劇場公開日 2008年7月5日

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カメレオン : 映画評論・批評

2008年7月1日更新

2008年7月5日より丸の内TOEI2、新宿バルト9ほかにてロードショー

松田優作ならこの映画に何と言うだろう?

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映画「野獣死すべし」やTVドラマ「探偵物語」で知られる脚本家・丸山昇一が、およそ30年前に松田優作のために企画した幻の脚本「カメレオン座の男」を映画化した作品だそうで、阪本順治監督×藤原竜也主演というので相当期待したが、ストーリーの根幹となるプロットが何も効果がなく、“ハードボイルド”というより半熟にもなっていない卵で、ぼくの映画観とは対極にある映画だった。

「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシク風のモジャモジャ頭で無精ヒゲの藤原竜也が、ご都合主義的に東映調のラストの“殴り込み”になだれ込むのだが、復讐の源となるさまざまなバイオレンス描写にエモーションのかけらも感じられず、カタルシスが何も湧き上がってこないのである。

藤原竜也は蜷川幸雄の秘蔵っ子だけあって、なかなかの存在感である。マッチを擦ってタバコを吸う場面など断片的にいい表情を見せるのだが、彼の発声があまり映画的ではなく、セリフが耳に残らないのが映画の致命傷で、他のキャストから完全に浮いてしまっている。ヒロインの水川あさみが東映女優っぽい色気があっていい芝居をしているだけに、残念。

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