劇場公開日 2008年7月5日

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クライマーズ・ハイのレビュー・感想・評価

全69件中、1~20件目を表示

4.5誰よりも記者の顔になっていた堺雅人

2021年9月20日
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鑑賞方法:試写会

2008年、丸の内TOEIで行われたマスコミ完成披露試写会で鑑賞。
観た直後は、細かい描写について色々思うところがあったのが、その後、何度となく観直していくうちに、個人的に原田眞人監督作のなかでは突出した出来栄えの作品と感じるようになった。
横山秀夫の素晴らしい原作ありきなのはもちろんだが、堤真一とともに作品をグイグイ牽引していったのが堺雅人だった。この作品の堺は、完全にロックオンされた状態で、日航機墜落の現場を取材して眼光が別人になってしまった姿は、今でも目を閉じればすぐに浮かんでくる。

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大塚史貴

3.5新聞記者ってやっぱりヤクザだね

2025年9月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

ドキドキ

2008年公開作品
約15年ぶり二度目の鑑賞
サブスクでは観れないTSUTAYAレンタル人気ランキングのベスト10入り

原作は『半落ち』『出口のない海』『64 ロクヨン 前編』『64 ロクヨン 後編』『影踏み』の横山秀夫
監督と脚本は『魍魎の匣』『日本のいちばん長い日』『検察側の罪人』『燃えよ剣』『ヘルドッグス』の原田眞人
脚本は他に『草原の椅子』『彼女の人生は間違いじゃない』『凪待ち』『Gメン』『碁盤斬り』の加藤正人
『脳男』『草原の椅子』『ちょっと今から仕事やめてくる』の成島出

1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故をめぐる地元紙「北関東新聞」の他紙との報道合戦を描いた作品
とはいえ他紙の人たちは殆ど登場しない
北関東新聞の紙面を巡る権力争いが中心
いや内乱かな

全権デスクの悠木と社会部部長の等々力の罵り合い
編集部に乗り込み猛抗議する販売部
地域報道班の等々力のキレぶりに対して冷静に熱意を示す佐山
新聞社の社長らしからぬキャラクターの白河

原作者の横山は元上毛新聞記者
だからと言ってそっくりそのままの体験談を書いたわけではなかろう

悠木は子供の頃に映画館で母親とその恋人の米兵と3人で観たカーク・ダグラス主演『地獄の英雄』がきっかけで新聞記者になった
「チェックダブルチェック」
北関東新聞の男たちは攻撃的な性格が多く彼もまたそうだがスクープに対しては慎重になり部下に対し裏を取ることを重要視するため東京の他紙に先に抜かれてしまった
なんやかんやで責任を取り新聞記者を辞めてしまう
仕事一筋のためとっくの昔に離婚し息子は白人女性と結婚しニュージーランドの片田舎に住んでいる
新聞記者を辞めた悠木はニュージーランドでレンタカーを借りて息子夫婦と孫に初めて会いに行くところで作品は終了する

北関東新聞の人間どもを描くため映画としてカット数はやたら多い
俳優の熱のこもった演技も手伝い見応え十分
あの物言いは初見では大袈裟に感じたが今あらためて観るとリアルかな
あの田久保眞紀伊東市市長が議会から出てきたときに出入り口でインタビューする東京?のマスコミとかヤクザかマル暴のそれのよう
ミヤネ屋にレギュラー主演している読売テレビ解説委員の高岡氏が苦言を呈していたけどまあ僕はもそう思う
何様なんでしょうか
正直に言えば自分たちは特別だと思ってるからね
視聴者はマスコミを通じて権力者を見てるけどマスコミのことだって見てるのにね

