歩いても 歩いてものレビュー・感想・評価
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陰気な映画
鑑賞中、あまりに登場人物達のセリフが陰気なので、観ていて気分が悪くなりました。
長男が亡くなって15年。
実家へ久々に帰る次男。子連れの未亡人と結婚し、本当は泊まりたくもないのに、泊まるといって実家へ。
長女は旦那と子供2人を連れての帰省。こちらは、夕食を食べる前にさっさと帰宅。
せっかくの家族の集まりの日なのに、話す内容は過去の話や、大して心にも思ってない話、裏でその話をしながら実際は違う。家族の間の会話とは思えないほど薄っぺらい話ばかりで驚きました。
大抵の会話が辛気臭くて、心のこもらない家族との繋がりを2時間弱延々と見せられ、苦痛でしかありませんでした。
息子を亡くした両親の気持ちは私には分かりませんが、どれだけ辛くても、息子が人助けをしたのならもう少し優しい気持ちになっても良いのでは?と未経験者の私は思います。確かに助けた相手が、なんとなーく人生を送る姿を見せられると思うことはあるとは思うのですが。次男との会話で、一年に一度くらい苦しい思いをしてもらってもいいじゃないと言う母親の言葉に、恐ろしさしか感じませんでした。怖すぎる。
この映画の中で1人だけまともだとすれば、それは自分の父親を亡くした後、新しい家族ができ、それを受け入れ、大人達にそれなりに合わせて過ごしていた子供じゃないかと思いました。
とにかくこの映画は何のために作ったのか、まったく分かりませんでしたー。ただただ、最初から最後まで虚しく、悲しい気持ちでみてました。
次男から両親への俺をみてくれ感や、母親が子離れできてないシーンは辛かったです。
自分もまた本作の父や母のように老い、子供がまた家族をつくって行くのだということ
タイトルの意味は劇中で語られます 1968年12月発売のいしだあゆみの大ヒット曲「ブルーライトヨコハマ」の歌詞の一節です 樹木希林の演じる母が、そのシングル盤を主人公の良多に掛けさせます 父は母が、通販で昭和の歌謡なんとか30巻セットを騙されて買ったんだと言うのですが、それでは有りません そのレコードは死んだ長男の机の引き出しに大事に隠してあったシングル盤です その歌はあまい恋の歌です 彼女は夫を追及します あなたに関係ない歌なわけ無いでしょう 良多をおぶって板橋の夫の浮気相手の女のアパートに行った時、部屋の中から♪歩いても~と歌うあなたの声が聞こえたのよ 邪魔したら悪いと思ってそのまま帰って、次の日に駅の西口のレコード屋で買ったのですよと 背筋が凍るような話です 40年昔の事を恨んで、声を荒げることもなく淡々とそれをいうのです そして、そのすぐあと兄の命日に毎年、助けられた今では成年した少年を呼ぶ理由を彼女は明かすのです 女の恨みは深く静かで消えないものだということです そのレコードが何故、長男の遺品の机の引き出しに入れられていたのか 長男が危篤の時も、自分の患者を優先したことを非難していたのだと思います 良多は子連れの妻と結婚したこと、失業したこともあり実家にはあまり近寄らなかったようです この日も日帰りで帰ろうと言い出したりします しかし妻はそうはいきません そんな中でも懸命にこの家族の一員になろうと頑張っています 自分の妻もこのように苦労していたのだと今更ながらチクチクと胸が痛みます このように本作では女性が強いです というかこれが日本の家庭の普通なのでしょう 男はそうした隠された感情が小出しにされて、オロオロするばかりです 家族を作り繋いでいくのは母、娘、嫁です 男はなんの役にも立たないのです 良多は、隣の急病人に対して無力をさらけ出した父の老いを目の当たりにして何かが変わったようです 主人公良多の妻の連れ子のあつしは、父と死別したことに衝撃を強く受けていることが次第に明らかになってきます 彼はこの一晩でこの家族の男の立場を見て何かを感じています 良ちゃんを父として受け入れようという気になったようです この一泊で彼も何か成長したようです 親孝行したいときには親はなし 生きているときは、説教されるのが疎ましく実家には近寄りもしないものです お相撲さんの名前をバスがでてから思い出すように、人生にタイミングよく物事が進むことはなく気が付いたときにはもう手遅れの場合が多いようです ラストシーン 良多と妻の間には女の子が産まれもう4歳位のように見えます あつしは中学生ですから5年後のようです 