歩いても 歩いてものレビュー・感想・評価
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家族の肖像、その"本音と建前"
日本人は産まれながらにして《家》とは深い関わりを持つ。結婚する時には比較的に“個人”とでは無く《家》と結婚すると言える。
冠婚葬祭の集まりに顔を出すのは必要ならざる儀礼で、その時には否応なく親・兄弟・親戚縁者と顔を合わせては、厭でも在る事無い事を色々と詮索される事になる。
その煩わしささは人それぞれ千差万別であり、勿論「家族が大好き!」な人にはこの作品の底辺に潜む怖さを“嫌な奴ら”と一蹴して構わないと思う。
しかし、この作品の中の一人でも自分の身に置き換えて観て、セリフの一つ一つ・出演者の表情・感情の起伏が、自分の心とシンクロして心を抉られる様な感覚を覚えたならば、最後までしっかりと観て欲しい。
ひょっとしたらあなたの理想とする“家族の姿”が見つかるかも知れません。
本当の家族でも知らない・知られたく無い事は多い。
本当に心を許せる存在こそが“家族”と言える。
作品全体に於いて一応主人公にあたるのは、今現在仕事先が決まっていない次男役の阿部寛なのだが、作品中の真の主役は母親役の樹木希林であり、後半からは少しずつその母親がこれまで生きてきた中で、なかなか人に向けては吐かなった《毒》を浴びながらも、それらを吸収して受け止める次男坊の後妻役の夏川結衣への比重が増して来る。
映画が始まって暫くは、料理を作るシーンや食卓を囲んでのお喋りを中心として展開される。その間のセリフで一人一人の性格、及びお互いの関係が浮かび上がって来るのだが、余り意味が無いと思えるそれらが後半に向けて意味を持って来る。この辺りの脚本の書き込みに於ける性格付けの周到さが圧巻である。
この家の父親と息子は上手くいっていない。期待していた長男が事故死してしまい。否応無しに次男に掛けた期待は重圧となって彼の心を押し潰してしまったのだ。結果、彼は“笑わぬ王子”となってしまった。
一方で、この家の母親と長女の間柄は上手くいっている。しかし、それはあくまでも表向きでしか無いのが暫くすると見えて来る。
長女夫婦はやがて引っ越して来るのだが、実は母親は歓迎していない。
一見すると仲の良い母娘だが、母親は自分の本音を娘の前では絶対に口にしないのだ。
この家の人達は自分の本音を言おうとはしない。本当に言うのは自分にとっての“家族”の前だけだ。たとえ親子関係ではあっても、次男坊と後妻の連れ子の間柄には一線を引いた関係が存在している。
それらの気持ちの重苦しさを一人一人が持ち合わせているだけに、言葉の端々には隠しきれない毒が充満している。作品の中盤辺りからはそれらの感情が少しずつだが、ガス抜きの如く吹き出して来るのだ。
それが頂点に達するのが長男の死のきっかけとなった男の子に対する家族の態度に表れる。
父親はあからさまに気分を害し、長女はちゃかすだけだ。次男坊にはそんな態度を取る父親の姿が許せない。
しかし本当に許せなく、憎しみを消せなかったのは母親に他なら無かった。
この場面に於ける樹木希林が、それまでとは一変するだけに観客には衝撃的です。
この母親が本音を言うのは次男坊の阿部寛だけである。彼女にとっての“真の家族”は、自分のお腹を痛めて産んだ彼だけなのだ。自分の生活を脅かす長女はおろか、長年連れ添った旦那にさえもその感情は押さえ込んでいる。
この母親にとっては《毒》を吐ける相手こそが“真の家族”と認められているかの様に見える。
後妻役の夏川結衣に対して子供を産む・産まないと強烈なる《毒》を吐きまくる場面こそは、一見すると“嫌なババア”ではあるが、よく考えると“家族”として認められた証しでも在るのかも知れない。いや、本当は単なる嫌みなババアなのかも知れないのだが、題名の元になったある曲に纏わるエピソードを、それとなく旦那に告げる時と同じ《棘》の在る口ぶりになるのは偶然とは思えない気がするのだ。
♪歩いても、歩いても♪
