おくりびとのレビュー・感想・評価
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エンバーミングとまでは行かないけど…
納棺という仕事があるっていうのを この映画で知りました。 で、見ていてエンバーミングとまでは行かないけど それっぽいなぁって… 死化粧や消毒をしてもらって 生前のような顔で見送ってもらう。 彼らの手に掛かったらきっと美しく死んでいける気がしました。 だから…あれだけ(汚らわしいとまで言って)嫌ってた彼の仕事振りを 見ることになった奥さんが理解を示すようになるんだものね。 でもさ…汚らわしいって言われても 奥さんのこと許しちゃうんだね。 あの一言は絶対に言っちゃいけない言葉だったんじゃないのかな? 妊娠したってことで無しになっちゃうの? 私だったら一生引きずりそうだわ。 あと…石文っていう素敵なやり取りが有ったってことも この映画で知りました。 石のイメージで相手の感情を読み取る… ポジティブな人とネガティブな人では全く違う内容になるって気もしますが… しかし…笑えるところも多いし、泣かせる要素も盛りだくさんで 確かに素晴らしい(地味だけど)作品ではあると思うんだけど… こういう映画をアメリカの人が本当に分かったのかな?と… まぁ…賞取れて良かったです。
メリハリのきいたいい映画
メリハリのきいたいい映画だ。「納棺師」に対する世間の誹謗、偏見、軽蔑をまずは画面いっぱいにあふれさせた上で、それを感謝や尊敬や感動へと変質させてゆく過程を自然な形で描いている。そうした全てのうねりをかいくぐって来た人物を一方に置き、全てが初体験の人物をもう一方に据えることで、超越と相克の様相を対照的に浮かび上がらせている。 小道具や飛び道具もいい。硬い干し柿が笑いを誘う。石ぶみもいい味をだす。ドタバタも少々だと疲れない。「とめお」という「女性」も気になる(しかし、その名前の持つ朴訥な響きは、アカデミー賞の審査員たちには全く伝わらなかっただろうな)。 人の死を前にして初めて顕在化する親子関係の機微や人間模様を巧みに織り込んでもいるが、ただ、特別な深みを持った映画に仕立てようとの意図はないのだから、火葬の看守にわざわざ「ここは門です」とか「私は門番だ」とかとクサい台詞を言わせる必要はなかった。
深みのある作品
初めはコミカルな場面で笑わせ、次いで主人公が納棺師の仕事に悩み、葛藤する様を描いて一挙に引きつける。主人公が納棺師は天職だと振り切れたころ、妻との考えの相違により、妻が家を出て行くことになった時は、男として悲しかった。しかし妻が戻り、銭湯のおかみの死にあたり、妻の考えが変わりつつあることを、広末の表情で気付き、安堵の気持ちが生まれた。父の死の電報が届き、主人公は父への思いが爆発するが、直ぐに親子の絆に気づいて駆けつけるシーンや納棺師として父に接する様に涙を禁じ得なかった。この映画は、笑い、悲しみの他、仕事とは、死とは、親子とは、夫婦とは等今一度、観衆に訴え、考えさせる深みのある作品であると言って過言ではない。又、山形の自然が美しく撮られ、美的にも素晴らしい。
しっとり。
感想を文章化すると、もしかしたら作品の魅力を必然的に歪めて伝えることになるかもしれない。 文章として評価するなら、評価し易いポイントも沢山ある。 例えばオープニング。「泣ける」という評判を聞いて映画館に来たであろう、その観客に対し、冒頭にユーモアを持ってくる事で構えを解かせる。ここで構えが解けるからこそ、懐に入り込める。 そして実際、この冒頭の「ユーモア」は、その役割を果たしたあと、中盤まで進んでから改めて物語中の正しい場所に位置づけられる。ここにおいて飛び道具が飛び道具でなくなり、作品全体の世界にユーモラスであったシーンが違和感無く溶け込むのだ。 他にも文字にして褒めるなら、鶏肉であったり棺桶の値段であったり、小道具が後でしっかり活かされている。 