劇場公開日 2009年2月7日

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生 : インタビュー

2009年2月6日更新

80代の老人として生まれ、成長するにつれ若返り、最後は赤ん坊として死んだ1人の男の数奇な人生を悠々と綴った愛の物語「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」。08年度のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞を含む最多13部門のノミネートを受けた本作について、タイトルロールを演じたブラッド・ピット、ベンジャミンの生涯を最後まで見届ける最愛の人デイジーに扮したケイト・ブランシェット、そして監督のデビッド・フィンチャーに話を聞いた。(取材・文:森山京子)

ブラッド・ピット インタビュー
「あとどのくらいの時間が残されているのかを意識するようになった」

ブラッド・ピットは自身初のアカデミー賞主演男優賞のノミネートとなった
ブラッド・ピットは自身初のアカデミー賞主演男優賞のノミネートとなった

──アカデミー賞ノミネートおめでとうございます。

「ありがとう。このノミネーションはみんなの努力の結果だから、みんなで喜んでいるんだ。この映画は演技、音楽、撮影、編集、脚色、そして演出、あらゆるレベルで成果を上げて、素晴らしく価値ある作品になったと思う。だから出来るだけ多くの人に、何度も何度も見て欲しいね」

アンジー、ブラッド・ピット、フィンチャー監督 (1月29日のジャパンプレミアにて)
アンジー、ブラッド・ピット、フィンチャー監督 (1月29日のジャパンプレミアにて)

──デビッド・フィンチャー監督は、2001年からこの映画に取りかかったと話していますが、あなたもその頃からプロジェクトに加わっていたのですか?

「実際に参加したのは撮影が始まる1年半くらい前からだけど、もちろんこの企画はいつもデビッドと話していたよ。彼は、1人のキャラクターの出生から死までを追いかけ、その人生がどのようになっていくか責任を持って見て行きたいと言うんだ。人が成長していくような印象を観客に残すべきだって。だから僕はこのベンジャミン・バトンを演じたいと思ったんだ」

──あなたは「ベンジャミン・バトン」をどのように見ているのですか?

「僕たちはこの限りある人生というものについて良く話したよ。企画を練っている間に、デビッドは父親の死を体験した。エリック(・ロス=脚本家)も母親の死について話していたし、撮影中にはアンジーのお母さんも亡くなったからね。そういうことに普通はあまりフォーカスしないものだよね。ホスピスで働いている友人に聞いたんだけど、最後の数日間に患者たちが話すことは、愛や喪失についてだけだというんだ。成功や業績じゃなく、愛をどのように扱って来たかに関しての後悔。それだけしか話さないというんだ。死ぬ運命だからこそ、人間は愛したいんだ。それこそがこの映画がフォーカスしているところなんだ」

母方の祖父に似ているとのこと
母方の祖父に似ているとのこと

──ベンジャミンを演じたことで学んだことはありますか?

「僕にはあとどのくらいの時間が残されているのかを意識するようになった。そしてその時間を大切に使いたいと思うようになった。家族と、大事な人々と過ごしたいと。それから周囲の人を違う目で見るようにもなった。誰もがその人なりのストーリーを持っている。驚くほど素晴らしい瞬間を持っている。その瞬間がその人の存在になり、人生になっていくんだってことを思い出させてくれた」

──老人顔のシーンが長いですね。特殊メイクが大変だったでしょう?

「あの顔が出来るまでには随分時間をかけて何度もテストをしたんだよ。最終的に決まった顔を鏡で見てびっくり。僕の母方の祖父に似ているんだ(笑)。メイクのために毎朝3時に起きるんだから大変は大変だけど、でも思ったほどじゃなかった。ただ座っているだけだから新聞を読む時間が増えたり、贅沢な面もあったよ」

盟友フィンチャー監督とは 長い間議論を重ねてきた
盟友フィンチャー監督とは 長い間議論を重ねてきた

──今より若い時を演じるのはチャレンジでしたか?

「若い時期というのはすでに体験してきているから、年を取る方がもっと想像力が必要だったよ。過去より未来のほうがチャレンジングだと思うよ。ベンジャミンは見た目と実年齢にギャップがあるから、常に本当の年齢を計算して意識しなくちゃいけない。セットで一番大変だったのはそれだね」

──フィンチャー監督と組むと、いつもあなたの可能性が広がります。彼のことをどう思っているんですか?

「映画を作る時に一番大切なのはストーリーテラーだ。その最も偉大な1人を見つけたってこと。しかも彼は僕の友人でもある。ラッキーとしか言いようがないね」

>>ケイト・ブランシェット インタビュー

インタビュー2 ~ブラピ、ケイト、フィンチャーが語る「ベンジャミン・バトン」(2)
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