長年連れ添って来たが、いつの日が言いたかった想い。次男坊の後妻として、静かな佇まいで“場の空気”に徹しようとする。その気持ちをあの手この手で詮索する自分と、次男に向けて昔と変わらぬ態度で神経を逆撫でする父親。その一部始終を見ていて、言葉の端々につい本音を口にしてしまった様に見てとれた。
或いは昔の自分に重ねてしまったのか…。
それを夏川結衣は相手の気分を害しない様に気を遣いながら、《家族》となるべく絶妙に受け流して行く。
それでも夫役の阿部寛の前ではついつい本音を漏らしてしまう。この時の彼女の「ちょっと休憩!」と言う、その一言の中に集約されている様々な感情の表現力は素晴らしいの一言でした。
この作品の中での男達は単純な感情の起伏に簡単に左右されてしまう。対して女性達は絶対に本音を言おうとはしない。
《毒》は、お爺ちゃん役の原田芳雄でさえも、「俺の建てた家だ!」と吐く。自分を脅かす血の繋がった孫よりも、血の繋がっていない孫に今は亡き長男の幻影を見ている。
幼くして父親を亡くしたこの義理の孫にとっては、この偏屈なお爺ちゃんと義理の父親との関係が不思議でしょうがない。彼は知らない顔を伺わせながらも父親の存在こそ一番に欲している。もしかしたら、父親の期待に添えず家業を継ぐ事が出来無かった義理の父親に、若くして自分の姿を重ね合わせているのかも知れない。父親の姿を追おうとする気持ちと、期待に応えられなかった新しい父親の真実。
今彼の心の中に新しい父親が“ジワジワ”と浸透して来ているのを感じている。
終盤での、この新しい家族が《真の家族》に成長して行く“ジワジワ”シーンから、生け花の花のアップになる場面こそは、日本映画の伝統を受け継ぐ美しさに充ちた場面です。少しあからさまに感じる人も中には居るかも知れませんが…。
海の見える丘の上から、この家族の有り様を絶えず見つめている黄色い蝶の存在。そんな一つ一つが親から子へ、また親から子へと受け継がれて行く。
(2008年7月2日シネカノン有楽町1丁目)
ちくちくする、家族のお話
もっと早く見ればよかった。
ずっと気になりつつ、是枝監督に対する不安があって避けてしまっていた作品。
というのも是枝監督の作品はワンダフルライフとDISTANCE以来、抵抗があって見れず。
空気人形はとっても好きだったんですが、どうしても拒否反応があって。
でも見てよかった。
ちくちくする、家族のお話でした。
わたしのすきなやつ。
皆わかってるのに、できない。いたわってあげたいのに、あげられない。
素直になりたいのに、なれない。
そんな家族のおはなし。
原田芳雄と樹木希林がすげぇ。
樹木希林が、もう演技なんだか本物なんだか本当にわからん。
そして、原田芳雄さま。
最近「大鹿村騒動記」で拝見したんですが、その時ともまたまったく違う方に見える。
本当に素晴らしい俳優さん。
心からご冥福をお祈りします。
映画とか音楽ってすごいなあ。感じ方はいつの時代も変わっていくけれど、どんな時も素晴らしい作品はずっと変わらずにそこにある。
名曲や名作は何年、何百年たっても色あせない。
昔は好きだった曲や映画を、今いまいちだと思ったら、よくもわるくもきっと自分が変わった証拠。
だってそのものは変わらずずっとそこにある。
夏川結衣もすごいよー。やっぱすごいよー。
初めての旦那の実家に泊まるの緊張してる感じとか、新しいパジャマが阿部寛の分しか用意されてない事に対する小さな怒りとか、すごくよくお酒を飲むんだけどそれに対してさりげなく樹木希林が言う「昔は女はグラスの底は見せるなって言われたもんだけど」っていうセリフに表情をこわばらせる感じとか。すげーよー
なんかすごく印象的なシーンがいっぱいあって、私自身がすべてを受け止め切れているかわからないけど、どうしてもご紹介したいシーンをひとつ。
家の中に入ってきたモンキチョウを樹木希林が長男が戻ってきているといって追いかけ回したシーンの後。
今日おばあちゃん変だったねって言うあつしに、夏川結衣が「おばあちゃんにはそう見えたのよ、きっと」って言う。
そしたらあつしが「もう居ないのに?」っていう。
それに対して、夏川結衣が、「お父さんだってちゃんと居るよ、あつしの中に」って言うの。
