アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生のレビュー・感想・評価
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空気のような存在になれば、自由に写真が撮れる
映画「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」
(バーバラ・リーボヴィッツ監督)から。
アメリカの有名女性カメラマンを追ったドキュメント。
彼女が撮る「ミックジャガー」や「ジョンレノン&オノヨーコ」は
観る人を驚かせる。
どうして、この人だけには、こんな顔を見せるのか、
そんな疑問さえ浮かんでくるのだが・・。
その答えは、撮影された彼らが感じていることだった。
「アニーは、どこにもいたが、邪魔じゃなかった」
「彼女は、魂を撮りたがっていた。それが伝わってきた」
「彼女は来る日も来る日も、そばにいたが、
数日後、彼女の存在が消えているんだ」などいろいろ。
彼女も、振り返りながらこう呟いた。
「空気のような存在になれば、自由に写真が撮れる」と。
ただ、そんな関係になるまでの努力を口にはしない。
なるほど・・これは奥が深い。
レンズの中の人生。
アニー・リーボヴィッツ、という名前は知らなかったけど^^;
この人の写真はかなり有名ですね~。見たことあるある!!
チラシの表紙にもなっているジョンとヨーコの写真もその一つ。
彼女は、ローリングストーン誌からキャリアをスタートさせ、
今では世界中のセレブを被写体に活躍を続ける女性写真家。
その有名な写真を幾枚もじっくりと、スクリーンで拝見できます。
好きか嫌いかは別として、とにかく画期的な撮り方をする人だと
私は思いました。つくり方が非常に面白くピカソ?じゃないけど
ありのままの被写体ではなくて、別世界を構築させていく感じ。
ちょうど映画の中で「マリーアントワネット」のK・ダンストや、
J・クルーニーの撮影風景が流され、その雰囲気が実感できます。
面白い~けれど、やっぱり女性的な繊細さを感じましたけどね~。
レンズの向こうの人生。という副題が示すように、
カメラは彼女の私生活やプライベートな仕事部屋にも入るけれど、
彼女の本質を示すのは写真のみで、言葉や映像じゃなかった^^;
非常にエネルギッシュな女性であること。優しい母親であること。
父母を敬愛し、パートナーの死を嘆き悲しむひとりの女性写真家。
その全てを受け止めた物語を期待すると、ちょっと肩透かしかも。
仕事人としては素晴らしい。紆余曲折を経てここまで来れたのも、
写真家としての才能と人間性を買われてのことだと思いますから。
けど、もう一歩、彼女の見せたくない部分にも踏み込まなければ、
レンズの向こう側なんて見えてこないですからね~。残酷だけど。
さまざまなセレブのインタビューが流されるけど、その豪華さ!!
今話題の、ヒラリー候補まで出てきたのにはビックリ。^^;
いかにセレブやスターに信頼され、その地位を守ってきたかが
ハッキリ見えます。とにかくスゴイ女性に間違いはありません^^;
そして冒頭のジョンの写真。。。
この数時間後に射殺された彼の、最後の姿となった写真ですが、
これはものすごくいい写真だと思いました。
まるでその後の運命を予感させるかの如くヨーコにしがみつき、
子供のように無防備な姿のジョンを「大丈夫よ。」という視線で
優しく見つめるヨーコ。彼らの関係が、この一枚ですぐに分かる。
彼女は一瞬にしてこの表情をすくいとったのです。さすがだわ。
(パワフルであることが信条でも、身体には気を付けて下さい^^;)
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