ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 : 映画評論・批評
2008年8月12日更新
2008年8月16日より日劇1ほかにてロードショー
シリーズのお約束はきっちり厳守
「インディ・ジョーンズ」の子供たちといえば、第3作「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」の10年後に生まれた「ハムナプトラ」と、その5年後に生まれた「ナショナル・トレジャー」。どちらもお父さんの風格には欠けるが、その分、生まれた時代ならではの味付けをプラス。「ハムナプトラ」は大自然規模のド派手VFXを、「ナショナル・トレジャー」は03年の大ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」系の歴史謎解きを加味して、それぞれ立派にお父さんの足跡を継承。「ハムナプトラ」の実の父がユニバーサルの名作ホラーだったなんてことは、もう覚えている必要もない。
そんな今、これまで隠居していたお父さんがまさかのカムバック。そこで素直な孝行息子の長男「ハムナプトラ」は、この機会にお父さんへの愛を体全体で表現することにした。なにしろ「インディ4」同様に主人公の大学生の息子が登場、いっしょに遺跡で大冒険なのだ。オリンピックの夏なので舞台は中国。上海のキャバレーで歌姫が歌うのは、「インディ4」にケイト・キャプショーがカメオ出演すると言われていたからだろう。第3作を迎えて「シリーズのお約束」も明確化。冒頭のカーチェイス、土風火水を用いたVFX表現、その要素を使った「顔」の出現といったお約束はきっちり厳守。チベットの雪男が中国の悪い兵隊をやっつけようとするなんて場面もちょっと入れてみる。「娯楽映画ってこうなんですよね、お父さん!」と「ハムナプトラ」は「インディ」に笑いかけるのだ。
(平沢薫)