コントロールのレビュー・感想・評価
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ワルシャワからジョイディビジョンへ
バンドの名前の付け方からして、なんとも言えない暗さがただよう。イアンカーティスは「27歳」より随分若く死んでしまったのだ。
詩人であり自分をコントロールすることもされることもできず、見える世界が見えてる通りの世界ではないことを知っている、そして自分の弱さも知っている。バンドの音は好きだったけどイアンのこともバンドのこともよく知らなかった、クレジットに原作デボラカーティスとあるから日本風にいえば内助の功となるのだろうが若かすぎる結婚をしたイアンの妻が書いたもののようで、かなりきちんと描かれているのだろうと思う。
デビューした頃のマンチェスターのライブハウスや地元テレビのバンド紹介番組、この頃からイアンが働いていた、障がい者向けの雇用支援、職業紹介所がイギリスではあったこと、そこでのイアンの真面目で優しい仕事ぶりなど見応えあり。ベルギーの女は、これも、こういうフアンジン、悪い見方をすればグルービーの元締めみたいなものもあったのかもと思うし近年のK-popのファンダムみたいなものと比べて考えたら面白そうだ。イギリスの閉鎖的な田舎町で街の人しか知らない高校生が同じ街の高校生と結婚して子どもも産まれ仕事も収入もない、かたや、80年代に入る頃でヨーロッパ大陸で仕事と趣味を両立する自立した女とイアンに思わせるはベルギーの女。イアンが天才的なミュージシャン、詩人!アーティストであることはおいといて、ヘタレであり無責任👨であること、アメリカともヨーロッパ大陸とも違うであろうイギリスの暗さ、、このあたりがやるせなくもよく描かれていてモノクロの映像は常に美しい。
僕のフリをする誰かに起きているみたいだ
映画「コントロール」(アントン・コービン監督)から。
「絶望的な歌詞や独創的な曲調で、内面に孤独と苦悩を抱えながら、
わずか23歳の若さで自ら命を絶った伝説のロック・ミュージシャン、
イアン・カーティスの短くも波乱に満ちた人生を描く音楽伝記ドラマ」
この作品の説明で、私はロックシンガー「尾崎豊」さんとダブった。
観終わって、そのイメージはちょっとズレていてホッとしたけれど、
物語中、主人公のイアンが呟くシーンがある。
「すべての出来事が、僕ではなくて」と前置きをして
「僕のフリをする誰かに起きているみたいだ」と。
自分で自分がコントロールできなくなる状態は、誰にだってある。
その気持ちをうまく表現しているな、と感じ、このフレーズをメモした。
傍にいた女性は「あなたといると混乱するの」と戸惑いをみせる。
言い換えれば、自分だけでなく、まわりの人にも影響を与えた。
全編を通して、モノクロ(白黒)映像というのも、
前出の「尾崎豊」さんと、醸し出す雰囲気が似ている理由だろう。
タイトルは「Control」だけど、主人公は「lost contorol」
この違いを、私はどう解釈すればいいのだろうか。
ちょっとした生き方の哲学にもなりうる「自己制御」は、
これからのキーワードになる予感さえする。
胸が苦しくなる
もう途中から胸が苦しくなってくる感じ。
なんともいえないグレーゾーンが、白黒の映像によってさらに強調されてる感じがした。
でも1つ1つのシーンがすごいかっこいい。
そして音楽もすごくいい!
映画を引き立ててますよね。
こうやって映画をみても、自殺するときは本人にしかわからない何かが
あったのかと思うと、なんともいえないですね。
本人を知らなくても楽しめる映画です。
是非おすすめ。
モノクロ映像が映し出す70年代末の音楽シーンの空気感。意外に普通の人だった主人公にシンパシー
<ストーリー>
70年代後半にポスト・パンクとして台頭しつつあった、ニュー・オーダーの前身バンド「ジョイ・ディヴィジョン」のボーカル、イアン・カーティスの短い半生を描いた作品。
<個人的戯言>
全篇モノトーンの映像が、70年代後半の英のパンク、ニュー・ウェーブ・ムーブメントの雰囲気を醸し出しています。正直名前だけで、一度も聴いたことのなかったジョイ・ディヴイジョンの音楽も、今でも面白いと思える音でした。よくある「成功による破滅」の部分もありますが、意外にも普通の人であった故の最後は、逆に身近なものに感じられます。主役は本人がかなり乗り移った感じ。サマンサ・モートン、その年で高校生役は・・・ギリギリ・セーフ!
