「シャマラン的ドラマツルギーは避けつつあまりにもシャマラン!」ハプニング 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
シャマラン的ドラマツルギーは避けつつあまりにもシャマラン!
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この映画については、いくつかの愉快なトンチキポイントを除いて、イマイチよくわかっていなかったが、改めて考えてもシャマラン映画としては異色だと思う。というのも、シャマラン映画のほとんどには「宿命や与えられた役割を受け入れて背負う」というサブロットがあって、それは娘イシャナの『ザ・ウォッチャーズ』にも受け継がれているのだけれど、この映画は非常にシャマラン的な不条理パニック映画でありながら、キャラクターはあくまでも災害に巻き込まれた大衆の一員で、シャマラン的なドラマツルギーから離れているのではないか。
ただ、それを背負ってそうなワケあり風なキャラとしてズーイー・デシャネル演じる主人公の妻がいて、物語の序盤からずっとなにかを隠している。しかし、人類存亡の危機の中で、ついにその秘密が明かされる。「ごめんなさい、実は私、会社の男のひとと二人でティラミス(英語の発音はティラミスウ)を食べに行ってごめんなさい」
夫には今する話??だろうが、でも妻は必死で死ぬ前にこれだけは、とカミングアウトしているわけで、ムゲにもできない。ある、現実にもこういう真剣さのボタンがかけちがっているけれど指摘できない瞬間が。そしてこういう瞬間をみごとに拾って、とんでもないところにぶっ込んで笑いにするのがシャマランの天才であるがゆえんだったりもする。
つまり『ハプニング』は、シャマラン映画では異色でありながら、120%シャマラン的な笑いを追求したヘンな映画ってことになり、やっぱりシャマランはシャマランだなあと感心したり苦笑したりするのである。あとライオンに腕食わせるシーンとかマジで最高だったな。
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