配役
遊軍・日航機事故担当全権デスクの悠木和雅に堤真一
社会部・県警キャップの佐山達哉に堺雅人
地域報道班の玉置千鶴子に尾野真千子
社会部長の等々力庸平に遠藤憲一
政経部デスクの岸円治に田口トモロヲ
社会部デスクの田沢善吉に堀部圭亮
地方部デスクの山田厳に金子和
整理部の吉井弁次郎にマギー
地域報道班の神沢周作に滝藤賢一
販売局長の伊東康男に皆川猿時
整理部長の亀嶋正雄にでんでん
政経部長の守屋政志矢島健一
広告部長の暮坂直樹に樋渡真司
投稿欄担当の稲岡信也に山田明郷
地域報道班の森脇時彦に矢柴俊博
地域報道班の仁科靖に内浦純一
広告部員の宮田に滝直希
社会部県警サブキャップの川島に若松力
校閲部員の馬場に佐藤真弓
校閲部員の浜に小浜正寛
校閲部長に小島康志
地域報道班に眼鏡太郎
運動部長に岸博之
写真部部員に浜近高徳
社会部部員に竹井亮介
社会部部員に藤井宏之
社会部部員に藤田政則
社会部部員に古田康太
政経部部員に石橋徹郎
政経部部員に坂部宏行
政経部部員に日比大介
生活文化部部員に大木章
生活文化部部員に関野昌也
生活文化部部員に田子天彩
生活文化部部員に向井章介
地方部部員に吉野正弘
運動部部員に浦田哲
運動部部員に吉井興
写真部部員に岡けんじ
整理部部員に荒木秀行
整理部部員に石坂晋輔
整理部部員に大田正樹
整理部部員に大橋一三
整理部部員に落合順
整理部部員に斉藤祐一
整理部部員に瀧川英次
整理部部員に吉田慎之介
校閲部部員に中脇樹人
校閲部部員に細川智三
校閲部部員に村松和輝
機報部部員に尾上博美
機報部部員に佐伯新
機報部部員に白石タダシ
機報部部員に藤原哲平
機報部部員に山口あゆみ
全国紙の記者に山崎清介
上野村役場事務員の黒澤直子に猫田直
墜落現場にいた救助隊員に田村泰二郎
警察署長に大西武志
羽田空港の乗務員に飛鳥井みや
悠木の息子の悠木淳に吉川史樹
悠木の馬場に東條織江
新聞を買いに来た遺族に村岡希美
マスコミ関係者に原田遊人
顧問弁護士に野元学二
事故調査委員長の藤浪鼎に大鷹明良
元社長秘書の黒田美波に野波麻帆
安西耿一郎の妻の安西小百合に西田尚美
編集局長の粕谷隆明に中村育二
編集局次長の追村穣に螢雪次朗
安西耿一郎の息子(成長後)の安西燐太郎に小澤征悦
販売部の安西耿一郎に髙嶋政宏
社長の白河頼三に山﨑努
中曽根総理の靖国神社公式参拝を伝えるニュースキャスターに露木茂

役名不明
不二子
水上竜士
李鐘浩
神尾佑
筒井巧
植村喜八郎
など

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野川新栄

5.0あの大事故を風化させないためにも語り継がれて欲しい作品ですね。

2025年7月13日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

約65年にわたって愛され続けた丸の内TOEIさんも7月27日(日)の閉館まで残すところあと15日。
本日は横山秀夫氏原作、原田眞人監督作『クライマーズ・ハイ』(2008)を鑑賞。

『クライマーズ・ハイ』(2008年/145分)
1985年8月12日、群馬県に墜落した単独機としては史上最悪の「日航機123便墜落事故」。
当時夏休みの真只中だったので朝から晩までワイドナショーやニュースに釘付け。
1985年の夏休みは殊の外強く印象に残っています。
あの大事故から今年で40年、月日が経つのは早いものです。

本作ではそうした未曾有の大事件に直面した地元地方新聞社の新聞記者たちの奮闘と彼らをまとめる全権デスク・悠木和雄(演:堤真一氏)の刻苦と葛藤、さらに編集部門以外の広告、販売、印刷など新聞社内部の流れや各部署との駆け引きが1985年当時の空気感を完全に再現、リアルに描かれています。