この時代のパンク・ムーブメントには完全に乗ることが出来なかった私としては(認めたのはポリスとクラッシュ。この2つは「パンク」という枠からははみ出していましたが)、名前は知っていても実は初体験。意外にもメロディアスなギターと、ハードなリズム隊は結構今聴いても面白いものでした。モノクロの映像が更に時代の空気を表していて、自然にその音も受け入れ易くしています。
「成功による破滅」という、この手の実話によくある経路を辿ってはいますが、それだけではなく、意外にも「普通の人」(前職は職業安定所の職員)だったことによる苦悩の方が多かったのかも。その辺りは、逆にとても身近で、人間的な感じがして、遠い世界の話ではない気がして理解できる部分でもあります。
主役のイアンを演じた俳優は写真やライブ・シーンを観た限りでは、かなり本人に近いものがあり、特にライブ・パフォーマンスはちょっとイタコ状態?30歳のサマンサ・モートンの高校生役は・・・でも結構可愛かったので、滑りこみセーフということで許しましょう。
マッドチェスター好きは見ればいいと思うよ!
イアン本人に焦点を当てているため、バンドの外側からの評価やら当時の熱狂やらはほとんどわかりませんが、これほどイアンを描いている映画や小説やらは恐らくなく、実際初めてだと思うので貴重かと。
「24HOUR PARTY PEOPLE」で歴史的な流れや盛り上がりを押さえながら見るとより分かりやすくて良いかと。
つか今までライナーやらネットの文章読んでもいまいちパッとこないところもあったけど、こうして映像になるとやっぱり分かりやすいですな。客観的な立ち位置で語っていることにも好感が持てたので、資料としても最適です。
あと、バンドのメンバーのキャラクターがあまりにピッタリすぎてワロタ。バーニィはバーニィらしくへたれで頑固っぽいし、フッキーはやたら適当でアグレッシヴ(笑)。トニー・ウィルソンやマネージャーも「24HOUR PARTY PEOPLE」と全く同じ格好だから、続編かとも思った。みんなキャラクター確立されすぎ(笑)。
誰もが通過する青春の痛みを描いたドラマ
イギリスの主要映画賞に名を連ね、カンヌでも高い評価を得た作品だということで観てみたのだが、そういった賞は関係ないとしても、誰もが通過する青春の痛みを描いた優れたドラマだと思いました。
実は、本作の主役、イアン・カーティスがボーカルをしていたジョイ・ディヴィジョンについては、何の予備知識もないまま映画を観たのだけれど、その真摯な生き方…裏返せば、とても不器用な生き方は、人生の一時期、誰しも経験するものなのではないかと思う。それから、実在のミュージシャンを主人公にした映画ということで、「ただの音楽ドラマなのでは?」と思う方もいるかもしれないが、観てもらえば、そうでないことは分かってもらえると思う。
また、監督が世界的に有名なフォトグラファーというだけあって、さすがに映像が美しい…正確に言うと構図がいちいち格好いい。でも、決して静止画の写真集ではないのが、また素晴らしい。今では珍しいモノクロ作品だけど、それが1970年代の空気や、抱えきれない感情を持て余していただろう若きイアン・カーティスの心を象徴していた気がする。てなわけで、見逃すにはもったいない1本じゃないだろうか。
イアンも普通のもろい青年だったのだ。
イアン・カーティスは神格化されていた。
彼も普通の生身の若者だった。
それがこの映画を見てよくわかった。
それにしてもジョイ・ディヴィジョンの作ったメロディが
どれだけタイムレスに心地良いことか。
イアン・カーティス!!
が映画になるなんて!
ちょー楽しみ◎
しかもアントン・コービンが監督なんて、フツーじゃない!
イアン・カーティス!!の裏側がどんだけみれるかかなり楽しみだね、これは。
絶対観に行くよ!
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