わたし、正直「人は死んでも心の中にいる」っていう言葉すっごい嫌いだったんです。
きれいごとっていうか、居ないし、死んでるしって私も思ってた。
でも実際に自分がそういう事を体験して今思うのは、心の中にとか記憶の中にとかじゃなくて、本当に居る。
死んだっていう事がまだ実感できてないって言うのもあるとは思うけど、本当に居る。
それに対して、うまく言葉にできなかった自分に、夏川結衣演じるゆかりさんが答えをくれた。
「あつしの半分はパパで、半分はママでできてんだから」
そっか、結局そうだよなって思った。
わたしの半分は、どうしたって彼からできてる。
だから、死んだって、なんか居るんだ。
そんで、そのあとあつしが、「じゃありょーちゃんは?」(りょーちゃん=阿部寛、再婚相手)って聞くんだ。
それに対する答えが、私がこう答えて!って思ったのと一緒で嬉しかった。
「りょーちゃんはね、これから入ってくんのよ」
あー、素敵なお母さんですね。
そう、あつしくん、これから君を形作るものの中に、りょーちゃんがいるんだよ。
じわじわ、じわじわ。
や、本当に幼少期に父親を亡くして、新しい父親とやっていかなければならない少年の気持ちは私にはわかってあげられないけれど。
でも、全部そのままで生きていってねって思いました。
あなたをはじめに作ったのはパパとママ。
これから一緒に成長していくのはりょーちゃんとママと。
だからパパも消えるわけじゃなくてずっといるさ。
はー、長くなりました。
でもとっても好きな作品。是枝ファミリー勢ぞろいですみたいな作品。寺島進とかも何気に出たり。
家族のお話が好きな方は是非見ていただきとう。
今日という日を、愛おしくてたまらない、そう思える人になりたい。
家族も、自分の周りのすべてを、愛せる人になりたい。
そう、思える人になりたいなって思った映画。
『歩いても 歩いても』
何気ない家族模様
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
何かと話題の是枝裕和監督だが、実は私にとって今回が初めての彼の作品の鑑賞となる。これ一作だけでの判断になるが、系統としては小津安二郎監督に似ていて、何気ない日常の家族模様の中にあるそれぞれのちょっとしたわだかまりや心の棘や思惑がさりげなく描かれる。そしてその演出の質感は良いし、出演者の演技もそれをしっかりと表現していた。「10年くらいで忘れてもらっては困る」場面は良かった。
だが物語は長男の死以外はほんとにどこにでもある日常生活にすぎなくてあまりに平凡。里帰りなんて面倒だし、そんな状態で帰っても理解しあったり話が合うわけもなく表面的なことばかりでお茶が濁され、本音と建前を使い分けて時間が過ぎるのを待つ。こんなありふれた他人の家族模様を二時間にわたって見せられても正直時間の過ぎるのが長く感じた。観終って少しだけしんみりとするのはあるが、でもそれだけ。湖のさざ波を見続けただけの様な印象。同じ演出でもっと動きのある違う脚本ならば楽しめるように思える。
日常にひそむ家族のタブー
夏の終わりの海の近くの祖父母の家。
お盆は終わり、どうやら一家の長男の命日に集まった様子の長女一家と次男の一家。
ありふれたやりとりに中に家族の事情が浮き上がる。
長女は両親との同居を考えており、次男は嫁は子連れの再婚。長男は溺れた子どもを助けるために命を落としたこと。
家族には近いからこそ普段はあえて触れないタブーがある。
そうして日常の、家族の平和を保っている。
でも今日は長男の命日。
母親はあえてそのタブーを侵す。
しかし、一瞬凍りついた空気を再び元へ戻すことも彼女には出来る。
そうして平和を取り戻す。
ああ、これが家族だなぁとしみじみ思う。
「忘れてもらっちゃ困るのよ」
この一言のセリフの重さ、凄さ。
つくづく樹木希林という俳優の凄さを思い知りました。
家族の肖像
絵に描いたような、家族の記録。
輪の中に入る本人たちは、いつも和やかで暖かい表情を見せなくてはいけない。
似すぎた親子ほど、情けないくらい喧嘩してしまう。
家族ほど、厄介な関係はないのだ。
お互いが期待し、お互いが裏切り、いつも自分が正しいと思う。
