ぐるりのこと。のレビュー・感想・評価
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夫婦の物語. 妊娠で幸せ一杯だったのが, その子がすぐ亡くなり. ...
夫婦の物語.
妊娠で幸せ一杯だったのが, その子がすぐ亡くなり.
二人の絶望と希望の物語.
奥様に鬱の症状が強く出たり,
気ままだった夫が徐々に寄り添ったり
年月の経過で, 癒えることと忘れられないことと.
夫の仕事が, 法廷画家=裁判の様子を即座に描く専門家で
時代を映した有名な事件がいくつも引用されたり,
なにげなく描く絵も写実的で.
こちら鑑賞者の目と心には, 恐怖の後の癒しみたいな感覚でした.
フィルム上映ってやっぱりいいですね.
【”ちゃんとせんでも良い。一緒におってくれ。”今作は深い哀しみを経験した夫婦が10年掛けて再生する様を90年代に世間を震撼させた数々の事件を背景に夫婦の強い絆を描き出した逸品である。】
■1993年。カナオ(リリー・フランキー)とショウコ(木村多江)は仲睦まじく暮らしている。そしてショウコの妊娠が分かり結婚するが、その後二人に悲劇が訪れるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今観ると、多数の名優が出演しているが、当時は未だ名が巷間に知れ渡るところまで行ってはいなかった木村多江と、イラストレーターが本業だったリリー・フランキーの演技が抜群である。
今では誰もが認める名優であるが、彼の方が今作以降、多数の映画の重要な役に抜擢された事が良く分かるのである。
・リリー・フランキー演じるカナオは、いつもショウコに優しい。深い哀しみの中、ショウコが心療内科に通い、出版社の仕事も上手くいかなくなり辞めても彼は妻を責めない。柔らかい笑顔で接するのである。
その表情が素晴しいのである。
・勿論、深い哀しみを一人で抱えるショウコを演じた木村多江さんも素晴らしいのである。ショウコが哀しみの中、法廷画家になった夫が描いた亡き幼い娘の絵を見た時の表情。そして呟いた言葉。”言ってくれればよいのに。”
ショウコと同じくカナオも悲しみに耐えている事を暗喩した演出が素晴しいのである。
・カナオが、靴の修理屋から先輩(木村祐一)から頼まれて法廷画家になった後の数シーンも印象的である。
幼女殺害犯(加瀬亮)が証言台に立ち、恐ろしい言葉を吐いた後に、一人廊下に座り込んで青い空を見上げるシーン。
又、池田小事件と思われる世の全てに悪意を撒き散らす犯人を演じた俳優の姿(その後、本当に獄に入るような悪事を犯した。)や、オウム真理教と思われる信者が悔いの言葉を吐く中、背後でマントラを唱える異様な一団のシーンなどもインパクト大である。
・それまで、カナオを軽く見ていたショウコの母(倍賞美津子)、一時は羽振りが良かった兄夫婦(寺島進&安藤玉恵)が、ショウコたちを捨てた末期の病と言われた父が居る名古屋にカナオとショウコが行った後に、カナオが描いて来た父の優しい顔。
そして、カナオは穏やかな顔で言うのである。”生きていただけで、良いじゃないですか。”
その言葉に感化されたのか、ショウコの母が父が出奔した真実を告げた後に、正座してカナオに対し”ショウコをお願いします。”と頭を下げる姿も良かったな。
・そして、ショウコは寺で心を癒し、カナオと二人で穏やかな表情で寺の中の天井画を見るのである。
<今作は深い哀しみを経験した夫婦が10年掛けて再生する様を90年代に世間を震撼させた事件を背景に描き出した逸品なのである。そして、橋口亮輔監督は、超寡作ながらどの作品も素晴らしい事を改めて思い出したのである。>
人に幸あれ、底に笑いあり
法廷をこうやってみせるとは
夫婦の何気ない日常の中にも色々な起伏がある。結婚生活に夢見ている人...