姉の夫から買ったであろう車が走り去ります 娘も作り、車も買え免許も取っているのだから仕事もすぐ見つかり生活は安定しているようです しかし良多は血のつながった孫娘を見せることも、母を車に乗せることも、父とあつしとでサッカーにも行けなかったのです 家族との濃密な関係は時に疎ましく、自由でありたいと感じるものです しかし、自分が家族を持ち、子供が育ってくるとどうしても家族のつながりを求めたくなるのです それは自分もまた本作の父や母のように老い、子供がまた家族をつくって行くのだと、やっと思い至るからだと思います その時に、いしだあゆみの歌のようなエピソードがふとした時に妻から飛び出して来ないように、おかしなことにならないように気を付けていたいものです もう手遅れかも知れませんが
家族版スタンドバイミー
亡くなった人間を想う気持ちの度合いは人それぞれだ
海よりもまだ深くでは男が過去の未練を残し、女が前に進む傾向を描かれているが
この映画では、女が亡くなった人を強く想い、男はそれに疑問を持つ
息子はウサギの死や父親の死を気にせず、それでも心に留め生きて行こうとする
人生においての生き方の整理が一番ついているのは息子だと感じた。
この映画では紛れもなく樹木希林がキーパーソンだ。
夏川結衣との会話シーンでは、女の持つ心の闇が画面いっぱいに映し出される
樹木希林は血の繋がった家族にこだわり、広告店の男に憎しみを持つ事に意味を持たせている。
息子の実の父親と、主人公の兄は映し出されないが、劇中幾度となく登場人物の言葉で語られ、彼らの中に存在していることに気づかされる。
日常にありそうな会話の数々が、映画ならではの重みと共に自分の人生にのしかかる。
是枝監督の映画は、常に観ている側に問いかけてくる。
また配役は海よりもまだ深くと似ている部分が多いが、どちらも重みは違えど本気で家族というものを描いている。
また、子役が毎回違う俳優を使い、どれも演技とは思えない実在感があるのだが、祖母役を樹木希林に頼りまくるのもまた面白い作家性といえる笑
名作。
日本の家族の全てが詰まっていると言っても過言ではない。徒然なるままに描かれる少しだけ特別な1日が、しかし緻密な演出の上で紡がれていることを知る。樹木希林は、意図した台詞も、意図しない表情も、全てが芯を得すぎていて怖い。田口智也さんが大事な役で出演してた。
劇的でなく格好良くもない素晴らしい映画
最後まで何も起こらない映画だった。良い意味で。 主人公(阿部寛)の兄が亡くなったりと事件はあったが、それも劇的には描かれない。全てがリアルだ。だから抵抗なく観ているヒトの心に届く、感じる。 胸に響く含蓄のあるセリフがたくさん出てくるのだけれど、どれもサラッと流れていく。自らの経験に結びつかない、感じないセリフは多分気づかない。僕もたくさん気づかずに逃していると思う。でもそれでいい。観たヒトそれぞれち届く言葉、シーンがきっとあると思う。 「人生はいつも、ちょっとだけ間に合わない。」とても胸に響くセリフでした。ラストシーンは静かに涙ぐんでしまいました。 それぞれの人間の、それぞれに対する表の顔と本音が繊細に描かれている映画だった。ものすごい映画です。日本映画らしい良さが生きていて大好きです。
自然すぎて恐ろしい
出演者皆さんの演技が素晴らしすぎてドキュメンタリーかと思うほどだった。特に樹木希林さんとYOUさんの親子の会話はセリフを読んでる感や演技をしている感が全く感じられなく実際の他人の家を覗き見しているかの様だった。 ただただ役者って凄いな恐ろしいな、と思わせる作品だった。
自分の家みたい。
映画館で見逃していたので、アマプラで鑑賞。自分は町医者の息子(自分も医者だが)なので、家の映画の中の会話が自分の家での家族の会話みたいだった。原田芳夫のリタイアした医者も本物のそれだった。阿部寛、樹木希林、YOU、原田芳雄、夏川結衣のすべての役者が良い。既に二人が他界しているのが惜しい。
良く見てる
身内の集まりに行くと良くある「おだて」「恨み節」「謙遜」の使い方が既視感ありありで、人前や公では決して分からない日本人の性質がリアルに表現されていました。日本人の謎を良く理解できる作品だと思うので、外国の方や帰国子女の方に、今作の感想を聞きたくなってしまいました。
家族の何気ない会話で進む展開。
