「1人の少年の成長譚。自らの殻を「破」ることで物語は加速する!」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
1人の少年の成長譚。自らの殻を「破」ることで物語は加速する!
汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」に乗り、謎の敵「使徒」と戦う少年少女たちの成長と葛藤を描くSFアクションアニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』4部作の第2作。
碇シンジの前に現れた新たなエヴァンゲリオンのパイロット、式波・アスカ・ラングレー。彼女の登場により、使徒との戦いは更に苛烈を極めてゆく…。
脚本/総監督/エグゼクティブプロデューサー/企画/原作/画コンテ/デザインワークスを務めるのは庵野秀明。
NERV首席監察官、加持リョウジの声を演じるのはテレビアニメ版と同じく山寺宏一。
前作『序』がただの総集編だった為、本作もあまり期待していなかったのだが、予想に反してかなり面白かった!
まず、作画の躍動感が素晴らしい!
『序』では原画やタイムシートなどの素材は使い回していたようだが、本作では完全に新規に書き下ろしたらしい。そのためなのだろうか、『序』の時に感じた若干の古さというか90年代アニメ感がなくなっており、非常に瑞々しいフレッシュなアニメーションとなっている。
そしてキャラクターの魅力が前作に比べて格段にアップ!
前作では終始ウジウジしていて好きになれなかった碇シンジも、本作では人間的な成長を遂げ、大切なものを取り戻すという、自分自身の目的の為に戦います。
やはり、登場人物が成長する作品は観ていて気持ちが良いものです❗️
シンジと父ゲンドウの関係も本作で変化が生まれています。前作では無機質だったゲンドウですが、本作では人間らしい所が垣間見えます。
この父子のドラマこそが『エヴァ』を貫くテーマであり、それが進展したことで物語の面白さが増していると感じました。
綾波レイも人間らしさが徐々に出てきて、ヒロイン的な魅力が増しています。
何より本作で登場した式波アスカ。彼女はやっぱり良い!!アスカの魅力がそのまま本作の魅力に直結しているといってもよいでしょう。
辛気臭いキャラクターばかりだったところに、(表面上ではありますが)明るいキャラクターが登場したことにより、映画全体に華やかさが出ています✨
欠点としては加持リョウジというキャラクターの説明不足。ポッと出てきて何となくシンジと仲良くなったように見えてしまうので、違和感が拭えない。
そしてマリという新キャラクター。これは製作スタッフも扱い方を決めかねているのではないでしょうか?
キャラクターとしての必然性をまるで感じない、何のために出したのかわからないキャラクターになってしまっている。
とはいえ、物語が大きく動き出した『破』。散りばめられた謎の数々に回答はもたらされるのか!?少年少女たちの運命は如何に!?次回に期待です!
「破」、単純に面白かったです。
> 辛気臭いキャラクターばかりだったところに
あはは。厳しいなあ。
> 「加持リョウジ」というキャラクターの説明不足
ですね。男子には興味がないんだろうな、と曲解してしまいました。