「2008年はアヴェマリアとアメージンググレースの当たり年」名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
2008年はアヴェマリアとアメージンググレースの当たり年
なぜか10年以上前の“特ホウ王国”を思い出してしまいました。他のバラエティ番組でも紹介されたことのある、2人の声だけで電話をかけるネタ。このDTMFという仕組みによって、受話器をはずし、二つ周波数の組み合わせでプッシュホンをかけることができるのだそうだ。もちろん、2人は絶対音感を持っていなければいけないのです(ただし、ダイヤル回線では無理)。ソプラノ歌手と江戸川コナンの2人による妙技ではあったけど、絶対音感があっても細かな周波数の機械音までは表現できないはずで、よほどの訓練が必要だと思います・・・
最近の劇場版コナンはアクションやアドベンチャーが中心でしたけど、今回の第12作は本格推理モノ。しかも音楽に敬意をはらっているので、若干大人向き・・・のハズだったのですが、ヒントを出し過ぎて、犯人がわかりやすい上に人間関係も読みやすかった。絶対音感というテーマとパイプオルガンのからくりまで読めてしまって面白さが半減してしまいました。また、「音階を記号に」というエピソードはビックリするくらいに端折り気味。やっぱり小学生でもわかるように作ってあるんだろうなぁ・・・最も難しいのが阿笠博士のナゾナゾだったし・・・ちなみに前2作とは脚本家が違い、元に戻っているようです。
いつもと違うのはそれだけじゃありませんでした。蘭はピアノを弾けるしコナンはバイオリンも弾けるとか、ゲストキャラのソプラノ歌手・秋庭怜子が出ずっぱり。最初は冷淡で高慢な女王様風音楽家といったイメージなのに、徐々に素敵なお姉様になってくる魅力的なキャラなのです。コナンじゃなくてもちょっと惚れちゃいそうです・・・
“ゲネプロ”などと個人的に懐かしい用語も聞いたし、音楽で魅せるところも満載。ぜひ劇場で!と言いたいところですけど、犯人との長い対話などもあって緊迫感のほとんどないことが欠点。
コナンがDBバッジを置くシーンがあったのですが、「江戸川乱歩の少年探偵団ではたしかBDバッジだったよな~」などと考えていたら、このバッジがどのような効果を発揮したのかわからなかった(謎)。それと、ドイツはシ=Hだけど、母親がイギリス人だからシ=Bって説明もわからな過ぎる!
〈2008年5月映画館にて〉