正面から向き合った「まっすぐ」な映画
もないと・・・と思わせてくれる、とても良質な香り漂う作品。

鬼束ちひろさんの「蛍」がまたよく映画にマッチしています。

「その一瞬が、永遠だと
貴方は教えてくれたひと」

最後の一戦を、永遠に胸に刻んで逝った
青年たちのはかない光のようにも思え、
ふと胸の奥が温かくなりました。

月子