携帯電話はおろかワープロや無線さえもないなか、未開の事故現場へ登る取材の不便さと過酷さや、コンプライアンスゼロの昭和の鉄火場のような職場の雰囲気は今の若い人には想像できないでしょう。

また、かつて同県内で起こった大久保清事件、連合赤軍あさま山荘事件の取材歴だけで現在の地位を固めポストにしがみつき、社内権力争いのみに奔走、若手のスクープを潰そうとする上司たちの嫉妬や妨害、体面だけを重んじる主筆の言動に翻弄され、ジャーナリズムの本分を見失いそうになる悠木の揺れる心や、他紙を出し抜くスクープを前にしながら裏取りするまで決断できない仕事における彼の信条は、同じサラリーマンとしても共感でき企業ビジネスドラマとしても実に骨太で秀逸です。

全権デスク・悠木以外にもジャーナリズムを全うし、他紙も圧倒しようとする若手記者や編集スタッフや、徐々に悠木の熱意にほだされる上司たちも魅力的に描かれています。

18年ぶりに改めて鑑賞すると、出演陣が実に豪華でこれ以上ない適役ばかり。

全権デスク・悠木役の堤真一氏はじめ、凄惨な事故現場を目のあたりにする県警キャップの堺雅人氏とサポートする滝藤賢一氏。
男女雇用機会均等法施行直後のなか奮闘する地域報道班役の尾野真千子氏。
悠木の同期の政経部デスクの田口トモロヲ氏や、社会部デスクの堀部圭亮氏。
常に悠木をサポートする整理部長役のでんでん氏やマギー氏。
上司の方も、小物感漂う編集局次長の螢雪次朗氏、徐々に心変わりをはじめ悠木に協力する社会部長の遠藤憲一氏、調整役に徹する編集局長の中村育三氏。
そして自身の遊興にのみ関心を示し社内に隠然たる影響力を持つ主筆の山崎努氏。
現在でも名優・バイプレーヤーとして第一線で活躍する方たちが勢ぞろいで驚きます。

あの大事故を風化させないためにも語り継がれて欲しい作品ですね。

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矢萩久登

遺族にムチを打って金を儲ける映画

2025年2月15日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

被害に遭遇されて亡くなられた方々の霊や遺族を
傷つけて金だけ儲けるだけの映画。

事故の犠牲者とほとんど関係なく記者の世界だけを
事故をだしに使って描いてるだけの映画。

胸糞悪くなった。製作者や監督などは事故の被害そのものでなくてそれ以上のなにをみてほしいの?
役者が力みかえって演じるほど不快を禁じ得ない内容だった。0点

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四葩

4.01985年・・・もうすぐ40年なんですね。

2024年9月19日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

日航機墜落事故を取材する地方紙記者の奮闘を描く物語。

BS/CSで度々放送されていて気になっていた作品ですが、WOWOW放送を期に鑑賞。
期待に違わぬ良作でした。

地方新聞に、突然湧いてきた墜落事故。特ダネの高揚とプレッシャー、そして多くの・・・無惨な人の死の狭間で、記者たちは苦悩していきます。
「営業と編集」「世代間」等の会社内での軋轢も描き、物語に厚みをもたらせます。
日航機墜落事故を描くに相応しい、重厚な社会派ドラマだったと思います。

上映時間145分はかなりの長編ですが、それでも詰め込み過ぎに感じられたのは残念なところ。
例えば、主人公とその息子。息子との不和を想像させるエピローグになっていますが、本編ではその描写は一切なく、戸惑いを覚えます。
中途半端にしか描けない部分は、思い切って端折った方が完成度は上がったように思います。多少、余韻は薄くなるかもしれませんが・・・

私的評価は4にしました。

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よし

4.0重くなりそうな素材を登山を通して進んで行くのが良いです。

2024年6月17日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

今日も過去のDVDから適当にチョイス。
若し頃の堤&堺さんです。その他のキャストさんも皆様、名バイプレイヤーです。
誰一人かけてはならないキャストな感覚です。

この映画を通して、新聞業界のすさまじさを感じました。
今でこそ、紙離れしてしまいましたが、一世風靡していた頃は皆ハンパな気持ちで
事件を追っていたのではない競争の世界を感じます。

そして、その中でも堤さん演じる、悠木さんの人間味のある部分が光っています。
何度みても良い作品です!

