「痛快娯楽冒険活劇」K-20 怪人二十面相・伝 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
痛快娯楽冒険活劇
第二次世界大戦が無かった1949年の日本が舞台。そこそこに、現実の日本風なところがありますが、架空の日本なのでやっぱりどこか違います。華族制度が残っていて、格差社会になっていると言う設定ですが、『格差社会』と言うキーワードは、皮肉な事に現在の日本にも当てはまる言葉ですね。
この作品は、”娯楽冒険活劇”と言う言葉がピッタリです。大金持ちと言う設定も、架空日本と言う設定にすれば可能。そう言う舞台設定の割り切りが、この物語を娯楽作品として成り立たせているところだと思います。
松たか子は、好きな女優の一人です。彼女自身の実際の育ちも影響してか、どこか上品な雰囲気が漂うのですが、その上品な雰囲気を漂わせつつコミカルな演技が出来るのが彼女の魅力。今回も、十分その魅力は発揮されています。上映中、そこここで笑い声が漏れていました。
他方、主演の金城武ですが、いい役者なんですが、どこか言葉が篭っているんですよね。もう少し、はっきりキレイに言葉が出れば、彼の魅力はさらに増すと思います。それにしても、多くのアクションシーンは彼が演じているのは見事。平吉が修行と言うことで、建物を素手でよじ登り、飛び越していくシーンがあります。これは流石に金城では無く別の人物の吹替えですが、それでもCGは使っていないそうです。実際には、パルクールをする人を使って撮影したそうですが、このシーン、結構見応えがあります。
仲村トオルの明智小五郎は、うーん、こう言うイメージですかね。確かに、明智小五郎は、完全無欠のイケメンの筈なので、そうかもしれないですね。で、明智小五郎が出てくるので、当然、小林少年(本郷美多)も出てきます。この小林少年が見せる不敵な笑みが、ちょっと怖いです。あ、”少年探偵団”と言う言葉も、セリフ中には出てきますよ。
物語の結末(K-20とは誰か?)は、ネタバレになるので敢えて記しませんが、まぁ、大体想像通りに進みます。「なるほどね。やっぱりね。」と言う感じです。
『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフが再結集しているので、その辺りのVFXは十分。『帝都』と言った雰囲気を十二分に実現しています。珍しく、見応えのある”娯楽冒険活劇”です。