神様のパズルのレビュー・感想・評価
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市原隼人の天才っぷりに泣けた
東映と角川のバカ映画はさんざん観てきたので、そこには着目しない。
間違っても「北京原人」や「REX」を想像してはいけない。
観るべきは、それプラス三池崇史と谷村美月だろう、と言う目論見だった。
しかし市原隼人にすっかり彼らは食われてしまった。
彼の映画を観たことがあるのは、確か「リリイ・シュシュのすべて」だけだった思うが、今の彼の役者を語るには、「リリイ」は違うだろう。
このくそチンピラな風貌と口調が物凄い。それだけでも彼のキャラは重要だ。
どこからどうみても物理を、というか大学生には見えないのに、「いる、いる」と思わせる絶妙なヤンキーキャラがまず素晴らしい。ところが双子の弟はその同じ風貌で優秀なゼミ生という(笑)。
しかし本作、そんな彼自身のキャラでごり押ししてるのではなく、それ以上に彼の役に対しての演技力が物凄い。
彼が宇宙の誕生の理論を黒板を背に、ゼミ生に説明するシーンがある。もちろん途中でカットが入っているのだが、この理論のワケ分からん単語の理解をある程度理解しつつも、でもさっぱりワカンネ、といった表情で、変なところで自信もって説明したり、途中でパニックになったり、間を置いたりと、バカがバカなりに一所懸命やって勉強したけど、ここまでしか分かんなかったわ、というのが物凄いよく出てる。
彼のライバルな優秀なゼミ生や谷村美月演じる天才が理論を説明するシーンは、ただしたり顔してセリフを並べているだけに過ぎないのに対して、きちんと勉強して、成長している姿を演じているのだ。
これを彼のキャラでもっていると片付けるにはあまりにも彼を見損ないすぎる。谷村美月で始まった本作の鑑賞だが、また一人面白い存在を見つけた。
映画の内容は宇宙の創造とか、なんかよく分からないが、ロックなすし職人をなんとなく目指して生きてきたオトコが、別世界で生きる理由を見失っていたオンナをロックなハートとすしで、彼女のこころに宇宙を作り上げた、というお話。
新たな宇宙が誕生し、現宇宙が失われようかというそのとき、彼がギターを背に天井を破って、マイクスタンドの前に立ち、「歓喜の歌」を歌うかっこよさ。たまらんぜ?
ね、面白そうっしょ?
「運命」の最初に八分休符があるんだ
映画「神様のパズル」(三池崇史監督)から。
子供連れできていた母親たちがいたが、
彼らには、ちょっと難しい作品かもしれない。
私の苦手な物理がテーマで、やや言葉の意味に苦しんだが、
ストーリー的には、面白かった。
タイトルの「神様のパズル」が、
アインシュタインの言葉だったことも知ったし、
気になる一言に選んだ、ベートーヴェンの名曲「運命」、
「ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン」(「ダダダダーン」)で始まる前に、
なぜか「八分休符」があることも知った。
この「八分休符」からが「運命」だとしたら、その意味は?
そして、どう演奏するのか?、私の興味は尽きることがない。
「のだめカンタービレ」の千秋真一君は、
この「八分休符」を、どう振るんだろうか?、気になる。
ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、
じっくり、いろいろな指揮者の演奏を聴き比べてみたい。
途中までは良かった
宇宙の誕生についてのノウハウ映画で腹をくくっていたならばもっと面白い映画になっていたと思う。
無理やり、宇宙を生活の中に組み込もうとして自爆した感がある。でも確かにつらいのは、映画はエンタ-ティメントであるという明確な大前提を、角川さんは持っているわけで、それを(思いっきりプレッシャ-として)感じながら、三池さんは撮らなきゃならなかったわけだから・・・そこは大変であったと思う。
だから、これ以上でてきません的発想のアイデアを随所に展開している。
宇宙(無限)と農家、日本とインド、天才とロッカ- アインシュタインと寿司、・・・など様々な対称軸を用意して、自分の立ち位置を模索させ、(さらに)その中で生きているのはこんなちっぽけな人間たちなんだと語っている。
まぁそれはいい。・・・
問題は、後半。《無限》で宇宙を生み出そうとする場面からおかしくなる。国家(国防)を巻き込んでの展開は暴走。あれで、一気に冷めた気がする。折角そこまではコミカルなドラマとして成立していたのに。・・・
色々な制約(がありすぎる)の中で映画は作られる。けれども、この映画は2時間を越えることなく整理され、どうせだったら宇宙が出来てしまうくらいの発想でスト-リ-が練られたならば、もっと面白くなったと思う。
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