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みっちょん

4.0迫真の演技とカメラワーク

2024年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

難しい

この映画の扱うテーマは1985年8月の日航ジャンボ機墜落事故。当時まだ子供だったが、リアルタイムでテレビ報道を見た衝撃を覚えている。
社会人になって一時期空港に関わる仕事をしたことがあり、縁あって日航の安全啓発センター(羽田空港)を見学させて頂いた。また、1年だけだったが群馬県にも住んだことがある。そうした個人的な経験もあり、この映画に関心があった。

映画は事故そのものではなく、それを取材し、記事にする地元新聞社員たちの激動の日々をドキュメンタリータッチに描く。時折、谷川岳登山や、事故に関連する現場の場面が出てくるが、大半が新聞社の編集局という1フロア内での出来事だ。

まず圧倒されるのが、俳優達の演技の熱量。堤真一、堺雅人、尾野真千子、遠藤憲一、でんでん等の実力派が、未曾有の大事故を地元新聞の威信をかけて記事にするという意気込みを迫真の演技で伝えてくる。言葉と体の動きに熱を帯びている。
そしてその演技を追うカメラワーク。あたかも自分が現場に居合わせた目撃者になったかのように、目線に合わせて画面がブンブン動き、ときに引きの画、ときにクローズアップ。そのスピードも速い。このカメラワークが緊迫感を更に引き上げる。

クライマックスで、主人公悠木(堤真一)は決断を迫られる。確実な裏取りなしでスクープを打つか、打たないか・・・。ヒートアップする編集局内で「クライマーズハイ」状態になりそうな自分を必死に抑え、「チェック・ダブルチェック」と繰り返し唱えて出した結論・・・。

事件・事故報道のあり方、社内政治、プロフェッショナリズムといった社会的な問題を提起するような作品ではあるが、やはり俳優達の演技とカメラワークの秀逸さに映画としての完成度の高さを感じた。

最後に。賛否はあるかもしれないが、この大事故を風化させないためにも、この映画をこれからも繰り返し再放送してほしいと願う(2023年夏NHKBSで視聴。2024年5月再視聴)。

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TS

5.0日航機墜落事故

2023年10月25日
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出演者が素晴らしいので観ました。
堤さん、堺さん、山﨑そん、尾野さんが良かった。
記事を出す時はダブルチェック!、今のマスコミはどうなんでしょうか?
楽しめました。

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alextm

5.08月半ばに鑑賞することの重み。事故を忘れない。

2023年8月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

堤さんが適役。脇をかためるでんでん、マギー、遠藤憲一、売れ始めた滝藤賢一、そして堺雅人がフレッシュだ。

出番は少ないが高島政伸、小澤征悦も。

山崎努扮する社長はちょっと理解不能。

私事だが当時の新聞記事(全国紙)に亡くなられた方の顔写真がのっており、映画で最後にでてくる遺書のことも強烈に覚えていて泣ける。

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ハマー

4.0一言「面白かったけどなあ・・・」

2023年8月14日
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原作を読んだのは遥か昔なので、新たな気持ちで鑑賞。

1985年当時、ネットも携帯電話もない。
県警記者が「どうやら飛行機が墜落した、らしい」と掴んだネタを。
そこから山を登り、借りた無線機で記事を口頭で伝える。
その記事を仕上げていく様が、昭和テイスト満載。
泥臭い駆け引きなんかもあったりして。