夫婦の何気ない日常の中にも色々な起伏がある。結婚生活に夢見ている人はこの映画を見てから良く考えた方が良い。
子供を失って、夫が赤ちゃんの絵を描いていたのを見つけて「嬉しかったんだ。言ってくれれば良いのに。」この言葉に色々詰まっていると思った。妻は夫に共有して欲しいと思っている。嬉しいとか、楽しみだねとか。
これを観たら、自分を褒めてあげたくなってきた、かな
木村多江さんの熱演が光る
生きる技術
そういや自分も結婚して10年以上経ってた。
結婚した頃に思い描いてたこと、大して何も出来てない。
何か具体的に思い描いていたのか、それすら定かでない。
冒頭、結婚する木村多江が、浮気性な夫(リリーフランキー)を思い、
「私がしっかりすれば、大丈夫」と自分に言い聞かせる。
自分ではしっかりしてると思ってるのに、
実際の自分はそうではなくなってきてる。
でもしっかりしてないと思ってた人(ここではリリー)は、
意外としっかりしていて、自分(木村)より強かった。
そして愛してくれていた。
しっかりしてなくても、理想を追いかけなくても、
何かを達成できなくても、
10年一緒にいたということが、結果的にそうであっても、
未来を生きていく糧になる。
生きる技術になる。
「生きることも技術なんです」という台詞が浸みた。
リリーの台詞も良かった。
「(死んだ人は)また思い出してあげればいいじゃん」
木村の身内(母、兄)も、根性悪い役で登場するが、
結局最後には、みんなお互いを好きだったんだと分かる。
それが分かるだけで、この一家は幸せなんだと気付かされる。
めんどうくさいけど、いとおしい。
いろいろあるけど、一緒にいたい。
人との関わりが人を変えるんだな。
最初実態のないクラゲのような夫のラストの顔。なんて自信に満ち溢れ輝いているんだろう。
その性格から、自分を、他人を追いつめがちだった妻の顔もなんて優しくゆるやかになっていく。
夫は、法廷画家として様々な事件・同じ法廷画家・記者に囲まれ、否が応でも”人間”と関わっていく。依頼されても描けない事件もある。感じていないように見えても、心の奥底では激しく動くもの。
この夫婦、兄夫婦、母とのよくある日常を描きながら、
法廷画家として関わる事件の裁判所での人間スケッチを織り交ぜながら描いていく。
ラストの場面で夫が呟く「人人ひと」そしてエンディングは花模様。静かだけど力に溢れたエンディングに心に光が射してくるような気がする。
役者が秀逸。夫婦・兄夫婦・母、記者・法廷画家は勿論のこと、
裁判に現れる被告者・証人・傍聴席の皆皆も、本当に短時間で、こちらがさもありなんという人物像を演じきる。ふだん私達が報道で知りえた情報から描くイメージを、また違った角度(指だったり、足首だったり、手首だったり)から切り取るそのすごさ。
さりげないエピソードばかりが続くのに、その場面場面の適切さ。
すごい映画があるものだ。
非常に評価の高い本作ですが、私には合いませんでした。 下世話な話か...
