劇場公開日 2008年8月16日

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「傷心から、突然の出会い、意に反する結婚生活、反発と理解などすごく表情に意味づけと変化が求められる演技だけに、主役の二人は好演していると思います」ベガスの恋に勝つルール 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0傷心から、突然の出会い、意に反する結婚生活、反発と理解などすごく表情に意味づけと変化が求められる演技だけに、主役の二人は好演していると思います

2008年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 本当にあり得ない恋の話を実に見事に有りそうな話に演出して楽しませてくれました。 まずは、父親の会社でクビになるドラ息子ジャックと何事も計画通りでないと気が済まないことで婚約者を失ってしまうジョーイの見事なシンクロで、たまたま二人がベガスで出会ってしまうところを描きます。傷心の二人が互いの傷を忘れあうようにベガスで遊び狂い、飲み明かし、意気投合するところは納得の流れでした。
 それでも翌朝一気に結婚してしまったことになっていたのは、驚きました。結婚シーンがないのです。えっと思ったら、エンドロール途中に突如出てきましたよ。二人のノリノリの結婚式シーンも、傷心の複線があればこそですね。

 そして300万ドルを射止めるシーンも劇的であれば、その後300万ドルを巡って訴訟となり、結果裁判所で二人が半年間結婚生活を命じられるところも傑作でした。このときの裁判長のご意見ごもっとも。軽薄に結婚してしまった二人への罰としては、最高の刑罰でしょう。

 さてさて、嫌々ながら結婚生活をしなければならなくなった二人に早速、カルチャーショックが襲います。小地蔵の分身も、デートもしなくていきなり結婚したことがありましたが、いきなり知らないもの同士が同居するとお互いのちょっとしたクセがすごく気になるのです。
 部屋の整頓やトイレの蓋の上げ締めに至るまで、決めたとおりでないと気が済まないジョーイにとって、ジャックとの共同生活は信じられないことばかりだったのです。それはジャックも同じでした。このシーンを見ていると、結婚生活って大変だなと身に包まされます。

 二人の身を削るような共同生活。しかも定期的にカウンセラーに通って夫婦生活が順調に進んでいることを裁判所へ証明する義務まで負わされて二人の友人は、何とか打開策を考えます。そして互いに相手を浮気させようと仕組むのですが、互いに相手の計略を読んでいて、その上手を行こうバトルしあったところがおもしろかったです。

 ことごとく反発しあうのだけれど、お互いに恋いに不器用なにている二人。でも後半になるとジョイの繊細さ、そして美貌を印象づけていき、ジャックもちゃらんぽらんの中に優しさや誠実さ、そしてはっとさせる男前ぶりを見せていきます。
 この小出しな展開が、この物語の感動を深くしているところだと思います。
 観客から見ても少しずつ、相性いいかもと思わしめていく演出が小憎いですね(#^.^#)

 前半の憎たらしいキャリアウーマンが、輝くパートナーに変わったとき、キャメロン・ディアスはいい女だなぁとつくづく思いましたよ。心境の変化にメリハリがあって、表情がその都度変化していきます。
 傷心から、突然の出会い、意に反する結婚生活、反発と理解などすごく表情に意味づけと変化が求められる演技だけに、主役の二人は好演していると思いますよ。

 おっと300万ドルの行方と肝心の二人の結末。なかなか一筋ならでは決着がつきませんでした。感動のラストシーンまで、あっと驚くどんでん返しをお楽しみくださいね。(どうなったかは内緒)
 特にジャックの「君に賭ける」という名台詞に、ジョイの答えがジンときますよ。

 ところで、エンドロール後もサービスショットがありますから、途中で席を立たないように。

流山の小地蔵