「【愛する妻をイラク戦争で失った夫が深い喪失感の中、幼い二人の娘と旅に出て徐々に希望を見出すヒューマン・ドラマの逸品。今作は、静かなる反戦映画でもあり、劇中のアコースティックギターが沁みる作品である。】」さよなら。いつかわかること NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【愛する妻をイラク戦争で失った夫が深い喪失感の中、幼い二人の娘と旅に出て徐々に希望を見出すヒューマン・ドラマの逸品。今作は、静かなる反戦映画でもあり、劇中のアコースティックギターが沁みる作品である。】
■陸軍軍曹の妻グレイスがイラクに赴任し、12歳と8歳の娘ハイディとドーンと暮らすスタンレー(ジョン・キューザック)。
母親を慕う娘たちとはうまく接することができず、ぎこちない日々を過ごす。
そんなある日、妻の訃報が届く。
彼は呆然としたまま、妻の死を娘達にどう伝えたら良いかわからぬまま、2人を車に載せて旅に出る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・実に切ない物語であるが、スタンレーがハイディとドーンを車に載せ、小旅行に出る中で、彼が娘達と行った事が絶妙に巧い構成になっている。
最初、彼は叔母の家に行くが居らず、義理の弟のジョンがいる。ジョンはハイディとドーンとレストランに行き、スタンレーとグレイスの軍での馴れ初めを話すのである。
そして、
1.スタンレーが禁止していたピアスを許可し、二人が緊張しながらもピアスの穴をあけて貰い、ハイディはピアスを買って貰って付ける姿。
2.遊園地に行って、三人で遊ぶ姿。
3.車で農地に入り込み、円を描いて走る。
4.スタンレーはハイディと一箱煙草を買って、一本だけ吸う。咳をしながら・・。
5.ドールハウスに入って嬉しそうなドーンに”買おうか”と言うスタンレー。
・その合間合間に、ハイディは学校にしばらく休むと電話するが、事情が伝わっているのか、許可される。
更に、スタンレーは自宅に時折電話し、亡き妻グレイスの留守電を告げる声を聞きながら、妻が生きて居るかのように旅の話を報告するのである。
■そんな父の姿を見て、ハイディは徐々に事情に気付いて行くのである。
そして、スタンレーは海辺で、二人の娘にグレイスがイラクで怪我をした。”と告げるのである。このシーンは観ていて沁みる。描き方も、娘達の抗議と涙の声を徐々に小さくしていく手法が効果的である、哀しいが・・。
<そして、スタンレーとハイディとドーンは、グレイスの葬儀に出席する。三人の表情は穏やかである。
今作は、愛する妻をイラク戦争で失った夫が深い喪失感の中、幼い二人の娘と旅に出て希望を見出すヒューマン・ドラマの逸品である。静かなる反戦映画でもある。>