潜水服は蝶の夢を見るのレビュー・感想・評価
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『小津監督は戦場へ行った』
閉じ込め症候群(ロックド・イン症候群)
『こんな美人が目の前で』つう事かなぁ?
小津安二郎映像だ。
All The World Is Green トム・ウェイツ
『ラ・メール』
『シャルル・トレネ』でさようなら
映像はきれい
本作は「ELLE」編集者のジャン=ドミニック・ボービーの小説?自著伝?の「潜水鐘と蝶」を原題としたもの。
脳溢血により体も動かず声すら出せなくなった主人公が病院で目を覚ます場面から始まる淡々とした日常を彼の視点から描いている。
ほとんど主観アングルでの「現実/現代」と第三者アングルでの「過去・妄想」で構成されている。
・とにかく主演のマチュー・アマルリックの演技がすごかった。
全身マヒ患者の演技は本当に全身マヒの人間がやっているのではないかと思えた。
そう思っていたからあるシーンで車いすから颯爽と立ち上がるのだが、そうかこの人は健常者なのかとハッとさせられた。
口元などは入れ歯で、というのはインタビューで聞いたがそれよりも目の演技がすごかったと思う。
・映像は美しい。たまに画質の荒い「これ資料映像?」という場面も出るが気にならない。
・ストーリーもだがこの映画の流れ自体淡々としてドラマチックではないのでつまらない、という人もいるかもしれない。
しかし、その淡々とした日々の中でひねくれ者の主人公がささいな幸せを見つけていく過程はとてもいい、ほっこりする。
脳溢血患者の話なのに暗くなりすぎずセリフも面白いので私は投げ出さずに見れた。人に勧めるかと言われるとNOだが。
・このひねくれ者の主人公だが味があっていい、はっきり言って嫌味な奴だが不思議と憎めない。
話が暗くなりすぎなかったのは彼のキャラ性のおかげだと思う。
ちなみに気に入ってる会話がある。自分の世話をしている女性療法士にあるシーンで「メルシー」と言う、女性も「ありがとう」と返す。心の声で「女性は単純だね」…。お前というやつは!
タフガイ
この映画、主人公が動けないし喋れないし、表情も作れない。
だから、この映画は病気の苦しさや克服の過程を、
主人公を通してほとんど表現できないという根本的な制約がある。
しかし、その制約を払拭できたとは感じられなかった。
抽象的な表現は伝わってこないし、
半生を振り返る描写は、単に振り返っているだけ。
というより、
病気なんのそので妻を連絡役にして愛人にラブコールしたり、
死にたいと言った翌日にはもうそんなことは忘れて元気だし、
とにかくこの主人公、繊細さとは無縁というか心がタフ過ぎる印象で、
やっぱり出来る男は違うなあ、とは感じたものの、
共感できるかと言われると、難しい。
リアリティのある作品
と言うと語弊がある気がするけど他に言い方が思いつかない。
原作を読んでいないから分からないが、もしこの映画の抽象的な表現が原作に準じているとすれば、その部分はむしろジャンの皮肉というか冗談というか。ふつうに考えて自分があの立場になったら死にたいし自分の姿を見たいとは絶対に思わない。親と話すのだって辛い。そして果てし無く暇だと思う。
だから退屈なのも、女の子が来ると嬉しいのも、そういうことばっかり考えてるのも、妄想が捗るのもまんま映画にしたらこうなるんじゃないの。っていう。
だからある意味ではスマートな作品と言えるかも。
もう一度観たいとは暫く思わないだろうけどなかなか面白かったなと言えると思います。
なかなか無い映画。主題がいい映画
映像と音楽の雰囲気が素晴らしい。綺麗かな。描いているものがいい。生々しい生への執着を感じる。女や食べ物へ、の。最後の氷が崩れるのも印象的。生へ執着した男のあっけなさ、諦め、追想を感じる。ストーリーの構成に重きをおく人にはつまらないかも。正直、話の展開はあまりない。が、動きがなさそうに見える中の微妙な動きがいい。
永久に蝶の夢を見る。
ポエジーなタイトルとは裏腹に、ロックイン・シンドロームに陥った男の瞬きから生まれた自伝。右目以外の全身が麻痺しているのに、意識だけははっきりとしている状態の計り知れない苦痛。前半、一人称のカメラ(主人公ジャン=ドーの目線)は、彼の“見える世界”を映し出す。右目の前に顔を近づけないと真正面にいる人でさえ判別つかない狭い世界。テレビのチャンネルを変えることも、カーテンを開けることもできない。硬い潜水服にロックインされた彼の意識は、右目前に現れる風景を必死で手繰り寄せる。やがてその意識は、記憶と想像力の蝶となり、自由に時空を飛びまわる・・・。右目の瞬きを使ってアルファベットを伝えるコミュニケーションを覚えてから、一人称だったカメラは彼の想像力のように自由に飛び回るようになる。映し出される映像は、時に幻想的で、時にリアルで、そんな風景が美しい。虚実ないまぜのストーリー展開だが、根底にあるのは静かな絶望感。人気ファッション誌「ELLE」の編集者で、仕事にも女性にも家庭にも不自由していない栄光の人生から一瞬の転落。それでもモテる男の周囲には、何故か女性がむらがる(笑)。妻以外にも、言語療法士や彼の瞬きを読み取る口述筆記者など、献身的に尽くす彼女たちの忍耐と努力によって、生きる希望を見出すジャン=ドー。死生観や宗教観などもはさみつつ、全編が静かで知的な雰囲気なのは、現実を受け入れ、希望を持ったジャン=ドーの心情そのまま。ひらりひらりと蝶はどこまでも飛んで行くが、ゆっくりと沈んでゆく潜水服は微かな死の予感を孕む・・・。20万回の瞬きで綴られた蝶の夢。海底に沈んだ潜水服は、おそらく今もなお、永久に蝶の夢を見続けていることだろう・・・。
