「革命よりも総括」実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0革命よりも総括

2020年7月11日
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鑑賞方法:VOD

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一致団結し革命を行う為の自己批判、総括という名の集団リンチ、目的から逸れ始める過剰に麻痺した集団心理の恐怖、密室、狭い世界の中での無意味な価値観、イジメの意識もなく、無意識に人を殺す責任感の成れの果て。

革命に散って逝った同志ではなく、自らの自業自得とは言い難い、イジメにあって死んでしまった同志達、イジメを止める勇気がなかった革命家達。

その勇気を否定する連合赤軍元メンバー、何故にあのシーンを若松孝二は加えたのか?

逃げて闘わず、舞い戻り、間違った権力を振り翳す森恒夫の腐った根性、嫉妬を怒りに無理難題を提案する永田洋子の自分を棚に上げ捻じ曲がった根性、そんな二人の総括は行われず。

演じた地曳豪、並木愛枝、この二人が嫌ぁな存在感をリアルに醸し出す最低最悪な役柄を最高に演じ切った。

無名、有名と関係なく入り乱れる役者陣、すべての演技が素晴らしく、一人一人の強い存在感。

ゴジが撮らないから、自らの別荘をブッ壊す本気度を披露した若松孝二の凄さが真に迫って来る。

親日家でもあるジム・オルークの音楽も、違和感なくラストに効果抜群、余韻が残る。

万年 東一