あっという間に2時間半、終わっちゃいました。
共演陣も実力派揃い・めちゃ豪華でした。

ただ。
主人公の現在の話の中で、回想シーンとして作られているので。
個人的には、新聞社だけの方が、映画的にはすっきりしていたような気も。

⭐️今日のマーカーワード⭐️
「とことんやる。それが地元誌の存在意義」

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ゆき@おうちの中の人

4.0新聞人の誇りをかけた戦い

2023年8月13日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

堤真一扮する北関東新聞社悠木和雅は、息子をジャンボに乗せるべく飛行場に行った。その後日航123便がレーダーから消えたと言う一報が来た。悠木は日航墜落事故担当全権デスクを命ぜられた。

いきなり起きた最大の飛行場事故に地元新聞社は沸き立つ。しかし現場の状況がわからずいきり立つデスク。社内でも意見の相違がありながら突っ込む悠木。現場雑感に命をかける堺雅人扮する佐山達哉。悲惨な事故を如何に伝えるか。新聞人の誇りをかけた戦いは凄いね。社内営業もデスクとしては重要な要素だね。

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重

2.5タイトルなし

2023年8月12日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

テレビで見たからか、あまり伝わってくるものはなかった。何となく友人のことも出生も社長との関係も息子との関係も、わかる気はするけどどれも決定的ではない。特ダネを取り下げるのも深くは響かない。日航機墜落とダブルチェックをもう少し絡めれば意味も出たのかもしれない。
ただ堺雅人は抜群だったなー。最初に山から降りてきた時の顔!

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kazuyuki

3.0あれやこれやと、

2023年8月11日
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鑑賞方法:TV地上波

「本題」にもっと焦点を当ててほしかったけど、いや、「本題」がなんだったのか、家族のことやら新聞社内のことやら、記者のことやら山登りやら、いろいろ背景や情報が多すぎた感もあったかなあ、と。

奮闘した記者の話まではよかったけど、社内のゴタゴタの方にもうんざりしつつ気が散るかんじで。
後半の後半はおもしろくもなったけど、無意味なような岩登りのシーンが短く挟まるのも不可解、なんの効果の意図なんだろう。

そういう映画だったなのかもしれないし自分が勝手に期待してただけだけど、もうちょっとシンプルに「本題」にまとめる内容ならもっとよかったのに、と個人的には思ったかなあ。

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みけい

4.0描かないことで浮かび上がる狂気

2023年7月28日
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日航機墜落という空前絶後の大事故に立ち会った地方紙職員たちの報道をめぐる既得権益とプライドのぶつかり合いを鬼気迫るカッティングで描き出した「ジョブもの」の快作、と見せかけた異常者たちの狂宴だった。

物語は保守的な上層部vs革新的な若手という対立軸に沿って展開していくが、本作はこの単純な構図をもってしてマスコミ批判を展開しようなどという稚拙な試みには出ない。もちろん「どちらにも言い分はある」的な安っぽい相対主義に逃げることもない。そうではなく、本作は「外側」を徹底的に描かないことによってマスコミの独善性・閉鎖性を浮き彫りにした。

日航機墜落事故の全権デスクを請け負った悠木。彼は上層部や販売局の圧力を振り切りながら、事故当事"県"の地方紙としての意地を見せようと奮闘する。無論そこには朝日、毎日、読売といった大手紙に先んじられてなるものか、というルサンチマンが内在している。とはいえはじめこそ懐疑的だった周囲の同僚や部下たちも、情報を誰よりも先に届けるためなら土下座や退職も辞さない悠木のマスコミ魂に次第に呼応していく。

