「東の魔女への贈り物。」西の魔女が死んだ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
東の魔女への贈り物。
この作品に出てくる「西の魔女」を演じているサチ・パーカー。
とある大女優の娘と聞いて、誰っ?と思ったのですが、
これは…今作を観ればすぐに分かります!!そっくりだー!!
いやぁ~素晴らしい。蛙の子は蛙だ。ちょっと感動しました。
さて、今作の原作はまったく知りませんでした。
魔女?なんていうからには、何かしらのファンタジーかと
普通はそう思ってしまうけど、その魔女修行とは、
大それたことをやりましょう。というのではなく、日々の生活を
ここで、一からやり直してみましょう、ということでした。
感性だけはズバ抜けているものの、口ばかりのかわいい孫を、
自然環境の中で育んでみようという、お婆ちゃんの知恵かな。
とくに引きこもりという訳ではなく、イジメの対象になっていた
訳でもない、でも学校と合わないから行かれなくなった…という
この主人公を「なまけとんじゃ!」とキム兄の言葉が刺します。
でもこれ、本当のことです。人間には、与えられた役目があって
それを果たさなければならない時期がある。どんなに辛くても、
つまらなくて嫌でも、それを果たしたから現在があるのだと思う。
タダでご飯を食べさせてもらって、好きなだけ寝かせてもらって、
必要なものなら何でも買ってあげるから、アナタはお勉強だけを
頑張っていればいいの。なんていう生活はまったくバカげている。
でも、そういう親御さん、けっこういますけどね^^;
西の魔女は、そんな主人公に「規則」に沿った生活をさせます。
早寝早起き、三度の食事、適度な運動、お手伝い、そして勉強。
一定のリズムで規則正しく生活することが、今の子供たちには
なによりの苦手事項かもしれませんねxそうやって体内時計を
合わせてやるだけで、不思議と人間は心地よく疲れて、眠れる。。
私が幼い頃は、それは当たり前の習慣でした。
夜中まで遊んでいる子供なんて、どこにもいなかったもん(爆)
他にも学ぶべきことがたくさんありました。
大自然の中にいるから、それだけ大らかになれるの?っていう
単純なものではないけれど、確かに五感を呼覚ます力になる。
そして何より、自分で働かなくちゃ、ご飯にもありつけない^^;
やがてお婆ちゃんに心を拓き、素直に心情を吐露する主人公。
難しい問題には即答を出す必要はないこと。その場その場で
対応すればよいこと。人を憎むエネルギーなど、他で使うべき。
可愛い可愛い孫だからこそ、幸せに生きてもらいたい。
厳しい目線の奥には、祖母の愛が溢れんばかりに詰まってました。
私自身も、忘れかけていた大切なことを教わった気がします。
最初は違和感があった、サチ・パーカーの美しすぎる日本語にも、
敬意を払いたくなりました。自分は日本人なのに言葉がキタナイ^^;
ただどうしても気になった場面がひとつだけ。
冒頭で母親と父親が娘のことを電話で相談しているシーン。。
「昔から扱いづらい子だったわ。」と母(りょう)が言う。
それを聞いた娘が(私は扱いづらい子なんだ…)と落ち込む場面。
親にそんな風に言われてしまったら、子供には辛すぎる…。
自分のことで精一杯の親は、子供の気持ちまで考えてやれない。
私も、他人事じゃないよな。と、反省しきりでした。
(お母さんの方も未だにチャーミング♪親子共演はムリかしら^^;)