「正しい方向性に戻った名作」007 ゴールデンアイ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
正しい方向性に戻った名作
素晴らしい!
これでこそ007
本作は前作消されたライセンスの失敗により、シリーズは6年もの空白を余儀なくされた後、製作陣、配役を一新したリブートです
見事にその反省を生かし正しい方向性でシリーズを再起動させてくれました
ピアース・ブロスナンのボンドは実にボンドらしい
ボンドが言うであろう軽口を期待通り言ってくれ、取るであろう行動をとる
ダルトンとは違う
甘い顔が余裕のある物腰にマッチして上流階級らしさが漂う
そして敵もボンドが相手するに相応しく、彼が防ぐ危機も麻薬戦争のような下世話な話でない
殺し屋もネバーセイネバーアゲインの女殺し屋を彷彿とさせる魅力的なキャラだ
舞台もボンドが現れて欲しい場所ばかり
音楽もガンバレルのところから、現代風に変えて来ており劇伴も一新された
ティナ・ターナーの主題歌も良い
彼女も前作の主題歌のグラダィス・ナイトと同じくソウル界の大物歌手だが時代に合わせた楽曲で歌唱の雰囲気も今風だ
メインタイトルはモーリスビンダーが亡くなった為、替わっているがイメージは踏襲しつつも新しい感覚がある
Mもマネーペニーもボンドガールも刷新され、女性が強く描かれる
時代に合わせた対応でこれで正解
男が女性にうるさくこずかれる現実世界を映画にも投影して、その中でボンドも苦労するがその鼻をあかして見せ、ボンドガールは強くてもやっぱりすぐになびく
そうなるからこそ日常の鬱憤はらしになる訳です
マネーペニーとボンドの関係性は前作では軽視されておかしくなっていたが正しく修正されました
ピアース・ブロスナンのアクションはキレがありスピード感が溢れて現代的です
それでいて旧世代のボンド達のようなユーモアも忘れていません
題名がまた良い
秘密兵器の名前は実は何でもよいのです
ヒッチコックがいうところのマクガフィンなのですから
ゴールドフィンガーとかダイヤモンドは永遠にを思わせる、007らしいネーミングでありさえすればよいのです
それをキチンと分かって付けています
これが前作からの最大の修正点と言えるでしょう
アクションシーンも見飽きたようなシーンは無くし戦車の爆走シーンを目玉に据えています
これは本当に見応えのあるシーンでした
見飽きたようなものでも、照れずにそんなアホな!というぐらいまで徹底的にやるその潔さが胸をスカッとさせてくれます
つまり製作陣が007とは何か
それを、その魅力はどこから生まれて涌き出てくるものなのかを、考え抜いて作ったということなのです
こういう007シリーズをみんな観たかったのです
大ヒットしたのは当然と言えるでしょう