「『サイコ』が良い作品という前提」ヒッチコック Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
『サイコ』が良い作品という前提
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
名作といわれる『サイコ』撮影の裏側を描きながら、巨匠ヒッチコックの映画監督としての活動と私生活を描く。
ヒッチコックの妻との関係や映画制作に関わる制作・配給会社との関係が、ホプキンスによって名優の評価に恥じぬ演技で演じられていた。成功を積み重ねてさらに新しいことに挑戦し障害を乗り越えようと奮闘する姿が面白い。雰囲気を作るさりげない音楽の使い方と演出も上手で、全体として楽しめた。妻役や脇役も良かった。
しかし問題なのは、私は『サイコ』が好きではないこと。有名な風呂場での殺人場面も全く迫力を感じない。この時代としては斬新だったのかもしれないが、現代の基準では平凡とすらいえない低水準の作品だと思っている。そのために『サイコ』制作の裏側を取り上げている本作は、物語としての興味はそれほど持てなかった。
ただし迫力が無いと思っていた風呂場の場面は、ヒッチコックが時代を考えてあまり刺激の強くないものにしたのだと思っていたが、映倫が強く規制・指導したから迫力が無くなったのだというのはこの作品でわかった。やはりこの時代はこの程度でお茶を濁すのが限界だったのだろう。映画の歴史のちょっとした勉強にはなった。
コメントする