しかし先述の通り、本作は単なる爽快な「ジョブもの」とは様相を異にしている。劇中で悠木らはことあるごとに「報道の責務」や「情報を心待ちにする読者」といった外部からの期待をカンフル剤のように行使するのだが、それらの当事者は不気味なほどに映し出されない。悠木たちが手掛けた紙面が実際にどう受容されているのかという点に関して、本作は徹底的に沈黙を決め込む。初日の記者雑観が翌日の紙面に載らないことは、あるいは遺族のもとに朝一番で事故原因についての情報が届けられないことは、受け手にとって本当にフェータルなできごとなのか?もっといえば、ライバル紙の記者や関係者も出てこない。彼らの存在は「◯◯新聞がスクープを抜いたらしい」といった局内の口伝情報の中にしか存在しない。つまり悠木たちの価値観はどこまでも北関東新聞社の狭隘なオフィスに局限されており、外部がない。

受け手の存在を完全に度外視したまま際限なく加速していく悠木たちの「マスコミ魂」は、次第に実感覚を遊離した独善的・閉鎖的なものへと変貌していく。物語の傍流を成す登山のシークエンスはそれを強烈に詰る。登山というどこまでもパーソナルな営為に容赦なくモンタージュされる悠木たちの奮闘ぶり。それはあたかもマスコミの根本的な独善性・閉鎖性のアレゴリーであるかのようだ。

本作の参照元である『地獄の英雄』では、落盤事故というセンセーショナリズムに取り憑かれた新聞記者が大衆の愚かさや死の厳粛さを目の当たりにしたことを契機に倫理へと目覚めていくという筋立てだったが、一方で本作はそもそも外部が欠落しているのだから反省する手立てすらない。悠木らはいつまでも蜃気楼に霞んだ「読者」という山頂を指差し、空疎だがやたら熱気のこもった登攀を続けていくのだろう。

撮影技術に関していえば、ヒッチコックの『汚名』以上に細かく刻むカッティングが印象的だった。本編の半分くらいがオフィスの中で展開されるような動きの少ない映画こそ撮影や編集の腕の見せ所だが、やりすぎは禁物。本作はその辺の塩梅がちょうどよく、技法だけが悪目立ちしている感じがあまりしなかった。

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因果

4.0完璧な確証が得られなければ、行動しない勇気を持て

2023年3月31日
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鑑賞方法:TV地上波

悲しい

興奮

知的

日本の安全神話もすっかり霞んで今は昔の感がある。安全神話崩壊の起点となった事故の一つとして1985年の日航機墜落事故が思い起こされる。本作は、この事故の原因究明に挑む地元新聞記者達の苦闘を描いた群像劇である。

他社より早く正確に事故の真実を伝えるために記者達は奔走する。そして、遂に事故原因を暴き出すのだが、完璧な確証が得られず、記事にすることを断念する。事故担当の全権デスクだった主人公・悠木(堤真一)は辞職する。事故発生直後から記者達は満身創痍となり、その心身は極限状態に達するが、彼らは高揚していく。クライマーズハイと言われる症状の様に。

本作では、新聞社、新聞記者達は真実を追求する正義の味方としてだけでは描かない。締め切りに追い立てられながら懸命な取材をする記者達の奮闘を描く一方で、記事よりも広告欄への重視、地元選出の政治家への配慮など、利益を追求する企業としての側面も赤裸々に抉っていく。

また、本作は前述の本筋ストーリーに、辞職後の主人公が亡き友人の子供と登山するストーリーが同時進行していくのだが、両ストーリーが巧く噛み合っているとは言い難い。本筋ストーリーのみでも十分であると感じた。

全篇を通して、臨場感、迫力のある作品であるが、ラストに違和感を覚えた。事故原因に辿り着きながら、記事にしないことを選択するというラストから発信されるメッセージが分からなかった。

そこで本作を丁寧に振り返ってみた結果、主人公が繰り返した「チェック、ダブルチェック」という言葉は新聞記事ばかりではなく事故に対しても投げ掛けられたものだとの解釈に至った。

周到、愚直なチェック(事前点検)をすれば事故は防止できる。本作は、大スクープを断念するラストを通して、事故防止におけるチェックの重要性を我々に強く問い掛けている。

「完璧な確証が得られなければ、行動しない勇気を持て」である。

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みかずき

5.0人生五本の指に入る作品。

2022年10月17日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

J:COMでやっていて、かなり久しぶりに見返した。3回目くらいだろうか。何度見ても涙が出るし、入り込むし、夢中になる。歴史に残る大事件の、記者からの視点。そこにはこちらは想像もできない攻防があり、葛藤があり、戦いがあった。

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いつこ

3.0日航機墜落を題材としたフィクション。新聞記者の熱い想いが描かれてい...

