「こどものころに」かいじゅうたちのいるところ おりこうさんの映画レビュー(感想・評価)
こどものころに
「見なきゃよかった…」私も初めはそう思いました。
ただ数年後に、どうしても忘れられないシーンを思い出し再び観た後での印象は、不思議な事に、まるで違うものになりました。
こんなに複雑な感情をぐちゃぐちゃにして、童心を蘇らせる映画を、私は他に知りません。
子育て若しくは、子供と関わる機会の多い方々ならば嫌という程分かると思いますが、子供っていつでも可愛いわけじゃないんですよね。
いや実際には、可愛くて仕方ないのですが、自分の要求を剥き出しにして全力でぶつかって来るところとか、泣き叫ぶところとか暴れる時には正直、可愛い反面、物凄く憎たらしく思ってしまう時もあるんです。(我が子よ、ごめんね。)
本人達(子供達)だって、駄々をこねたくてゴネているわけでは無いことも、重々承知してはいるのですが、親は親でしんどくなる時もあるものですよね。
そんな時に、ふと観直したらこの映画に対しての印象が、私には嘘のように変わりました。
大袈裟に言うと救われました。
大人の様に、物事を器用に対処出来なければ、自分の気持ちを上手に表現する言葉や術を知らないがゆえに、家族にさえどんな風にして、今の気持ちを伝えたら良いのか分からない。
でもどうにかして自分の気持ちを分かって欲しくて、泣き叫んでいた頃が、私自身にも確かにあったな…。
好きな物たちでいっぱいにした自分だけの特別な空間(秘密基地)に、お母さんを呼んだのも、お母さんを喜ばせたかったからだよね。
お姉ちゃんと一緒に遊んでた時だってそう、一緒に楽しみたかったからに決まってる。
ケンカをしたくて、一緒に遊ぶ子なんてどこにもいないはず。
子供だって、大人だって、みんな一人ぼっちは寂しいんだ。
だから誰かと一緒に、いたいんだ。
最後のケーキには、うるっときました。
お母さんも、我が子の喜ぶ顔が見たいんだ。
お互いの事を、大切に思っている気持ちは一緒。
こどもでいられる時間は、ずっとじゃない。(というより、あっと言う間に成長します。)
一緒に過ごせる今が、凄く貴重なんだ。
悪い事をしたらしっかり叱る。
その代わり、心細そうな時には、しっかりと抱きしめて「大事に想っているよ」という事も、今の内にきちんと伝えたいと思うと同時に、親への感謝の気持ちも伝えよう。
そう思えた映画でした。
私自身には観直して良かった映画でしたが、人にはお薦めしません。(^_^;)