劇場公開日 2008年7月5日

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「迫真の演技とカメラワーク」クライマーズ・ハイ TSさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0迫真の演技とカメラワーク

2024年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

難しい

この映画の扱うテーマは1985年8月の日航ジャンボ機墜落事故。当時まだ子供だったが、リアルタイムでテレビ報道を見た衝撃を覚えている。
社会人になって一時期空港に関わる仕事をしたことがあり、縁あって日航の安全啓発センター(羽田空港)を見学させて頂いた。また、1年だけだったが群馬県にも住んだことがある。そうした個人的な経験もあり、この映画に関心があった。

映画は事故そのものではなく、それを取材し、記事にする地元新聞社員たちの激動の日々をドキュメンタリータッチに描く。時折、谷川岳登山や、事故に関連する現場の場面が出てくるが、大半が新聞社の編集局という1フロア内での出来事だ。

まず圧倒されるのが、俳優達の演技の熱量。堤真一、堺雅人、尾野真千子、遠藤憲一、でんでん等の実力派が、未曾有の大事故を地元新聞の威信をかけて記事にするという意気込みを迫真の演技で伝えてくる。言葉と体の動きに熱を帯びている。
そしてその演技を追うカメラワーク。あたかも自分が現場に居合わせた目撃者になったかのように、目線に合わせて画面がブンブン動き、ときに引きの画、ときにクローズアップ。そのスピードも速い。このカメラワークが緊迫感を更に引き上げる。

クライマックスで、主人公悠木(堤真一)は決断を迫られる。確実な裏取りなしでスクープを打つか、打たないか・・・。ヒートアップする編集局内で「クライマーズハイ」状態になりそうな自分を必死に抑え、「チェック・ダブルチェック」と繰り返し唱えて出した結論・・・。

事件・事故報道のあり方、社内政治、プロフェッショナリズムといった社会的な問題を提起するような作品ではあるが、やはり俳優達の演技とカメラワークの秀逸さに映画としての完成度の高さを感じた。

最後に。賛否はあるかもしれないが、この大事故を風化させないためにも、この映画をこれからも繰り返し再放送してほしいと願う(2023年夏NHKBSで視聴。2024年5月再視聴)。

TS