シナリオのテンポも良い。 とか、そういう褒め言葉はいかにも理屈っぽい。そういうのは上手さであって、「おくりびと」が良くできてる理由にはなっても素晴らしい理由にはならない。 そして、その素晴らしさを伝えようとすると、いかんせん、「雰囲気がいい」とか、そういう余りに舌足らずな言葉に頼らなければならないのだ。 本作は死を扱ってはいるが、必ずしも「如何に死を扱うべきか」というような哲学を観客に問いかけない。 考えたければ考えれば良い。しかし、物悲しさを感じるだけで十分な人はそれでも良い。 本作が作り手の自家発電的なお芸術系作品ではなく、深みのあるテーマを扱いながら娯楽作品として誰もが嗜める。 そういう趣味の良さが希有なんだと思う。
しっとりした名作
アカデミー賞をとった、つまりアメリカ人に受けたということを知っての鑑賞だったので、どこが受けたのだろう的なことが頭から離れず、困りました。まあ、アメリカの風土とは全く違う、重く、冷たい空気の似合う日本ならではの内容です。このしっとりした空気感に共感してくれたのかなと思いました。葬儀のときに、亡くなった人を清めつつ納棺してくれる納棺師の成長の物語ですが、納棺をここまで儀式として美しくとらえ、嫌みも、後腐れも、どろどろした空気も排除した映像美は、見た後にさわやかな印象を与えます。ただし、美香(広末涼子)が、あれだけ不自然なほど、妻として夫の納棺師という職業を受け入れられなかったのに、実際の夫の仕事ぶりを目にすることで、突然夫を受け入れてしまうことが若干唐突な気がした。生理的嫌悪があんなに簡単にひっくり返ることは、もっと時間をかけない限りあり得ないと思った。
それ以外は、素晴らしい、です。
音楽とストーリー背景が見事に融合
巨匠という域にもはや到達しているかもしれない、久石譲の音楽が見事にストーリーを体現している。 雄大な山々と厳しい冬が終わったあとの春の暖かさなど、山形の自然が物語を大きく包む。 生死は万人に等しく訪れるもの。それを全編とおしてじんわりと染み入るように伝えてくれる、深い幸せに包まれる作品だ。
いのち芽吹く
元喫茶店の実家の落ち着いた雰囲気の内装が, チェロのテーマ曲が, 美香の理解と, 絆の継承のラストシーンが好き。 威厳と優しさを全身から醸し出す佐々木と,門番が良かった。 夫への愛情がたしかに見える美香も良い。 主人公の小林大悟が,真摯で穏やかな人柄で好印象。 本木雅弘がハマり役。 顔立ちが中性的だから嫌らしくなかった。 「死」にまつわる偏見と,事務的な葬儀の形を, 声高に追求せず,さらりと取り込んで, クスっと笑いと爆笑を織り交ぜながら, 厳かで崇高な「納棺師」の仕事を通して, 人生に自問自答を続ける大悟の成長を, シンプルに描いた脚本が秀逸。 生きるを見つめる前向きな物語でした。 ひとつだけ注文を付けるなら, エンディングバックは父親にしてほしかった。。
映画のように親も自分も
愛国心的なものを持ち合せていない私ですが 「日本に生まれてよかった」と思わせてくれる映画です。 大切な人を失い送りだすその時、目の前で 物のように棺に入れられたら死んでしまった悲しみが 溢れ出すだけでなにも残りません…。 でも、故人に生前同様の敬意はらい「身支度」を してくれる姿を見ているだけで故人に対しての感謝を感じ、 悲しいけど優しい気持ちでいられるような気がします。 どう表現していいのかわかりませんが「日本人」であることが 誇らしい気持ちにもなります。 いつか、そんな日がくるのなら親もそんなふうにしてあげたいな とただ純粋に思えるそんな映画です。 ※内容もただ、悲しいだけじゃなくコミカルで笑えるので 暗そうとかジミとか思わず見に行ってみてください。
よかったです。感動しました。