それでも、いつも平和であるかのようにつくろう。
家族という重たい十字架は、時に、溺れた誰か救い出そうとする。
息子を早くになくした母の憎しみ。
目が不自由になり病院を閉めて隠居になった父の悲しみ。
悔しいけど、家族というのは、自分が飾らずにいられる唯一の場所なのだ。
温かい家族の団欒の狭間で、それぞれの痛みが余計際立ってみえる。
見た人は家族について考えざるおえない、切ない魂のこもった映画。
家族のリアル
15年前に亡くなった長男の命日に、良多は再婚相手と連れ子と共に実家に帰郷する。
集まった家族の1日の出来事…。
是枝裕和監督の演出が素晴らしい。
何か大事件が起こる訳でもない家族の姿をじっくり見つめ、見る者はスッとこの家族の中に入り込んでしまう。
俳優陣のアンサンブル演技が絶品。
夫婦役の阿部寛と夏川結衣は、TVドラマ「結婚できない男」での共演もあり、息ぴったり。
とりわけ、樹木希林とYOUのやり取りは演技すら感じないナチュラルさ。
この映画、単なる家族愛の物語と思ったら、肩透かしを食らう。
至る所に家族の本音がチクチク見え隠れする。(勿論、その根底には“家族”というものを感じるが)
特に印象に残ったシーンがあり…
15年前亡くなった長男は海で溺れた少年を助けて命を落とした。
その少年は毎年毎年、命日に拝みに来る。
父・原田芳雄は何年経っても不愉快。「何であんな奴の代わりに息子が死んだんだ?」
母・樹木希林は「来年も必ず来てね」と温かく接する。
息子・阿部寛は「もう来て貰わなくてもいいんじゃないか?彼だって辛いだろう」と諭す。
すると母は静かに「だから来て貰ってんのよ。10年やそこらで忘れて貰っちゃ困るのよ」…。
何年経っても息子を失った哀しみと怒りを忘れない母の本音に、樹木希林の名演も相まって、ヒヤリとさせられるものがあった。
家族または親戚が集まると、綺麗事だけじゃない感情がじわじわと滲み出る。
細かい事が気になったり、いがみ合ったり、ヒソヒソ声で陰口叩いたり…。
それでも家族は愛しく尊い。
あの時ああしてやれば良かった…と、後悔の無いように。
誰もが身に覚えある、家族のリアル。
何が起こるワケでもない…けど、濃い。
「起承!転転転結ーッ!」みたいな感じの、ハラハラドキドキして後味スッキリの映画が好きなオイラ。
そういえば、こういう地味な日本映画を観たのは初めてかも。
親の期待を一身に受けながら、15年前に事故で亡くなってしまった長男。
その命日に実家に集まった家族の、1泊2日を淡々と綴った映画なんだけど、これまたとっても良かったんですわ。
まず冒頭、母(樹木希林)と長女(YOU)の忙しないほどのテンポの日常会話が、小気味好く温かいながら、シビアな険を含んでいて、リアリティに一瞬ニヤリ&ビクッとした。
そのシーンの手料理も、それはそれは丁寧な田舎料理で、思わずじるる〜ッ!
それからの展開といえば…
能天気な娘婿(高橋和也)、腕白し放題の孫たち、
その賑やかさから微妙に距離をとろうとする次男(阿部寛)、
馴染もうと努力する嫁(夏川結衣)と、その連れ子、
長男の死を胸の奥で握り締め続けることを止められないでいる両親(原田芳雄)…
そんな彼等のその2日間には何か事件が起こるワケでもない。
ほんっとに何気ない会話から、それぞれの心情の機微や確執が浮き彫りになっていくんだよね。
それは「兄弟との比較」や「仕事や結婚」、「親の老い」だとか「救われる為に持ち続けてしまう歪んだ思い」だったり、
「口には出さない思いを抱えている、子供なりの気遣いとか美学」だったり…
痛いトコを突かれるような、胸を張れないような、きっと誰もが知ってる想いなんだよなぁ…。
それなりに平和で明るい家庭にも、「家族だからこその小さな厄介」がある。
この映画を観る人それぞれが違った環境を持っているワケだけれども、自分も含めその人達のそれぞれ違う胸の奥底にそっと触れてくるような、温かさと暗さがある…
その「暗さ」をも共有するからかどうか、何故かホッとする映画だったな。
夏の日の急な坂道と、何気ない会話と、ゴンチチの音楽って、どうしてあんなに合うんだろう?
