「ノラ・ジョーンズのアップにぐっときた」マイ・ブルーベリー・ナイツ あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ノラ・ジョーンズのアップにぐっときた
2007年香港・フランス合作映画。95分。今年15本目の作品。好きな映画監督の名前を上げろと言われれば、まず浮かぶのはコーエン兄弟。つぎにパトリス・ルコント、フェリーニ・・・そして本作の監督、ウォン・カー・ウァイもその内の一人に必ずいれます。
内容は;
1、NYの下町レストランで働く男は失恋したての女に恋する。
2、女はそれからブルーベリーパイを食べに店に訪れるようになる。
3、しかし女は突然男の前から姿を消し、手紙だけが男に送られるようになる。
さいきん偶然にも女性向けの映画が続いています。本作はガールズ映画もしくはカップル映画です(だから劇場で観なかった)。ウァイ監督にとっては広東語以外の初めての作品ということで懸念もありましたが、観てみるとそんな懸念はあっさり消えました。
ウァイ監督ほど薄汚れた下町を綺麗に描ける監督さんは他にはいないと言い切っていいでしょう。
酔っぱらいや彷徨ってる人、何らかの事情でそこから出られない人、隠遁してる人・・・そんな人々が毎日のように喧嘩をしている姿をここまでウィットかつユーモアに満ちた眼差しで描ける監督さんはなかなかいないです。
そんな雑多な世界のなかで芽生える男女の恋というものも華には簡単にはならない。男は追いかけ、女は逃げる。一筋縄ではいかないが、これこそ男女の駆け引きというものを観てると、何故か心が和むんだな。本作はこんな感じの作品です。
なによりも「花様年華」「2046」と深遠な世界を旅してきたウァイ監督本人が、本作の舞台となる小さなカフェのような所で心を休ませたかったのかもしれません。それは彼の作品を観つづけてきたわたくしも同様。
次回作は必ず映画館で観ますよ。