周囲の人の死に直面する機会が多くなるような年齢になって、この映画のように正面から死に向かう姿勢を取り上げられると感動を覚えます。花粉症の涙と鼻水と、それより多いこの映画を見てのそれらが一体となって、映画が終わった時ぐじゃぐじゃになっておりました。 直接テーマとは関係ないかもしれませんが、広末さんが演じる妻が転職しないなら実家へ帰ると言った時のさまが、自分が転職使用とした時の愚妻のものの言い方と全く同じだったので「そんなヤツとは別れてしまえ」と思わず言ってしまいました。
遅ればせながら・・・
昨年公開直後に観ました。去年観た映画の中で私にとってベストといえる作品でしたが評判もよく、多くの方のレビューを読んでいると私の言いたいことがうまく表現されていてここに私が書く必要もないなぁ~と思っていました。 しかし今日ある映画を観てがっかりし、比べてみるとあらためてこの映画の素晴らしさを認識したので遅ればせながらですがここに書いてみようかと思いました。 映画は音と映像と内容が一体となる媒体です。テレビやDVDもそうですが映画は画面と音が大きくその利点も生かさなくてはならないと思います。この映画はそのすべてが揃っていました。 音楽、風景、そして所作すべてが美しく、人の思いが温かい。 しかし人間には5感があります。 耳と目だけではない肌に感じる湿度や匂いそれをこの映画では感じることが出来たと思っています。 これはどんな映画でも感じることが出来るわけではないし、時に有り得ない質感の映画があります。 しかしこの映画は大袈裟でなくとても自然に日本を感じることが出来ると思いました。 映画は勿論内容が大切ではありますが、それだけでは絶対にないと 思えるそんな映画だと思います。
うーん。。
期待して見に行きましたが、わたしはそれほどでした。
滝田監督の得意な感じですが、どうも私には合わないようで。。
笑いあり涙ありなのだけれど、物語の根底にあるものが、
私にとって当たり前のことを言われるだけの気がして。。
時系列がわかりづらいのもちょっと。
最初に、やってみるか?といってやる納棺作業。初めてっぽいのに、
入社してすぐ、ホテルの自殺の方をやったのでは?と思ってしまった。
春はわかりやすいのだけれど、広末涼子がどのくらいの期間
実家に帰っていたのかもう少しわかりやすいと、
物事の大きさがもっと見えやすいのでは?と思った。
私自身も母親を昨年亡くしているからこそ、自分にとっての
死の価値観みたいなものが変わってしまったから楽しめないのかな?
と思いました。
納棺師に対する偏見とかが、いまいちリアリティがないというか、
本当にあんなこと言う人っているの?って思うというか、、、
少なくとも自分は友達が納棺師であっても、
モックンが納棺師だと知ったあとの、友達や、妻のような
態度は取らないというか、自分だったらむしろその友達を
偉いなーとか誇りに思うので、、。
そうはいっても、やはり音楽はすばらしかったし、
音楽を奏でながら、モックンが受け入れることを受け入れるという
作業を無言で行っているんだなーと思ってみていました。
あと、女性が亡くなったら、女性の納棺師さんがやってくれるはずです。
男の納棺師さんにされるのは、いくらなんでも、死んでいても、嫌だな。
とっても深~くて、あったかい
一言で言うと、とっても深~くて、あったかい、良い映画でした。 なかなか身近にはない、だけど誰もがいつかは目にするであろう 永遠のお別れの儀式・・・。 それを仕事とする「納棺師」という、特殊な職業だからこその苦悩や、 人への優しさなどが丁寧に描かれています。 笑えるところもあり、山形の美しい四季の景色あり。 美しいチェロの音楽ありと、盛りだくさん。 そして、泣きます。 感動します。 号泣です・・・。 鼻も目も大変なことになっちゃいました。 内容的にはオススメしたい映画ですが、注意点が1つ。 くれぐれも、ぐちゃぐちゃの泣き顔を見せても平気な相手を選んで 見に行く事をオススメします。
いつか来るその日のために
