パコと魔法の絵本のレビュー・感想・評価
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これは多くの人に見てほしい一本
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督最新作。予告では日本版「チャーリーとチョコレート工場」という感じだが実際には少し違う。「下妻」は面白かったが「松子」はイマイチ(世間で言われるほどに中谷美紀がいいとは思わなかった)と感じていた人間にとっては当り。 誰かすぐには分からないほどにメイクをしている役所広司・妻夫木聡・上川隆也。コスプレ系の土屋アンナ・小池栄子・國村隼・山内圭哉、別次元の阿部サダヲ。といった具合にキャスティングと演技はユニーク。阿部のキレっぷりは予想通りだが妻夫木と上川も負けていない。妻夫木の役などは小さい子供が見るとトラウマになりそうだが、子供に死の概念をそっと教えるような映画があってもいい。土屋アンナの存在もちょっときついかなと思ったが最後に効いてくる。タイトル・ロールの少女はアヤカ・ウィルソン、うまいというよりはカワイイ存在感で勝負だが、この映画の場合はそれでいいし、妻夫木が演じている役とも呼応している。 最後の劇中劇はCGアニメとの融合。ここはCGを適切で、必然性のあるな使い方をしていて物語にもうまく入り込める。中島監督らしいコネタはガンダムやジュディ・オングとあるが分からなくてもあまり気にならないと思う。もちろんその以外の笑い要素はてんこ盛りだし、それでいながら最後にホロりきてもおかしくない。すべての人におすすめ。
下妻を超えた?んー。
日本映画らしい作品で。 ハイスピードコメディで。 笑えて、泣けて、ちょっぴり切なくて、胸が温まるそんな作品で。 映像技術もかなり高くて良かったものの、なんだか物足りない、なんだか惜しい。 テーマはいいんだけれど、どうにも単純すぎるし、全ての動機が軽薄すぎる気がする。 もうちょっと登場人物ひとりひとりのパーソナリティをを深く掘り下げて欲しかった。 だからなんとなく消化不良気味。 キャストはいいし、演技も巧いから尚更惜しい。 そして、阿部サダヲに喰われた感がある作品。 観ていると次第に阿部サダヲの一挙一動を待ち望むようになります(笑)。 阿部サダヲがいなかったら良くも惡くも違う作品になっていたことだろう。 主人公パコの女の子はかわいいし、演技もうまいし、これからが楽しみだ。 土屋アンナは「下妻物語」より面白いといっていたが、僕は「下妻」のほうが好きだ(笑)。
笑って、笑いながら泣いて、泣きながら笑って。
「お前がワシの名前を知ってるってだけで腹が立つ」 と理不尽な物言いをして他人を傷つけてきたワガママ放題のクソジジイが、 強がっていた自分の弱さを自覚し、 どうしていいか分からない感情が溢れ出してきた時、 あったかで、やさしい物語が動き出す。 一代で会社を大きくし、 ワガママ邦題で傲慢に生きてきた大貫(役所広司)は、 元・有名子役の室町(妻夫木聡)、 ピアスとタトゥー入りの看護士のタマ子(土屋アンナ)、 謎の人物な堀米(阿部サダヲ)、大貫の甥でボケキャラの浩一(加瀬亮)、 浩一の妻でお金にとことん弱い看護士の雅美(小池栄子)、 轢かれた消防士の滝田(劇団ひとり)、 傷だらけで傷を負ったヤクザの龍門寺(山内圭哉)、 ジュディ・オングと噂話が大好きなオカマの木之元(國村隼)、 ピーターパン気取りの医者の浅野(上川隆也)、 と患者も医者も何かを抱えていて、クセのある人物ばかりの病院で、 純粋な心を持っているパコ(アヤカ・ウィルソン)と出会う。 パコは毎日、毎日、同じ絵本を読んでいた。 ある日、パコを引っぱたいてしまった大貫は、パコの病気のことを知り、 プレゼントの絵本の秘密を知り、 パコのために何かをしてあげたいと想いはじめる。 元となっているのは MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人 という舞台だそうで、それを 下妻物語 や 嫌われ松子の一生 という、 カラフルだけど毒のある作品を作ってきた中島哲也監督が 豪華なキャストを使い、 監督らしい極彩色満載のカラフルでポップな世界に仕上げ、 クライマックスではフルCGのキャラクターたちと、 病的な人物の実写との楽しくて大胆な合成を豪快に織り交ぜて、 クソジジイと純粋少女の奇妙な交流をシニカルに、でも、あったかくて、 サービス精神旺盛な笑いタップリに描き出した、子供はもちろん、 もしかしたら大人の方が楽しめるかもしれない、 笑って、泣けるファンタジックな絵本。 ストーリーはギャグがなかったら、 こちらが照れてしまうくらい純粋でストレートではあるが、 その照れ隠しなのか、序盤から阿部サダヲが笑わしてくれて、 僕はあのボタンが押したくてたまらない。 その辺のテンドンというか、繰り返しがクドイと思ってしまったら、 ちょっと楽しめないかもしれない。でも、僕は大好きです。 ガンダムネタなどは子供でも、まだ分かるかもしれないけど、 「人間~なんて、ララ~ラ~ラララ、ラ~ラ~♪」などと歌い始められても、 ジュディ・オングの曲を歌い始められても、よくわかんないだろうし、 大人のほうがギャグは楽しめるかな。 アヤカ・ウィルソンは新人みたいなのでまだ演技はともかくとして、 可愛すぎるぐらい可愛くて、パコという少女に、 作品に説得力を持たせてるように思うし、豪華な出演者の中でも、 やはり、役所広司のクソジジイぶりはさすがで、 ちょっと下手に演じる演技もよかった。 