盆の窪あたりからスッと入り込んできて全身に染み渡るような、堪らなく優しい響きでございました。
この監督らしい映画。
是枝監督らしい、メローなストーリー展開。
取り立てる程珍しくもない、家族とその周りの人達の普通な日々の話。
皮肉でちょっと嫌みな言葉のやりとりが、このメローさにチクチク刺激を与えてくれる。
どこの家にも、こういうのあるんだ。って、ちょっと笑える。
樹木希林とYOUの会話は、どこまでが台詞かアドリブなのか、ほんとに分からないくらい自然。
この自然さが、とっても心地よい。
内容なんて全然無い会話なのに、ずーーーーっと聞いていたい。
これが、この映画の大きな魅力の一つです。
自分が子供の時って、おばあちゃんの家に行くのが、とっても楽しかったな。
親戚みんなで集まって、同い年のいとこと遊んで、疲れて寝て。
自分の知らないところで、親はこんな会話してたんだぁ〜ww
おばあちゃん家
人生は、いつもちょっとだけ間にあわない
隠れて聴く曲ぐらい誰でもありますよ
映画「歩いても 歩いても」(是枝裕和監督)から。
義兄の命日に、家族3人で夫の実家へ泊まり、
一晩過ごすだけの、どこの家にもあるような出来事が、
なぜか、とても自然に映像化されている気がした。
その中で、私が選んだ一言は、妻役の夏川結衣さんの台詞。
場面を説明すると長くなるので省くが、
「あのレコード、きっと隠れて聴いていたな」と、
ややバカにしたような口調で話し掛けた夫に、
「隠れて聴く曲ぐらい誰でもありますよ」と返した。
「へぇ〜、君にもあるの?」「ありますよ」
「どんな曲?」「ひ・み・つ」、予想通りの会話であったが、
妙に新鮮に私の心に残った。
辛い時、悲しい時、寂しい時、家族にも、親友にも隠れて、
じっくりゆっくり、噛み締めながら聴き入る曲があると、
人間は強くなれる気がした。
映画のタイトル、何かの曲の一部だったんだぁ(笑)
あっぱれ!母娘漫才。
名画座にて。
公開時からず~っと待ちに待っていたこの作品。
なんでこんな傑作が全国公開されなかったんでしょうか。
今でも不思議に思います。
これ…まぁとにかく!樹木希林が演じる「おばあちゃん」の
ための映画…といえるくらい彼女ワールドがゼン快なのだけど、
加えて私達が、子供から大人になり、結婚して子供が出来て、
舅姑とのしがらみやらローンやらを抱え、歳をとり、やがて…。
といった時期を迎えつつあるすべての人に当てはまる作品。
どこをとっても頷けるシーンが満載で。まぁそれが…(爆)
笑えるの笑えないのって、憎々しいほどスパイスが効いている。
そりゃ~希林さんの口から出てくる台詞に敵う人はいない…?
だろうと思っていたら!まぁなんと!あのYOUが…!!
この母娘の絶妙なやりとりは、絶対に見逃してはいけません。
まさかあのYOUが(爆)希林さんを食ってしまうとは?ねぇ^^;
皮肉めいた笑いに彩られた家族像を観ながら、
だんだんとこの家族が抱えてきたものが見え始め…まぁそれも
結局は出来の良い長男が不慮の事故で亡くなってしまった、と
いう家族全員が抱えるトラウマが原因となっている。
父親とソリが合わない次男(阿部ちゃん)は失業中…なんだけど
子持ち女性(夏川結衣)を娶った手前、親の前では虚勢を張る。
そんな夫を気遣いつつも、再婚の後ろめたさが拭えない妻は、
義母に気を遣っては嫌味で反される始末。
唯一のほほんと振る舞う姉(YOU)は虎視眈々と財産目当ての
同居を目論み、夫(高橋和也)は人がイイだけのボンクラ亭主。
あぁ~使えない奴らだ。なんておそらく思っているお爺ちゃん
(原田芳雄)こそ最も使えない男で^^;自分の後継ぎのことばかり
考えている始末。あーそうだよね。どこをとっても。誰を見ても。
やれ、どこそこ、のお家事情とまったく違わないのだ。
是枝監督、よくぞここまで並べ立ててくれました。怖いです^^;
いちばん印象に残ったのは、子供たちの笑顔と風呂場のタイル。
笑わなかった王子(爆)までもが楽しそうに笑って、子供が
子供らしさを失わないでいることの大切さをしみじみと感じる。
我が家でもああだったな。。子供たちが小さい頃はみんなで
集まって「おばあちゃんち」(この言い方ってホント不思議^^;)
でワイワイやったものなのに、物心がつくと挙って来なくなる。
皆を見送った後の二人の背中を見ながら、あぁだったのかな…
と思ってみたり。でも、孫がいて、一番可愛い盛りを見られる。
そんな祖父母だって今じゃ幸せなんだぞ~。少子化なんだから。
大きな事件が起こるわけでもなく(過去にあったけれど)
突然、そこから何年後かの次男家の様子が映し出される。。
母親が心配した将来?通りだったかどうかは見てのお楽しみ。
悪いけど、親が思うほど子供は弱くない。心配ご無用なのだ。
(しかし「レコード」と「よしおくん」のシーンには凍りついた(・・;))
女って怖い
歩いても歩いてもって題はブルーライトヨコハマの歌詞なのか?
