山のあなた 徳市の恋のレビュー・感想・評価
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それってどうなの?
セットや衣装は、たぶん入念に時代検証してクオリティ高く仕上がっているのに、演出が何ともまぁ~中途半端。舞台になっている昭和初期でちゃんと演技している人と、まるで現代で演技しちゃってる人が、入り乱れていて疲れる。良い気分で昔に浸っていたのに、急に現代に連れ戻されるんだもの。劇中の少年なんて、思わず「オッケー」って言っちゃうんだよ。興ざめだ!石井克人監督に時代物は無理なのかな~と考えてしまった瞬間。でもマイコの演技は素晴らしかった。
ナイショにできない素晴らしさ。
最近とある名作のリメイクを観て、
あ~だのこ~だのとイチャモンをつけていましたが^^;
これは、良かったです!!
古き良き時代の日本映画が甦った?感じがしました。
…まぁ^^;それもそのはず。
原版に忠実なカバー(と言うんですって)なんですけどね。
名匠・清水宏監督の1938年の名作「按摩と女」がそれで、
なんと!70年も前の作品だったなんて。。すごい~!!
もちろん原版をリアルで観てはいません^^;がTVでチラリ。
けっこう綺麗に映像が残っていて、あーヒロイン役は、
高峰三枝子さんだったんですねー。時代を感じます。。。
さらにすごいと思ったのは、これを監督したのが、
「鮫肌男と桃尻女」「茶の味」の石井克人監督という点。
なんか全然そぐわない感じがするんですが、、、^^;
確かに映像美へのこだわりはありますが、この、いわば
のらりくらりとしたむか~しの台詞のやりとりの演出を、
(いくら原作のカバーとはいえ)よくやったなぁ…^^;と。
またそれが、
いい味を出しているのです(茶の味じゃないけどね)。
主演・徳市に草なぎ剛。助演・福市に加瀬亮。
そしてヒロイン・三沢美千穂にマイコ。
この三人の演技が思った以上に素晴らしく風景に馴染み、
昭和初期の温泉場が見事に再現されていました。
また、ジャニーズかよ~?と思うことなかれ、
演技に定評のある彼らしく、無難にまとめています。
でももっと目を引いたのは、加瀬くんとマイコの演技。
この二人の佇まいには感動すら覚えてしまいました^^;
似合っている~!!!マジで70年前かと思いました。
これは、悲恋の話かと思っていたんですが、
ある意味、純然たるコメディだったんですねー^^;
清水宏のセンスが冴えわたる一作です。
おんなじものをまた同じように作ってなにが面白い??
…そう思う方もいるでしょうが、
名作の持ち味を殺さずに現代に映像化することは、
まったく下らないことではないと私は思っています。
むしろ、どれだけ昔の日本映画は冴えていたか、
それを学ぶいい機会になるのではないでしょうか(^-^)
…ないしょナイショ、な~いしょ♪
(今時の子供は「ちぇ。」なんて言わないもんなぁ。懐!)
ゆったりとした独特の間、『西の魔女が死んだ』に負けないくらい癒される映像です。
石井監督が、盟友の長尾監督(アルゼンチンハバアなど)から、清水宏監督の『茶の味』を観るよう勧められたのが4年前のことだったそうです。
『茶の味』のなかで、自分が目指す演出方法との接点を見出したとか。その接点とは、
まずは、人の目の高さにカメラを据えたアングル、
自然光を活かしたロケーション映像、
登場人物のナチュラルな描き方、
時間経過を示すだけでない風景の挿入、
画面に漂うリアルさ・・・etc。
それらですっかり石井監督は清水監督の虜になったそうです。
清水監督に惜しみない敬意を払い、リメイクでなく、完全カバーとして完成したしたのがこの作品です。
そのこだわりは、全シーンを石井監督が全部絵コンテにして、デジタルインポーズし、カット割りや所作、立ち位置がオリジナルと同じになるよう復元するという徹底ぶりでした。
出演した草彅がもっとも好きなシーンにあげた冒頭の山の温泉場へ赴くシーンは、新緑の萌えるような緑の山道の映像が大変美しく、山のオゾンが香ってくるような映像でした。同じく緑の多い『西の魔女が死んだ』に負けないくらい癒される映像です。
映像美だけでなく、長回しを多用したオリジナルを踏襲し、ゆったりとした独特の間を作り上げています。そのため台詞も聞きやすく、そんなに画面に集中しなくてもスジについて行ける作品になっています。
この作品には堤真一も出演していますが、彼が主演する7月公開の『クライマーズ・ハイ』でこの作品を比べると、同じ俳優でも台詞の聞き安さに天地の差が出ています。
現代の邦画作品はアップテンポのものが多く、カット割りも短めで、セカセカした作品が多くなっているのではないでしょうか。そんな作品に慣れ親しんでいる映画ファンにとって、清水監督の長回しの世界はホットさせるところがあります。
印象に残った点として、やはり草薙が盲目の按摩徳一になりきっているところです。すごく説得力のある演技でした。半目の目つきですたすたと歩く演技は怖くなかったのでしょうか。
それと、『見えない目で、あなたを見つめていた』という映画のコピーですが、実際に台詞として画面に出てきたとき、その意味の深さに思わずジーンとなりました
また、監督も好きなシーンとしてあげていたのが美穂子と徳一が温泉街ですれ違うシーンなんです。このシーンは清水監督も思い入れが強くあったようなのです。徳一の美穂子への思い入れの強さとそれをからかい気味にかわす美穂子の色気を感じました。やはり見所ですね!
