「木村祐一さん、指がナメクジに見えた瞬間が大好き!わいの?」西の魔女が死んだ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
木村祐一さん、指がナメクジに見えた瞬間が大好き!わいの?
原作が135万部を超えるロングセラーだということも知らなかったため、宮崎駿作品の実写化だと思っていた。なんとなくスローライフと少女の成長物語だろうと映画の序盤でわかるし、結末もタイトルが示してるんだから・・・と、想像しながら。だけど、最後には思いっきり心揺さぶられました。これほど優しさに満ち溢れた内容だったなんて・・・
実は南アルプスを背景にした変則三車線の道路の映像を見て、危うく大事故になりそうだったことを思い出してしまいました。なぜか最初から土地や自然に対して感情移入してしまいます。そうすると、不登校の少女まい(高橋真悠)の気持にも溶け込んで、いつしか自分のおばあちゃんの思い出もこみあげてしまい・・・涙腺、やられました。
“扱いにくい子”とママに言われたショックはおばあちゃんとの暮らしですぐに癒されたまい。数々のハーブ、ラベンダー、野いちごのジャム作り、ケータイもテレビもパソコンもない、すべてがカントリーライフ。ストーリーそのものだってスローペースなのだ。そして、必ずまいのことを褒めてくれるおばあちゃん。実は魔女の家系だと告げられても、自然に受け入れることができる。
児童文学なんだし、かなり少女向けかと思ったけど、おばあちゃんの言葉にはかなり重みがありました。特に飼っていた鶏が何者かに殺された後、ゲンジ(木村)が犯人だと直感するまいに説く言葉には、人と人との付き合いのマナー以上に憎しみを否定し、反戦平和を訴えていると感じられるのです。
おばあちゃん役のサチ・パーカーはシャーリー・マクレーンの娘。日本語がぎこちないながらもペラペラなのでまさに適役。高橋真悠は大女優になる素質十分で、第二の蒼井優の雰囲気だ。父親役の大森南朋も意外とツボ。そして手嶌葵が歌うテーマ曲「虹」にもやられた。歌詞の中で“虹”という部分に差し掛かると、ちょうどエンドロールで「虹」と出てくるんです・・・狙ってたのか?まぁ、『オズの魔法使』からだとすれば、ドロシーが水をかけて死んだ悪い魔女・・・だったかな。
【2008年6月映画館にて】