「あんた、バカぁ?」僕の彼女はサイボーグ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
あんた、バカぁ?
オタクとか、アナログ大学生の雰囲気がよく似合う小出恵介。自分の誕生日には自分でプレゼントを贈るという寂しい大学生ジロー役なのだ。彼が綾波レイのフィギュアを握りしめ、スパゲッティを啜る・・・そこに突如として現われたのは?綾瀬はるかなのか、綾瀬はるななのか、それとも綾波あすかなのか、名前が思い出せなくなっていました・・・(と、こっそりAV女優の名前を入れるな!)。もちろん「あんた、バカぁ?」の一言で思考回路を正常に戻したつもり・・・
日本映画ではあるけれど、監督・脚本ではクァク・ジョエンを起用。良心的にとらえると、日韓文化交流と感じられるし、ちょっとした風習・文化の違いが滲みでているような気もする。未来から“彼女”が登場するシーンでは『ターミネーター』のパクリに引いてしまうけれど、監督の『猟奇的な彼女』『ラブストーリー』『僕の彼女を紹介します』の要素が全て再利用されている面白さに気づいてニンマリしてしまいました。
クァク・ジョエンは2003年のゆうばり映画祭でプロデューサーと意気投合してから企画が持ち上がったらしいのですが、そこからは日本映画をかなり観て研究してるんじゃないでしょうか。『最終兵器彼女』とか『パッチギ』とか『日本沈没』とか『スウィングガールズ』とか『サマータイムマシン・ブルース』とか『佐賀のがばいばあちゃん』とか・・・なんだか既視感いっぱい。
ストーリーはSF純愛モノとでも言うべき斬新さはあるものの、残念なのはタイムパラドクス。60数年後のジローからのメッセージによると、田口浩正に撃たれ重傷を負ったがロトくじで大金を得てサイボーグを作ることができたと言う。しかし、実際にはくじすら買ってないようだったし、ジローが理工系の秀才というわけでもなさそうなのです。“彼女”のおかげで怪我をせずに済んだら別の災いが・・・という発想までは面白かったのに・・・残念。また、時代感覚というか、時代考証がイマイチ。せっかく郡上八幡でノスタルジーを味わっていたのに、宝箱の中身に驚いちゃいました。
それでも1年前のプロローグを謎のまま残し、途中で“彼女”がいなくなったときに勝手にタイムトラベルしたんじゃないかと想像していると、意外な展開でしめくくる。さすがにラストのシーンは要らないと思ったけど、これが韓流ラブコメらしくて微笑ましいのかもしれません。さらに、VFX、CGの技術は目を見張るものがありました。地震のシーンもそうだけど、綾瀬はるかが首が回ったり、上半身だけになったり・・・最も凄いと感じたのは、立て篭もり犯の落下シーンや空き缶を投げたらヤクザに当たったシーンだったかも。