劇場公開日 2008年6月28日

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「マイクという名の由来を知ってるか?・・・実は父さんがカラオケ好きだったんだよ・・・」告発のとき kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0マイクという名の由来を知ってるか?・・・実は父さんがカラオケ好きだったんだよ・・・

2019年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 インドネシアの国旗を逆さまにすればポーランドになりますが、日本の国旗を逆さまにしても何も起こりません・・・星条旗を逆さまに掲げて“救難信号”を意味するんだよ、というウンチクから始まり、旧約聖書やコーランについてまで博識ぶりを発揮する宇宙人トミー・リー・ジョーンズ。彼が演ずるハンク・ディアフィールドは軍人一家の長。陸軍出身、軍警察を経験と、刑事シャーリーズ・セロンも舌を巻くほど洞察力も鋭い男なのです。

 空軍で墜落死した彼の長男デヴィッドの名もやはり“ダビデとゴリアテ”からつけられたのだろう。原題となっている“エラの谷”にて勝ち目のない怪物ゴリアテに戦う許可を与えた王の話をセロンの息子デヴィッドにベッドで聞かせるところは印象に残ります。軍人である父親に憧れて兵士となった次男マイクに対する父親と母親(スーザン・サランドン)の考え方が違うところも興味深いところ。“親子の愛”というよくあるテーマに思わせておいて、戦地に若者を送る罪についてのメッセージを残すのはさすがポール・ハギスと唸るばかり。しかも子どもに言わせるなんて憎い憎い・・・

 基本的には、息子マイクが行方不明となり、やがて焼死体となって発見され、女性刑事の協力も得て独自の捜査をする、というミステリーの形をとるプロット。厳粛な退役軍人という主人公であるため、兵士を英雄としてとらえているのですが、『戦火の勇気』だとか『英雄の条件』などといったアメリカ万歳映画ではなく、むしろ『地獄の黙示録』のように狂気にかられ人間性を失っていくものだという、戦争の現実に打ちのめされる内容になっています。

 また、イラク戦争が間違っているなどというメッセージより、もっと恒久的な何か、全ての戦争に対して訴えかけているように感じました。小さな子どもに言わせている点、逆さまの国旗、エンディングに“子供たちに捧ぐ”と書かれていたためかもしれません。

 意外と面白いのが、トミー・リーが素早くベッドメイキングをするシーンが何度もあったところ。息子の凄惨な遺体と対面する表情よりも印象に残りました。そして、シャーリーズ・セロンの化粧がスッピンから徐々に濃くなって、美しさも変化するところが・・・それに管轄違いでグダグダしてる中で「正しいことをする」と意志の強さを見せるところで惚れ直してしまいました(相手にされないけど・・・)

kossy