ちなみに、この温泉街は1/2スケールの模型だそうです。VFXで人物と背景を合成しているようなのです。最先端の映像技術と古典的演出がコラボして不思議な光景を生み出しているなと思えました。
さらにラストの徳一が美穂子を問い詰めるところでは、長い台詞の応酬が続きますが、二人の熱演に、ああこれが映画の醍醐味なんだぁと堪能しましたよ(^。^)
あと、研一役に出ている広田亮平クンの悪ガキぶりもなかなかでしたね。よいこは、研一みたいに、盲目の人の鼻に鼻紙を丸めたこよりでこちょこちょして、クシャミさせるなんて真似は止めましょう(^^ゞ
最後に、盲目であることからその所作に思わず笑ってしまうシーンもありました。けれども原案を考えた清水監督は、「自分はすごいんだぞ」と何度も徳一に語らせて、健常者に負けない自立した障害者の姿を温かい目で見つめているのではないかと思えました。
1000円あったら映画館へ行こう
山の温泉場での3日間が、按摩演じる草なぎ剛を軸に描かれている。
出演者は草なぎ剛、加瀬亮、堤真一、津田寛治、それに子役もすべてすばらしく、新緑の風景も温泉宿の風情もいい。
2週間たって再度みた。ストーリーを追わずに画面と音に集中してみたら感想がまったく違った。この映画すばらしい。
それぞれの人生を切り取ってみせていながら、やすっぽいセンチメンタルに走っていない。少しずつ不安を抱えながら「晴れの日ばかりとはかぎらない」と笑ってすごす。特に徳市、「目明きなんだからそっちがよけろ」と啖呵を切る。そうだ、今必要なのはこれだ! と思い当たった。
徳市を演じた草なぎ剛の代表作になるのは間違いないね。
石井監督の心意気に「ありがとう!」
清水宏監督の「按摩と女」を観て、石井監督はこの映画に美しい色と音楽をつけてあげたいと強く思ったそうです。
最初はデジタルで色をつけることも考えたけれど、元のフィルムの傷み具合と費用とを考え、「完全カヴァー」を思い立ったとか。
そして、石井監督と「石井組」の皆さんと、役者の皆さんによる壮大な「名画の修復作業」が始まりました。
オリジナルの「按摩と女」も観ましたが、非常に面白い作品でした。
このカヴァーをきっかけに清水監督のことを知りましたが、ほかの作品ももっともっと観てみたいと思いました。DVD集も発売になり、とても嬉しいです。
オリジナルが面白いんだから、完全カヴァーが面白くないわけがない!
役者さんたちも、オリジナルのイメージに忠実に、でもどこかに自分の色をしっかり出しながら楽しんで演じている様子が伝わってきます。
草なぎさんも加瀬さんも素晴らしいですが、本作が演技デビューとなるマイコさんは必見でしょう。まさに「昭和の美女」でした。
派手な大作もそりゃ面白いけれど、もっとこういう映画も観ましょうよ。
年配の方々に昔を懐かしみ楽しんでいただけるのはもちろん、若年層の皆さんにも、古き良き時代の日本をもっと愛してほしいです。
70年も前の隠れた名画を現代に見事に蘇らせてくれた石井監督にありがとう!
美しい緑の風景と音楽だけでも、十分に癒されます。
そうですね、「日帰り入浴」って感じかな?
ちょっぴり切ないけれど、とってもホワホワした気分で映画館を後にすることができると思いますよ。
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