「タイトルなし」ぐるりのこと。 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
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①最初の数シーンを観ただけで「あっ、この監督は演出力あるな」と思った。②木く村多江熱演。きちんとしたい人間ほど一回のつまづきでも罪悪感を他に転嫁できず自分を責めて責めて「死」しか今の苦しみから逃れられないと判断力を失ってしまう。そんな鬱状態に苦しむヒロインを演じきった。対峙するリリー・フランキー扮する夫が逆にテキトーながら懐の深い男にしてあるのが絶妙な設定。③夫を法廷画家にした設定も巧い。映画に登場する法廷シーンは大半が児童に関する事件である。子供を失くしたことで自分を責めて追い詰めて苦しむ妻に対峙する夫が法廷で対峙するのは、子供を殺した人間達、子供を殺された親達。子供に恵まれなかった悲しみ・苦しみの中で共に歩む夫婦の数年間の並景として、これらのシーンを挿入したのは映画的にとても効果的に働いていたと思う。④
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