2022年8月10日
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日航機墜落を題材としたフィクション。新聞記者の熱い想いが描かれている。他社よりも先に、他社にないものを。社内の中での権力闘争はもはやヤクザ。
しかしなあ、いつも思うのだが、新聞のその姿勢って、なんか違っちゃいないか。事故そのもの、被害者が置いてきぼりにされてるような。右や左に傾いた報道も多いですよね。偏向よりも客観的事実を願う。庶民は誘導されてしまうのです。
概ね事実の部分も嫌だが、加えられたフィクション部分も悲惨なことばかり。そもそも新聞記者の狂気をクライマーズ・ハイに例える必要性も感じられない。小説は面白いのかな。
上映時間が長いのもしんどかった。それなりに評価は高いようだが、個人的には合わなかった。
J:COM

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はむひろみ

3.0あの夏に起こった事故を新聞記者の視点に立って描かれている。 立場が...

2022年6月19日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

あの夏に起こった事故を新聞記者の視点に立って描かれている。
立場が違うそれぞれの葛藤。
キャストそれぞれの真剣な演技に、社内シーンにおいては本物のように感じた。

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よっしー

4.0その後、売れっ子になっていく役者たち

2022年3月19日
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楽しい

興奮

のぶつかり合い演技バトルが爽快。山登りとか子供との関係性とか描き方としては上手くいっていないので監督の評価は出来ないけど、とにかく真剣に仕事をしてる男たち同士の怒鳴り合いぶつかり合いがカッコイイこと、カッコイイこと。たまに見たくなるお気に入りの邦画です。

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ブロディー署長

4.0どうしたって比較してしまう

2022年1月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

映画版「クライマーズハイ」を鑑賞後、少し興味があったので、ドラマ版のほうも見てみた。まさに、クライマーズハイ。熱いうちに登りましょう。というところか。

違いは細部にあるようだが、社長と、悠木との因縁がないドラマ版には、かつて部下につらく当たって死なせた過去が強調してあり、映画版では、墜落現場から戻った記者が受けたトラウマに苦しみ、錯乱しながら事故に遭った経緯に転換してある。どちらも重みとしては同じに思える。

違いは、部下の一人に尾野真千子を配した映画版のキャスティングに対して、死んだ部下の遺族であり、悠木を恨む石原さとみをキャスティングしたドラマ版というところか。

どちらも、殺伐とした男ばかりの絵面を少し和らげたいという、製作側の意向が働いたようだ。

新聞社を辞める決意をその場で表明し、繋いだ鎖を放とうとしない社長の山崎努は、偏執的な印象で、悠木が落とし前をつけた印象を強調した映画版。

一方、投書をしたことを後悔して詫びる石原さとみを励まし、新聞記者になるまでここで待ってると告げ、左遷を受け入れるドラマ版。

では、原作はどうなの?というところだが、今のところ読む気にはなれない。事故から20年後の夏に、おそらく定年を迎え、かつての親友の息子と登山をする悠木のアタックの様子と、事故当日からの数日間をシャッフルして構成する筋立ては一緒なので、原作を踏襲したのだろう。

大きな違いと言えば、販売部や、社長など、記者の現場と距離のある人物に不快で偏執的な悪役を配置し、その対立軸を一つの見せ場とした映画版と、明確な悪役を配せずに、顛末を追ったドラマ版というところか。佐藤浩市の泣きの演技も珍しい。

どちらも役者の芝居が光り、それぞれにいい味を出している。甲乙つけがたい出来だと思う。

2018.8.20

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うそつきカモメ