ペネロピ : 映画評論・批評
2008年2月19日更新
2008年3月1日よりテアトルタイムズスクエアほかにてロードショー
自分で道を切り開いていく力を描いた可愛いファンタジー
幸せになる鍵は他人ではなく自分が持っている。箱を開ければ簡単に見つかるはずのその鍵になかなか気づかず、他人の力ばかり当てにする私たちをやんわりと戒め、ハッピーにしてくれる可愛いファンタジーだ。それにしても、ペネロピの素直な性格は驚異的。自分をよく知り、控えめで賢く、ウィットもあって、容貌の醜さを摺り込まれて育ったとはとても思えない。ストーリーの上では、いくつかの出会いと偶然がブタ鼻の呪いを解くことになっているけれど、その出会いと偶然を呼び寄せたのは彼女の素直な賢さだ。助けを待つだけの可哀相なヒロインはもうたくさん。ペネロピのように、自分で道を切り開いていく力こそが、現代に生きるヒロインの最低条件だ。この映画を見て、彼女を好きにならない観客はいないと思う。
そしてペネロピの好感度を最もアピールしているのがクリスティーナ・リッチの柔らかな声。マックスが彼女に最初に惹かれるのも、穏やかな声としゃべり方が大いに関係している。声の効果でブタの鼻も醜く見えず、むしろ可愛くさえ見える。世の若いお嬢さん方、メイクと洋服に血道を上げるのもいいけれど、お口をあけたら幻滅、なんてことのないように、知的で優しい話し方を身につけましょうね。
(森山京子)