この歌が2人の思い出の歌と言ってのけた、あのお母さん…怖いよね。
絶対浮気を許してないのだわぁ~(=_=)
まぁ確かに長男をおぶって女の家まで旦那を迎えに行くなんて…
あたしには出来ない。
行った家から旦那がこの歌を歌ってる声が聞こえてたんだって。。。
で、思い出の歌って(>_<)
相当、凄い女なんだわぁ~(@_@;)
あと…長男が死んでまで助けた子が大きくなって
法事には必ず呼んでるんだけど…
この子が…なんとも太っていてあんまり魅力無い男なもので…
一年に一回くらいココに来て死んでいった長男のことを思い出してもらわないと…
っていうお母さん。。。
本当に怖いです。
次男の嫁も再婚で連れ子有りなもんだから
気に入らないくせに…
猫なで声出して…
マジウザイわ。
娘にしたって…自分が両親の世話をするとか言ってるけど…
親のお金をアテにして二世帯住宅を建てて欲しいだけみたいに思えるし…
母は母で…娘の旦那は調子良いだけだし孫にしたってうるさいって…((+_+))
本当に人に遠慮するとかしたことなく生きてきた人なのかなぁって
気分悪くなっちゃいました。
しかし…法事や何かで親戚一同が集まったりしたら
こんな風景って本当にありますよね。
だから…私も旦那ん家に行くの嫌なのよね(爆)
あるあるネタ満載
日本の夏
この映画、期待していませんでしたが良かったです
何が良かったかというと表現が難しいですが、
なんか懐かしい、夏休みにおばあちゃの家に行った
時を思い出しながら映画を見ていました
子供の時は気が付かなかったけど段々と成長して
周りの大人の考えている事が理解できてくると
客観的に見て、あーなるほどと思う場面も多々ある
「いらっしゃい」「ゆっくりしていって」などの
言葉の裏側は・・・実に面白い
樹木希林とYOUのクロストークも面白いね
久しぶりに実家に来た娘と母の雰囲気が出ている
阿部寛も実にイイ
子連れの再婚相手を連れて帰るのだが、ここにも
おばあちゃんの言葉と行動が一見歓迎しているようで
実は・・・みたいな感じが良かった
原田芳雄はさすが演技派
タモリ倶楽部で電車に乗ってハシャいでいるのとは
ガラリ一変、融通の利かない頑固オヤジ役がピッタリ
この映画は派手さは無いものの、今ではあまり見られない
日本の夏が見られると思います
劇場を出た後も余韻を引く良作
「誰も知らない」の是枝裕和監督が、自分の母親の死をきっかけに作ったという本作は、温かく、それでいてほろ苦い良質のドラマ。最近、劇場を出た瞬間に何も印象に残らない映画が増えてきているが、我々が必ず直面せざるを得ない両親の加齢と、そしてその先にある別れを描いた本作は、見る者の心をざわつかせ、いつまでも心に残るだろう。
……と、これだけだと、見ていて辛くなる重い映画のように思う方もいるかもしれないが、そんなことはない。大切な人たちと過ごす時間を、非常に丁寧に、そして温かく描いているため、見ていてついついニヤニヤしてしまうことだろう。「あー、こういう人いるわー」と、頷かざるを得ないリアルな人物描写も楽しいし、「美味しそー!」と、腹が鳴りかねない食卓のシーンだけでも、劇場で見る価値はある。
なお、役者陣では何と言っても母親役の樹木希林が素晴らしい。「東京タワー」の彼女も素晴らしかったが、本作の彼女も必見だ。
全81件中、61~80件目を表示