阿部サダヲの暴れっぷりは楽しく、もっと暴れてくれ~などと思い、 國村隼のカフェオレなジュディ・オングも、 上川隆也のキラキラなピーターパンも最高で、他のみんなも最高。 主要キャスト以外でも貫地谷しほりの使い方も面白く、 彦麻呂なんて爆笑です。一瞬であれだけ笑わせられるとは思わなかった。 だけど、エンドロールで他にも知ってる名前があって、 気付けなかったのが、ちょっと悔しい。 ちょっと変わっていて、不器用な生き方しか出来ない、 ダメな大人たちが少女のために、 無駄だと思っていたことに一生懸命になる。 その変だけど、楽しそうな姿に、バラバラだった者たちが、 まとまっていく過程に、なんだか泣けてくる。 サイドストーリーも笑えるんだけど、泣けてくる。 僕にも、先生、涙の止め方を教えてよ。 やるな~、と思ってしまった、 クライマックスのフルCGのキャラたちと実写の融合具合も素晴らしく、 オチの切れ味もなかなかでした。 あえて言うなら、クローズZEROの黒木メイサほどではないが、 エンディングならまだしも木村カエラの歌のシーンは途中にはいらないか、 そして、ラストもドリフを少し期待してしまったか、 というぐらいでしょうか。 大好きです。
楽しませる優しさと、人を笑わせられる無邪気な子供心。そして、人を感動させてくれる繊細さが一杯詰まっています。
小地蔵は、これまで中島監督作品を敬遠していました。なんといってもど派手でベタな演出手法を拒絶してからです。本作も原作の舞台さながら、ナンセンスな台詞とベタで濃いキャラの出演者ばかりで、冒頭は、ため息つきながら見ていたのです。 ところが孤独で自己中な老人大貫と1日で記憶を失ってしまう少女パコのピュアなこころのやり取りにを見ていくうちに、すっかりはまってしまいました。そして不覚にも思わず涙ぐんでしまったのです。 本作には、中島監督の人を楽しませる優しさと、人を笑わせられる無邪気な子供心。そして、人を感動させてくれる繊細さが一杯詰まっています。 出演者が語るガマ王子の絵本の物語を3D映像でも表現しているので、小さな子供も大喜びして観れるでしょう。主演級の超豪華キャストをCGキャラクターに変換させて、元の本人と合成し共演させているのですからすごいことです。しかも、どのキャストも誰が誰だかわからない奇想天外なメーキャップと衣装なんです。後でサイトのキャスト一覧を見て、仰天!みなさん何か学芸会をしているかのような童心に帰った演技でした。 ただ本作は、結構大人が考えさせられる映画だと思います。 それは絵本の内容と大貫の心の変わりように象徴的に描かれていました。 一代で成り上がった大貫は、誰にもこころを開かずに、わがまま放題に生きてきました。誰かに自分を名指しされるだけで、「おまえが自分を知っているだけで腹が立つ」と罵る始末。そんなクソシジイが、純金のライターを取られた腹いせにパコを殴ってしまいます。けれども、記憶を1日でなくすパコには、翌日殴られたことも忘れて、大貫に親しく声をかけてきます。怪訝に思ったなった大貫は、院長からパコが事故に遭って、両親と記憶を共になくしたことを知ります。このときの大貫が大泣きするところが忘れられません。院長にこう聞くのです。「俺は泣いている。生まれて初めてなので止め方を知らない。院長涙はどうやったら止められるのだ。」と。院長の答えは、「思い切り泣いたら止まる」というものでした。 大貫は自分の孤独さに蓋をしていたのでしょう。現実を受け入れることが怖かったのでしょう。それがパコという自分の存在を1日で忘れられてしまう人に出会ってしまったことで、思い知らされたのです。 「この子の心の中にいたい」と。 大貫は、パコに何か自分にできることがあったら、してあげたいとと本気で思うようになります。それは、1日しか記憶が残らないパコに、それでも何か思い出に残ることをしようと。そして毎日毎日パコの好きなガマ王子の絵本をパコに読んで聞かせてあげたのです。 まるで大貫そのもののガマ王子がみんなのために戦いに立ち上がるお話は、読んでいる大貫にとって自らの贖罪にぴったりな内容だったのです。 小地蔵は、大貫の変わりようを見て、自分の人生を省みることの可能性を感じました。どんな頑固者で自己中でも、悔い改めることができるのですねと。 他にも素敵なところはたっぷりありましたが、長くなったので画面で見てください。画面も芝居も極彩色にして濃厚なのに極めて淡いピュアな気持ちに浸れることでしょう。 最後に、パコを演じたアヤカちゃんのコメントが面白いので紹介します。 いつも「ダメ! ダメ! ダメ!」と、スタッフや役者さん達をどなっていたので中島監督のことを「クソじじぃ!だなぁ~」と思ったりもしましたが、出来上がった映画をみたらとってもすばらしくて クソじじぃ!だなんて思ってごめんなさいという気持ちになりました。 なるほど、だから中島監督には 監督の上に“天才”って言葉がつくのだなぁ~って思いました。 アヤカちゃんにとって中島監督は、大貫のような存在だったのですね。
チョット目が疲れる
試写会で見ましたが実写とCGが交互に現れてめまぐるしく映像が変わるので チョット目が疲れる感じがしました。全体の感じは絵本の中にいるような感じです。 各キャラクターの個性が強くて初めのころはストリーが解りにくかったのですが後半になってストリーも解り易くなって泣けるとこもあり、楽しいとこもありで盛り上がりました。
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