TOKYO!のレビュー・感想・評価
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支離滅裂
よく言えば作家性の強いシュールな短編、率直に言えば支離滅裂、東京というテーマで競作なのだが申し合わせたようにリアリティを排除、SFによくあるディストピアものの様、これなら東京でなくても撮れるでしょう。
勝手な想像ですが、おそらくプロデューサーあたりから、観光PR的な要素は排除し、外国人からしかとらえられないシニカルな東京をデフォルメしてみせて欲しいと言われたのでしょうね。
第1話、地方出の貧乏カップルには東京は暮らしにくいのはわかりますが何故椅子になる?、人間椅子なら乱歩も書いていますが椅子になるなら男の方でしょう。
第2話、ゴジラのテーマに勝手便乗、ノートルダムならぬ下水道の怪人、人を殺して楽しんでいるが爆薬は旧陸軍の手榴弾、因果応報とでも言いたいのか、異文化圏の狂人にテロをさせる意味が全く持って理解不能。東京と言うより原水爆実験由来の初代ゴジラに物申したかったようですね。
第3話、引きこもりは確かに社会問題ではありますが韓国のように半地下に潜っている訳ではありません。確かに首都直下地震はIfでなくWhenの問題なのにタワーマンションが林立、平然と暮らす都民は現実逃避しているのかもしれません。
東京はテロと地震と放射能の街
東京はつまらない所だが、引きこもっていると、東京でも千葉でも埼玉でも関係ない。しかし、家にいない事の方が良い。僕は映画館に引きこもる。東京は歴史がないからね。ビルトアンドスクラップで近代になって作られた街。
東京は隣の街へ行く時、一番便利な街だ。引きこもりながら、自分の好きな事が出来るので『闇』はない。金があれば、この街に引きこもりつつ、隣の街にも引きこもりに行こう。遠い国とかね。そこも言葉が通じないので、簡単に引き込める。
東京に映る我々
①東京という空間は、ある意味においては優しく、そしてまたある意味においては暴力的に、あらゆる人間を等価な記号として街の雑踏に還元する。もしこの自浄作用を押しのけて「個人」を取り戻したいのならばそれ相応の力が要る。この街で我々が代替のきかない我々であるためには、我々は何者かにならなければいけない。周囲に対して何らかの価値を示し続けなければいけない。映画監督でも、画家でも、音楽家でも、あるいはバス停のイスでも。
②高度経済成長の中で人々の意識の中から徐々に後退していった戦争責任を今一度呼び覚ます。その契機となったものが赤毛の白人男性によるテロリズムであったことからは、もはや「反省」は我々日本人の内部からは起こり得ないだろうという乾いた諦観を感じた。しかし本当にそうなのだろうか?疑問が残る。
③何もかもが電話一本で事足りてしまう時代、人々はいかにして他者と関係を構築していくべきなんだろうか。殊に個人主義があらゆるところに張り巡らされた東京の街にあっては、引きこもりという態度を否定してくれるものは何もない。ピザ屋の配達をしていた可愛い女の子に恋をし、住所を探り出して一方的に部屋のドアを叩き続ける元・引きこもりの主人公の行動は、法や倫理に照らし合わせてみればもちろん許されるものではないが、この強引さこそが人と人を再び繋ぎ直す唯一の手段なのだ、という悲壮な切迫性を感じざるを得なかった。
圧倒
オムニバス形式のため、各作品ごとに好き嫌いは分かれそう。
一話目
私はミシェル・ゴンドリー監督の作風が好きなので、大満足だった。
映像や、世界観に圧倒された。音楽も◎
夢を追う彼氏について上京してきた、夢のない女性が自分の生き方について悩む物語。
主体性のない女性の苦悩の様子がよく描かれていて、よかった。
人が人のために生きるのはなんと難しいだろうか。
誰かの役に立ちたい、という人は多いが、
いっそ椅子にでもなってしまいたい、と思う人も少なくはないのでは。
二話目
個人的にあまり好きな作風ではないので、レビューは遠慮します。
若干 ホラー。
三話目
設定は近未来。
芸術的なまでに完璧な部屋にひきこもる男とピザ屋の配達人の恋愛。
男がひきこもっている間に
町は機械化が進み、人々は皆家から出てこない。
そんな町で、体にいろんなスイッチを描きまくるピザ屋の彼女は何を思うのか、
なぜ彼女はひきこもるのか、
想像が楽しい話。
終わり方も素晴らしかった。
TOKYOを題材にして各監督のセンスの光る作品だと思う。
キャストも素晴らしいし、是非一度見て欲しい。
金と電話さえあれば、何でも配達してくれる
映画「TOKYO!」
(ミシェル・ゴンドリー監督/レオス・カラックス監督/ポン・ジュノ監督)から。
NY、パリ、ソウルという大都市で活躍する3人の鬼才が、
独自の視点で東京を読み解く—— というキャッチコピーにつられて観たが、
正直、良くわからなかった。
その中で、なんとか理解できたのは、俳優・香川照之さん、蒼井優さん演じる
「ひきこもり」をテーマにした作品。
私の周りに、あまりひきこもりの人間がいないから驚いたが、
まんざら嘘の話でもないようなので、メモを取った。
ひきこもりが、社会現象として取り上げられて、だいぶ年月が経つ。
その「ひきこもり」を増長させているのが、
「金と電話さえあれば、何でも配達してくれる」システムではなかろうか。
ドアを開けて、相手の顔も見ず、下を向けたまま、お金を払う。
その間、会話はほとんどない。
これでは「コミュニケーション」能力が育つわけがない。
ひきこもりにとって、生活しやすい場所なのだろう、東京は。
ひきこもりの男性が、ひきこもりの女性に逢う方法は、ただ1つだけと知る。
どちらかが、勇気を振り絞って、外へ出るしかない。
映画「幸せの1ページ」と同じだけれど、誰かがそのきっかけを作るのか。
ヒントは、映画の中にあるのかもしれない。
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