劇場公開日 2009年5月23日

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「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえる」重力ピエロ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえる

2021年6月9日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

伊坂幸太郎の原作は未読。
悲しい過去を背負った家族の家族愛の物語。
大学で遺伝子の研究をする兄の泉水と落書き消しの弟の春、今は養蜂を営む父と亡くなった母。
彼らの住む仙台で連続放火事件が発生。
春は自分の消す落書き〈グラフィティアート〉の近くで放火事件が起きている規則性に気づく。
そして、そこに書かれた文字の頭文字はDNAの配列だと泉水は見抜く。
何気ないその放火事件の真相を追っていくと家族の悲しい過去にたどり着いた。

正直、放火事件の犯人とかある程度の展開は序盤で読めてしまう。
ただ、この作品で重要なのはそこではなくてもっと深い部分。
ミステリー要素が強いのかと思いましたが、純粋なヒューマンドラマでした。
そしてそれが良い。
申し訳なさそうに進む伏線回収、随所随所の胸糞具合、それに比例したスカッとする兄弟愛。
地味ではあるけれど、少しずつグサグサと深く胸に刺さってくる感じ。
重い話ではありますが、見終わった後は少し清々しさも感じる秀作でした。
春が落ちてくる、マイケル・ジョーダンのサイン入りバット、大事な時はいつも兄がいた。
グラフィティアートは不器用なメッセージの伝え方だったのかな。
みんな大好き加瀬亮と岡田将生のコンビはもちろん、外見を変えても昔の雰囲気を残しているストーカー夏子さん役の吉高由里子の演技が素晴らしかった。
その他、鈴木京香やおっさん勢も難しい役どころを名演。
幼少期の春を演じたのが、若き北村匠海とは驚き!
伊坂幸太郎作品全然読めてないですが、これは原作読んだ上でまた観直したいと思います。

追記:どんな写真でも春の後ろに映り込む夏子さんが若干ホラー。

唐揚げ