劇場公開日 2008年5月31日

「上品で美しい時代劇」山桜 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5上品で美しい時代劇

2025年1月31日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

萌える

原作者は『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』『蝉しぐれ』『武士の一分(いちぶん)』『花のあと』『必死剣鳥刺し』『小川の辺』『吹く風は秋』『小ぬか雨』『殺すな』の藤沢周平
監督は『昭和歌謡大全集』『小川の辺』『影踏み』『犬部!』『ハピネス』の篠原哲雄
脚本は『ホワイトアウト(2000)』『花のあと』『小川の辺』『柘榴坂の敵討』『あの頃、君を追いかけた』の飯田健三郎
脚本は他に『ホワイトアウト(2000)』『花のあと』『小川の辺』『柘榴坂の敵討』『空母いぶき』の長谷川康夫

粗筋
最初の夫と死別し浦井家に戻った野江
道場で剣術を指導する手塚弥一郎から縁談を申し込まれたが野江は断った
剣術に長けた人は乱暴な印象が強く手塚の人柄も知らず思い込みからの誤判断
磯村家に嫁いだが夫も舅も姑も酷い人たちで針の筵だった
弥一郎はなお野江に想い慕っているためか独身だった
その一方で藩の財政難を悪用し百姓をますます苦しめ私腹を肥やす諏訪平右衛門はやりたい放題
農村の悲惨な窮状を間近で見た弥一郎は城中で諏訪を斬った
弥一郎は牢屋暮らしとなったが刃傷事件がきっかけに新田開墾は取りやめとなり年貢率は元に戻された

この作品などでHIHOはくさい映画賞第2回(2008年度)最低主演女優賞を受賞した田中麗奈
はくさい映画賞とは蛇いちご賞らと同様にゴールデンラズベリー賞のパクリである
由緒正しき?本家の方は81年から今もなお毎年続けているアメリカンジョーク?だが日本版はどれもこれも長続きしない
典型的ネット民レベルの悪巫山戯けだからすぐに飽きてしまうのだろう
映画ジャーナリストの大高宏雄は「あら探し的に映画産業をエキセントリックに批判することだけは避けたい」とも言っている
自分も肝に銘じたい

映画秘宝が酷評した田中麗奈だが決して悪いとは感じなかった
むしろ良くないか

たしかに山桜の枝を折ろうとする野江のシーンは不自然な気はする
この作品で「?」と感じたのはそのくらいだ
特に不満はなくまあまあの出来ではないかな

原作は20ページほどの短編らしい
野江と弥一郎の2ショットは冒頭の数分のみ
それでも99分ももたせた
たいしたものだ
藤沢周平らしさがよく出ている気がする

配役
下級武士の娘の磯村野江に田中麗奈
剣術の名手の手塚弥一郎に東山紀之
野江の父の浦井七左衛門に篠田三郎
野江の母の浦井瑞江に檀ふみ
弥一郎の母の手塚志津に富司純子
野江の弟の浦井新之助に北条隆博
野江の妹の浦井勢津に南沢奈央
野江の舅の磯村左次衛門に高橋長英
野江の姑の磯村富代に永島暎子
野江の夫の磯村庄左衛門に千葉哲也
新之助の友人の兵馬に途中慎吾
藩の有力者の諏訪平右衛門に村井国夫
農村の幼い娘のさよに村尾青空
さよの父の吾助に綱島郷太郎
さよの母に浅川稚広
さよの祖父に伊藤幸純
さよの祖母のうめに森康子
磯村家の下男の源吉に樋浦勉
肴屋に鬼界浩巳
住職に江藤漢斉
磯村家の下女のたかに藤沢玲花
磯村家に借金をしている男に矢柴俊博
百姓が差し出す年貢米を吟味する役人に諏訪太朗

野川新栄