演出がもたつくせいで若干長く感じたり、「広末は何を演じても広末だなぁ」なんて、そのステレオタイプの演技にちょっと閉口したり、不満がないわけではない。でも、それを補って余りある魅力のある、丁寧に撮られた1本でした。「死」をテーマにしながらも、決して重過ぎず、むしろ軽い語り口で巧妙に語られている点も素直に胸に迫ります。と、いうことで08年を代表する1本になるだろうと思います。 役者陣では、本木扮する主人公が、その人柄にいつの間にか引き寄せられる社長を演じた山崎努が素晴らしい。また、吉行和子、笹野高史のコンビが非常にいい味を出してました。モックンも頑張っていたけど、大ベテランを前にすると、やっぱりちょっと霞んじゃったかな。(あと、この場を借りて峰岸徹さんに合掌) それから「命」を象徴する食事のシーンがまた素晴らしい。人間は生きとし生けるものを自らの糧にすることでしか生きられないわけだけど、主人公達が美味しそうにフグの白子や干し柿、そしてフライドチキンにむしゃぶりつく姿は、食べることの喜びと食べ物への感謝がよく表現されていて、映画の魅力を格段にアップさせていると思う。 この映画を観ると、誰もが本作に登場する納棺師のような人たちに送ってもらいたいと思うのではないだろうか。いつか来るその日のために、誰もが観ておいた方がいい1本だと思う。
まるで手品師モックン
悪くない作品だと思いました.
「葬送」という死者を悼むための儀式が,じつは故人との関係を消化するため,残された側の生者にとって不可欠なプロセスである,ということを丁寧に描けている映画だと思います(モックンの華麗な手さばきは,ちょっとあざとくて鼻につきましたが)
大悟が腐乱死体を片づける仕事を終えたのち,家の台所で思わず妻を求めてしまうシーンは,死とセックスが表裏一体であることが伝わってきました.
ただ,惜しむらくはサイドストーリーが雑な印象があって,たとえば「銭湯を引き継いでほしい」と告げた正吉とツヤ子の関係性,そして納棺師・佐々木の人物史が説明不足だったような気がします.(なぜ今まで一人も社員がいなかったのか? 事務所の二階が熱帯風なのには意味があるのか?)
「石文(いしぶみ)」のエピソードは良いアイデアでしたが,いくらなんでもその父親が石文を握ったまま絶命,というのはやっぱり無理がありますよね・・・
気の毒なのが,山崎努,余貴美子,笹野高史が良すぎて,モックン,広末の演技が終始ダイコンに見えてしまいました.
最後に余談なんですが・・・
ラストで,大悟の父役として登場した峰岸徹.つい最近,実際に他界したばかりですよね・・・? 思わずそのことを思い出して,スクリーン見ながらゾクッとしました(-_-;
モックン、良い作品出てますね!
音楽家の夢破れた主人公は 妻と共に故郷 山形に移り住む事になったのです。 そこで手にした職は、 この世からの旅立ちをお手伝いする 納棺士という職業である。 最初は嫌だったこの職に何故か惹かれていく。 家族との最期のお別れには情感迫る物があり 亡くなった人への家族の想いが託される。 実は彼は、 自分の両親との想いをきちんとしたかたちで遂げていない。 その為、 幸せなかたちであの世に送ってあげる、 この職にこだわったのだと思う。 最後に、 父を見送ってあげた事により 彼はこの感情から卒業する。 今年の邦画でイチオシの映画です。
納棺師という仕事と生き方
見る年齢によって、印象が全く違う映画だと思います。 この映画で納棺師という仕事をこの映画ではじめて知りましたが、「綺麗」と一瞬感動を覚える一連の動作で、魅了されました。 音楽も素晴らしく、聞かせる所と静かに見せるところの静動がうまく描かれていたのが、印象的です。 少し涙がでますが、万人受けの映画だと思います。そして終わりに印象を話すと全く違うと思います。価値のある映画で、日本らしい映画でした!!
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