ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢 : 映画評論・批評

2008年10月28日更新

2008年10月25日より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほかにてロードショー

ミュージカル「コーラスライン」の真実に迫る本物のドキュメンタリー

最近、急増中のドキュメンタリーは良作揃い。中でもこれは、ドラマ性、エンターテインメント性、観客を圧倒し心を揺さぶるパワーがとてつもなく際立った、本物の一級品だ。この作品が映し出すのは、映画化もされたミュージカル「コーラスライン」の再演オーディションに集まってきた人々。彼らは口々に、いかにこの作品が自分にとって特別かを語る。これは私自身の物語だ、と。なにしろこれは、ミュージカルのオーディションそのものを舞台化したミュージカルなのだ。映画はオーディションと並行し、「コーラスライン」の真実にも迫っていく。演出家マイケル・ベネットがいかにこの作品を作っていったのか。当時の貴重なオーディション・テープやインタビュー映像は、これが本当に「彼らの真実」の物語なんだと実感させてくれる。

見ていて驚かされるのは、華やかなスポットライトに隠された、ブロードウェイの厳しさ。ここでは作り手も演者も、芸に対する情熱が尋常じゃない。1年近くも続く(!)オーディションは、闘いそのもの。ライバルとの闘いより壮絶なのは、実は自分との闘いなのだ。

有名人も素人も同列の場で、人生の光と影が交錯する。実力があっても勝ち残れるとは限らない。自信と不安。希望を持てば持つほど、がんばればがんばるほど、傷つく可能性も高くなる。葛藤の中で傷だらけになりながら、それでも自分の存在すべてをかけて挑むパフォーマーたち。なぜ、そこまで? その強さを支えているのは、心の底から演じたいと願う心、自分を、夢を信じる力。その思いに心が震え、熱い感動がこみ上げてくる!

若林ゆり

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