阿部寛が演じる家族が里帰りし実家での母親、(樹木希林)と父親(原田芳雄)と妹家族との何気ない会話を通じて物語が展開し里帰りの理由やそれぞれの家族関係が糸をほどいていくように理解できるようになる。 町医者の実家での家族の会話が中心で進む展開に飽きてきた時にパッとしない青年が訪ねてきたことで家族の抱えてきた秘密が明らかになっていく。 気の長い人でないと飽きてしまうかも知れません。 阿部寛、樹木希林 YOU 原田芳雄 夏川結衣それぞれいい演技でした。
関わり合いで見えるもの
ほのぼのしているようで、実はけっこうじっとりした雰囲気。 特に樹木希林が演じるお婆ちゃんの、黒い感情を吐き出すシーン。 まさにダークサイドって感じの撮り方で、情念の恐ろしさに震えた。 全体を通して何か事件が起こるわけでもなく、 とらえようによっては地味な映画。 だけどね、こういう何気ない時間の積み重ねを通して 人生ってのはできていくもんだろうし、 時にはどうしようもなく損なわれてしまうものってのもあるんだろう。 主人公の「いつだってちょっと間に合わないんだ」ってセリフが印象的で 大事なものだろうが何だろうが、 よく考えたらいつかは失う前提で成り立ってるんだよな、と。
個人と、家族
何でもない日常なんだが、 その切り取り方が、「是枝」品質。 淡々としてる。でもその絵で語る。台詞はない。 入る台詞も、刺さる言葉が多い。 ホントにどこでもあるシーンだけど、 どこでもみんなこんな事思ってるのかと思うと、 やっぱり人間が一番怖いなと。 でもだから人間なんだなと。 強いて言うなら、男は小さいし、女は強かだ。 「この世に社会はありません。あるのは、個人と、家族だけです。」 (マーガレット・サッチャー) この言葉を思い出した。
直接は伝えない
お茶漬けを勧められたら「帰れ」の合図
している時計を褒められたら「帰れ」の合図
それらが嘘か真かともかく、
日本に、行間や空気を読むことを大切にする文化があるのは事実だろう。
諸外国に比べて、妙に間接的なコミュニケーションをする。
さてこの作品は、昭和のにおいが残る一家を描いたドラマ
なのだけど、
際立っているのは、そういう、思ったことを口に出さずに、
婉曲なやりとりを繰り広げる人間模様の数々。
よくもまあこんな繊細なものを、
細やかにリアリティをもって映像化できたものだ。唸る。
泣けるとか感動するとかではなくて、
「人」が巧みに表現されている、まさにヒューマンドラマ。
なぜか自分の家族と重なる
日本の夏を感じたい!という欲求のもと、見る映画を探していたら、この映画が紹介されていた。レビューをちらっとみるとなにかが起きるわけでもなく、ただ家族が里帰りする話と書かれていたので、まぁ、そんなもんだろうなぁとあまり期待していなかった。夏の雰囲気を感じらられればいっかなと。
しかし、この映画はそんな雰囲気だけの映画とは全くちがっていた、、というかそんなに甘いもんじゃなかった。
いくつかのシーンで涙が勝手にあふれだし、見終わった後も目をとじるとそのシーンが頭に浮かんで涙が止まらなくなってしまった。
そのせいで眠れなくなり次の日は仕事を遅刻した。
印象に残ったのは以下のシーン
長男のお墓から一緒に帰ってきた黄色いちょうちょを母がおいかけるシーン
母って子供のことになるとちょっと狂気じみる気がする。それが息子だとことさら。長男の死の原因となった男の子を毎年無理やり訪問させるところも母の狂気をかんじた。樹木希林さんはやっぱり上手。
父がお向かいのおばあさんが救急車に運ばれるのをなすすべなく見送っているところ。
その背中が映し出されているシーンが目をとじると浮かんできて涙があふれ眠れなくなってしまった、、
りょうたの妻が誰にでもこっそりききたい曲があるものよというシーン
こわ!この女の人はきっとまだ前の旦那さんの方が好き。そしてその領域にりょうたが入ってくることを拒んでいる。その気持ち女の人なら共感するんじゃないかなぁ。夏川結衣が上手い。
最後
ナレーションで三年後父が死に、後を追うように母が死んだことを語る。すごくリアル。まぁ、そうだよね、きっとそれくらいで死んじゃうよねと必然を感じさせる。
あえてドラマティックではない映画
あえてドラマティックでなく、淡々と家族が描かれています。 役者の皆さんも是枝監督の狙い通り演じている様をまったく感じさせずに自然体なのがすごい。 たから刺激的な映画ではないけれど、じんわりと共感できます。 ラストシーンがとても素敵でした。
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