「わざとらしさが空回り」252 生存者あり odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
わざとらしさが空回り
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小笠原海底地震でメタンハイドレート層が破壊、海水温の急上昇(35℃)、瞬間最大風速110mの台風出現としているが見ないふりの予報課長は何なのだろう、予報が遅れ東京は大パニック、これは人災だろう。
日テレ55周年記念映画、冒頭からお台場のフジテレビが高潮に襲われ、球体展望台が海に漂うシーン、敵意剥き出し、それほど憎かったのか・・。
主なパニックの舞台は地下鉄構内、「地震列島(1980)」は「赤坂見附」だったがこちらは「新橋」。いわば日テレのおひざ元、閉じ込められ水が迫るシチュエーションまで同じ。元レスキュー隊員が活躍するのはハドソン川のトンネル事故からの脱出映画、スターローンの「デイライト(1996)」の模倣にも思えるが原作の小森陽一は「海猿」の作家でもあるのでレスキュー物がもともと得意なのだろう。それにしても酷い脚本、災害に加えてダメ上司、怖がらせる、泣かせるにこだわる余り強引なハプニングの連続で右往左往、人間関係もぎくしゃくで終盤までストレスが溜まる一方。
前置きの人物描写はこの種の映画の手続きだから仕方ないとしても長すぎるし技量の割には欲張りすぎで中途半端、わざわざ失語症の子供を出して何度も殺しかけ最後に叫ぶ仕掛けは凄いが、作り手のお涙頂戴意図がみえみえ。
パニック映像も中途半端なテレビ的構図の短いカットバックが多く騒いでいるのはわかるが、何が起きているかはさっぱり見えない、ブームマンが下手なのか声をまともに拾えていないので聞き取りにくいシーンが多いし整音もできていない。意気込みは買うが演出が空回りわざとらしが気になる、テレビ屋さんでなく東宝のプロに作らせたら凄い映画になったろうに残念だ。
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