エンドロールは、氷山の崩れの逆回転
映画「潜水服は蝶の夢を見る」(ジュリアン・シュナーベル監督)から。
いろいろな映画祭で絶賛された映画らしく、
封切りを楽しみにしていた映画作品であった。
脳梗塞で倒れ、意識ははっきりしているのに、
自分の言葉が通じない。しかも、身体全体が動かない。
唯一、動く左眼の瞬きで自伝を綴り始める物語に、驚きを覚え、
それが実話を元にしていることに、さらに驚嘆した。
しかし、今回の私のアンテナに引っかかったシーンは、
作品終了後のエンドロールに映し出された「氷山の崩れの逆回転」。
環境問題を語る時に、よく利用される
「氷山」が、けたたましい轟音と共に崩れていくシーンを、
なぜか逆回転で流し、これが延々と続く。
すなわち、氷山が崩れていない状態に、戻っていくのである。
その表現の意味するところ、そして監督が伝えたかったこと。
残念ながら、私にはちょっと理解できなかった。
また、時間がたったら、インターネット等で調べてみたい。
ぬけぬけと力強い人間の賛歌
瞬きで本を書き上げたという信じられない偉業をなし得たのは、本人が健常の頃から培ってきた魅力ゆえ、というのが何とも面白い。想像を絶するような苦闘もさることながら、そのきっかけが「あなたELLEの編集長でしょ。愛読者だったの」とは。人を惹きつける奴はどんなになっても人を惹きつけるんだ。その生命と意志にはただ感嘆する。
それをじっくりと描いたシュナーベルは力強く素晴らしいが、アート指向な画作りは善し悪し。潜水服のイメージは凄く良いが、氷山の崩落を巻き戻してるのはアート気取り臭い。
それにしても、発病を最後に持ってきた編集は見事だ。この不運がやるせなく痛切。心に残る。
蝶は浮気の象徴。
まさかこの作品を、こんなに早く観られるとは思わず(汗)
まぁ~名画座だろうな…なんて諦めていたのですよ、ホント。
そしたら近所のシネコンで上映が決定!?していてビックリ!
もちろんすぐさま観に向かいました…!
今年のアカデミー賞でも4部門にノミネートされた本作ですが
(どれかひとつでもとって欲しいな~)期待通りの素晴らしさ☆
とりあえず今のところ、文句なく一位にするだろう作品です。
あ、おすぎと一緒?^^;
ファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、
脳梗塞で倒れ、昏睡状態だった主人公。物語は突然、
彼が目を覚ましたところから始まります。…このアングルが見事!
唐突に左目しか機能していないことを露呈させ、主人公と同様、
観客までが状況を掴むまでに時間をかけることになります。
やがて医師や看護師、博士などの説明から、彼がまばたきしか
出来ない状況であることが判明し、リハビリが開始される。。
すでにこの時点で、ものすごく悲壮感が漂っても良さそうなのに、
本作にはそれが全くない!それどころか、ユーモア満載で
詩情に溢れ、ただただ観ているこちらが驚くばかりなのです。
二進も三進もいかない状況で、こんな表現が果たして出来るか?
そこにこの主人公の人間性と、監督の人生観が投影されています。
実際にこの後、まばたきのみで自伝を完成させた主人公の過去、
いろいろな問題も暴露されますが、これぞおフランス主義♪か?
とにかくチャーミングというか、多分女がほっとかないタイプ^m^
彼が有名誌の編集長だったことが頷けるような生き方をしている。
彼のワガママに付き合い、彼の世話を焼き、彼に(目で)語らせ、
旅までさせたりするのが、ぜーんぶ美しい女達でっす。^^;
アンタ、潜水服なんて着なくたって周りが蝶だらけじゃん♪なんて
思ってしまった。そして彼本人にまったく嫌味がないのも素晴らしい。
この物語は彼の身に起きた不幸。を描いているようにみえて実は、
素晴らしき哉、人生!を地でいっている人生賛歌なんだと思います。
どんな状況にいたって、僕は僕である。それをしっかりと踏まえた
男の末路は生であろうが死であろうが、幸せなものだと感じられる。
鑑賞後に、これほどスッキリ感が残るとは思っていませんでした。
彼のとった選択、確かに妻なら寂しい部分はありましたけどね…(-"-)
監督:J・シュナーベルと、M・アマルリックの演技に大拍手!!
