劇場公開日 2009年2月14日

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「歌詞の壁。」少年メリケンサック ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0歌詞の壁。

2009年3月3日

笑える

楽しい

単純

クドカンこと宮藤官九郎の、監督2作目となるこの作品。
それほど期待はしていなかったものの(爆)
独自のテイストが存分に発揮され心地よく仕上がっていた。
今回は「パンク」という破壊工作を、ダメOLとダメ親父に
やらせたのが功を奏した^^;という感じがする。
クドカンご本人が、エラぶるとか、奢り高ぶる、意識から
いちばん遠いところにいるからかもしれないが、気負いのない
価値観から発信されるコメディは「出来」がどうの…以上に
滑らかで、こちら側の偏見の壁を容易に打ち破ってくれる。
だからパンクなどよく分からない(私もいま一つ分かってない)
宮崎あおいと一緒に「え~?こんなの、やるんですかぁ~?」
という、フニャけモードでダラダラとニヤけながら観ていられる。
…しかしまぁ、あの「篤姫」がよくぞ変身したもんだ。^^;

変身といえばこのヒトもすごい。佐藤浩市。
おそらく今作以上に痰を吐きまくった作品はないんじゃないか。
至る所でぺっぺっと吐きまくり、汚いことこのうえない。
歌も演奏もヘタクソなこのダメ親父バンドが(どこまでいっても)
成長しないところが、実に人間的で面白い。ホントにこいつら、
バっカじゃねえのぉ~!?的なしつこすぎる描き方も健在で、
えげつないと言ってしまえばそれまでだが、やはり今のご時世、
こんな風にノビノビと親父が人生を謳歌している姿を観るだけで
なんとなく平和だった?'70~80年代を思い出してしまう…。
青年世代から現在のキャストに至るまで、素晴らしい人選をし、
何をどう笑えばいいのか分からないブラックなテイストに酔う。
「誰も守ってくれない」浩市へ贈る?エンディング曲とか…(汗)

これはいい映画です!なんて言うつもりはまったくないが^^;
「ニューヨーク・マラソン」の歌詞を聞きとれる快感を味わえば、
なんでクドカンなのか、が見えてくる作品になる、かも…?

(パンクの壁。演技の壁。クドカンの壁。越える必要ないけども)

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ハチコ