「言わすと知られた怪人二十面相」K-20 怪人二十面相・伝 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
言わすと知られた怪人二十面相
言わずと知られた怪人20面相の物語。
…って言っても、若い人には「何のこっちや?」でしょう。かなりの年配者にならとにかく、実は俺もよくは知らない。
劇場にはかなりの年配の方々がちらほら。
そりゃそうでしょう。若き頃に胸ワクワクさせていた話なんだから。
そんな物語を若い人向けにCGやワイヤーアクション等々凝りまくって描く。
さて結果は…。
お?エンターテイメントとして良く出来ているぞ!
一応は設定が有って。第二次世界大戦が“無い”ってのが根底には在る。
だからか?どことなく帝都東京には軍事国家らしき雰囲気が漂い、人民には階級制度が存在している。
人々は街頭テレビにむらがう…ん?1949年って設定だが、テレビのアナログ放送が開始されたのは1953年じゃあ?
そうか!第二次世界大戦の回避はこんなところにも波及していたのか…。
だから日本人が原水爆を軽く超える超特大兵器を開発してしまった訳ですか。
かなり強引。
強引なのはラストの大どんでん返しもなのですが…それは後ほど。
映画の大半を支える肝心のCGやセットはかなり良い感じで、ハリウッド大作と比べてしまうと多少は辛いモノが在るが、充分に鑑賞に値するレベルで、世界に出しても今までとは違い恥ずかしさは感じない。
寧ろ昨今のヒット映画の要素がてんこ盛りに入っているので、素直に受け入られそうな気はする。
中盤辺りには出演者達のキャラクター設定を上手くいかした笑いの要素を取り入れて、中弛みをさせない工夫が伺われて楽しく観せてくれる。
忍者修行ならぬ泥棒修行でのアクション場面でのちょっとした笑いのくすぐりや、松たか子お姫様の世間ズレ振りには、クールな立ち振る舞いを通していた仲村トオルでさえ遂に崩れ始める可笑しさ。(尤も20面相は変相上手だから可能なのですが)
そして映画はクライマックスへ。
おお!まるで『カリオストロ』の逆バージョンらしき場面まで…これ絶対に狙ってるよなぁ!
…と、ニヤニヤしながら観ていたら問題の大どんでん返し場面に…。
これは…一体…。
若い人だけを対象にして製作されているのならば解らないでは無いのだけれども…少なくとも題名に“怪人20面相”と明記されている以上は、これまで何十年も夢を見続けていた高齢者の方々に対して一体どんな言い訳が云えるのか?
…って思える位の《裏切り》に感じてしまったんですけれど。
その点は残念に思いましたが、それ以外は存分に楽しめる娯楽作品だと思いますよ。
(2008年12月22日 日劇2)