(夜の蝶と昼の蝶では、たぶん彼にとっても?違うよね…なぁんて)
最初はジョニー・デップ主演だったらしい
雑誌「ELLE」の編集長という第一線で活躍していたジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は、病院のベッドで目を開けると、看護士から「何週間も昏睡状態だった」事を告げられる。
しかし、奇跡的に目を覚ました彼は、目が見えるだけで、話す事も身体を動かす事も出来なかったのだった。
そして、右目さえも化膿してしまう為に、縫い付けられてしまうのであった、、、
このシーンのカメラワークは、なかなか面白いです。
看護士と言語療法士により、リハビリを開始するのだが、こんな状況でも「こんなに美しい女性達に手も触れられないなんて、、、」と嘆く彼って、ちょっと理解出来ないかも(>▽<)
言語療法士アンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)の導きにより、目の瞬きによって意思を伝える事を指導される。
アルファベットの並んだボードを利用して、YESなら瞬きをする事で文章を作っていくのだが、呼んで貰えるスピードに合わせられずにイライラしてしまう。
「E,S,A,R,I,N,T,U,R...........」(フランス読みなので、判りづらいですけどね)
テレビも見ているのに消されたり、逆に夜中番組が終了しているのに消して貰えなかったりなど、イライラとすることばかりであった。
そんな彼が最初に伝えた言葉は、「死にたい」だった・・・・・
彼の浮気が原因で離婚した妻セリーヌ・デスムーラン(エマニュエル・セニエ)は、彼を心からいたわるが、浮気相手の女性は連絡さえも寄越さない。
飛行機事故で負った重傷から立ち直った友人が、彼を励ましにやって来る。
(その飛行機は本来彼が乗る筈だったのだ、、、)
彼が見る夢は、海底で重たい潜水服を着て自由に身体を動かせない自分であったり、言語療法士アンリエットとのエロティックなシーン、、、(彼にとって蝶のように自由なのは、女性とのエロなんですよね、、、う〜ん、そんなもんかなぁ、、、)
前半は、ほとんどを彼の目線からのカメラワークで進行して行きますが、途中から彼の全身が映され始めます。
ギョロっとした左目、縫い付けられた右目、ひん曲がった唇からよだれを垂らすその姿は、かってのプレイボーイの名残などまったく感じられない悲惨な姿であった。
初めは、その姿を見せたくなかった子供達に出会い、彼の心に変化が訪れる。
そんな彼が起こした行動とは、なんと瞬きを使って自伝を書く事だった。
絶望の底から、生きる為の活動を始めるジャン=ドミニク、、、
献身的に彼を支える家族達、、、
そんな彼の元に浮気相手から電話が掛かって来る。
瞬きを使って彼女にメッセージを伝えるジャン=ドミニク、、、、
そのメッセージを読み取り、伝えるのは前妻であった。
「きみのことを愛しているよ。」
う〜ん、、、理解不能、、、
「象の背中」以上に理解出来ない行動です。
まぁ一応離婚している訳だけど、、、それってどうなの、、、?
遂に20万回の瞬きで自伝を書き上げた彼は、直後に死を迎える。
実話だそうである。
20万回の瞬きをした彼も凄いが、そのメッセージを読み取った編集者の女性も凄いと感じました。
ジャン=ドミニクは、「E,S,A,R,I,N,T,U,R...........」の「R」で瞬きするだけだが、彼女はまた初めから「E,S,A,R,I,N,T,U,R...........」と声に出して読み始めなければなりません。
これって、相当に辛い仕事ですよw( ̄O ̄)w
う〜ん、、、微妙です、、、確かに凄い事だとは思ったし、映像も凝っていたし、役作りも見事だったとは思うけど、、、
好きか嫌いかと聞かれれば、こういう映画は嫌いかな(*´Д`*)
絶望から立ち直った辺りから、もっと明るくなるのかと(見ている側にもその希望が伝わって来るような)想像していたのですが、あまりそうではなかったんですよねぇ、、、、
挙げ句には前妻に対して、あんな行動をしてしまうし、、、、
結局、自分の伝記を書いただけなんですよ(>▽<)
それって、とても自己満足なだけで、こんな状況になっても、最後まで自己中心的な奴なんです。
だから、あまり共感する部分がありませんでした。
彼が残りの人生でするべき事は、もっと他にあったのではないだろうか、、、?
映画評論家連中が大好きそうな映画です。
これを誉めておけば間違いないという感じですね。
余談ですが、当初このジャン=ドミニク・ボビーの役をジョニー・デップが演じるという話があったそうです。
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