邦画らしい邦画
久しぶりに胸糞悪い。
トンカツ不味そう(笑)
こういう夫婦になりたい。
こういう夫婦になりたい。
幸せは二倍に、悲しみは1/2に、それが付き合うということ。
自分が辛くても相手のことも支えてあげる。
自分に何の得にならなくても相手の喜ぶことをしてあげる。
一見簡単そうで、それがいかに難しいことか、この映画を見て痛感する。
そして誰もがリリーフランキーに惚れてしまうよこの映画。
ぐるり一束。
黒柳徹子さんがいうには、10年ってのは、一束になって
過去にふっ飛んでいくのだそうだ。それはつまり、歳を
とってだんだんと月日の間隔が短くなり、10年が一束に
なって忘れ去られることなのらしい。あー分かる分かる。
自分の周囲を「ぐるり。」と表現した監督の意図が伝わる。
今作の主人公夫婦にとっては波乱の10年間だっただろう。
結婚して、生まれてすぐの子供を亡くし、妻は鬱になる。
それまでなんとなく幸せにダラダラと生活してきた二人
の世界観が一気にまた変化してゆく。夫は妻を支える為
法廷画家の仕事に精を出すが、そこに過去の実際の事件
を加え当時の世相を反映させる。だかその事件が二人に
絡むわけではない。過去の10年を振り返る時の標となる
のは、当時のニュース映像や芸能人のゴシップだったり
するのが自然だからだろう。あぁあんなことがあったね。
その時自分たちはあぁだったよね。という夫婦ならでは
の人生の歩みが淡々と描かれる。子供を亡くすというこ
とがどれほど辛いか、心を砕くかも伝わるが、それより
壊れかけた相手をいかに支えていくか、結婚というもの
夫婦というものが背負う作業項を描いているような感じ。
劇的なことは夫婦の不幸と事件以外は何も起こらないし、
かといって説教臭くも説明深くもないので不安定な生活
がそのまま映画の状況となってこちら側に伝わってくる。
よくできた映画とは思えないいびつ感がアチコチに感じ
られるのだ。でもそんないびつ感で夫の優しさが際立つ。
毎日妻を観察し何も言わずただ支える。話を聞いてやる。
手をつないでやる。妻が悲しみから立ち直るまでずっと
傍にいる。別れない。責めない。諦めない。捨てない。
夫だって辛いだろう、苦しいだろうが、弱音を吐かない。
だって元気な時の妻はあんなに貴方を支えていたもんね。
あぁこれぞ夫婦。と思ったらとうとう自然に泣けてきた。
鼻水でベタベタになった妻を可愛いと思う夫で良かった。
しかし「カツ定食」があそこまで不味く思える映像も凄い…。
日常的な夫婦の物語。
とある夫婦が、幸せと哀しみと、そして次へとまた生きようとする、二人の優しい物語でした。ショウコの辛く長いトンネルが、ようやくカネオと、ちゃんと向き合った時の、二人の会話が好きです。なんか、わかるなあって思えて。特に終盤の二人ようやくのんびり夫婦しているシーンの数々が好きです。自然体な感じがします。その合間に、次々と現れる90年代の事件の断片を見ながら、ふとなんとも言えない思いに駆られました。
生きるのも技術
「恋人たち」の前に予習を、と思いDVDを借りたのだけど素晴らしかった。
演出ってどこまでが演出なのか分からないけど、家族の会話とか距離感がとてもリアルでラスト近くのショウコの涙に「辛い事もあったよな、乗り越えて来たんだよな」とまるで一緒に10年を過ごしたかのような親近感が湧いた。
夫婦って幸せなら超ラッキーで辛い事を共に乗り越える覚悟を持って結婚しなきゃならないし、何年もかけて夫婦、家族って完成していく物だと監督の家族観にとても共感出来た。
ちゃらんぽらんな旦那が、共に過ごした時間や流産を経験してどんどん旦那として責任感を持って、言葉にはしないけどちゃんと妻を見てて、支えて家族になって行く様に、初めこそダメなヤツだと思ってたけど最後は理想的だなぁと思った。
前半の上手くいかないどんどんダメになって行くどうしようもない溜め息しかない展開が、後半の幸せへと向かって行く伏線になってて、この夫婦がどうか上手く行ってくれ!と願いながら観た。そして、ラストカットに幸せをお裾分けしてもらった。
生死を扱う重い裁判は、頑張らなくていい生きてるだけで良いんだ。生から逃げるなよ。ってメッセージを受け取ったのだけど、そんな単純じゃないか…
とにかく俳優さんの演技もストーリー、脚本も素晴らしかった。
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